青木:アイコンとしての「SHIBUYA」は外国人にも有名だけど、歴史ある街としての「渋谷」についてもっと知りたいという欲求もあったんだと思います。

岩田:ファッションやカルチャーの中心地というだけじゃない渋谷の魅力も、コンテンツとしてちゃんと外国人に響いたんですね。

青木:記事を出すとダイレクトで反応があるので、僕らも発見の連続なんですよ。例えば、韓国語版だとロリータ・ファッションの記事がアクセスが多くて、韓国語で「ロリータ ファッション」と検索すれば「MATCHA」の記事が3番目にきます。アジアだと、ほかには声優やアニメの記事も安定して人気がありますね。

岩田:言語によって翻訳する記事を選んでいる?

青木:例を挙げれば、イスラムの人は豚肉が食べられない。それなのにインドネシア語で豚肉料理の記事をUPすることはありません。サイトの信用を失いますからね。言語ごとのニーズによって選ぶ記事を変えているんです。

岩田:ちなみに、海外にも「MATCHA」みたいなサービスはあるんでしょうか。というのも、私も海外旅行が好きなんですが、最新情報が現地の人から外国人向けに発信されているサイトなんて見たことがないんです。

青木:僕らもサイトを始めるにあたってリサーチしたんですが、どこの言語にもなかったですね。あるとしても、フランス人が日本のサブカルチャーが好きで個人ブログに情報をまとめているとか、そういったものくらいです。

岩田:サイト全体の目標としては、どういったところにおいているのですか?

青木:PVやリピート率も重要ですが、何より大切にしているのは、作る側の熱量とユーザーの原体験ですね。「トトロのシュークリーム」を紹介した記事があって、これはジブリ好きの外国人の方が「これを読んで2回も食べに行っちゃったよ!」とコメントを寄せてくれたんです。僕らが紹介して、実際にアクションを起こしてくれた。そんな瞬間を生み出すために、メディアをやっているといっても過言ではないです。

totoro 「One and Only Officially Recognized “Totoro Cream Puffs”」

■「これが好きなんだ!」という熱量は外国人にも伝わる

岩田:ビジネス面の話もお聞きしたいです。今後、サイトをより大きくさせる方法は、どう考えていらっしゃるのかなと。

青木:最近、商店街の特集をやったんです。第一弾は戸越銀座商店街だったんですが、お惣菜屋さんのコロッケとかすごくおいしいんですよ。でも、僕らはそこから広告料をとりたいとは思わないんです。

岩田:それをやるとサイトの方針がブレてしまう。

青木:ええ。それに作る側に「これが好きなんだ!」という熱量がないと、コンテンツとして面白くならない。だから僕らは、商店街特集を読んで訪れる人が増えることをまず目標に置いています。あとはそれを計測する方法をしっかり作って、個々のお店からではなく、自治体などからお金をもらってプロモーションのお手伝いをする。そういうのはマネタイズの方法としてアリかなとは考えています。

岩田:「MATCHA」なら、「外国人の観光客を増やすにはこうしたほうがいいですよ」とアドバイスしていく方向もありそうですね。