14091100_2岩瀬:社会人になってからも同じです。弱みを克服しようとしてもしょうがないので、とことん強みを伸ばすしかないと思っています。あとは基本として、過去問題を何回も何回もコツコツとやったということくらいですね。

続いての質問ですが、「ご自身がこれから教育を受ける子供だったらどのような教育を受けたいですか?」。最初に僕の事情を言っておきますと、僕は小学校2年生からイギリスに行って、小学校6年の卒業式の前に帰ってきていますが、日本の公立の小学校はけっこういいな、と思っています。

みんなでキチンと礼儀正しく、みんなでお掃除をして、みんなで給食をちゃんと準備して、栄養管理士が作ったメニューを食べて、というのは実は良い仕組みだと思います。

これがアメリカに行くと、まず掃除のおじさんがいて掃除はその人がやって、食事はコカコーラを飲んでピザを食べて、という感じです。それと比べると、日本の公立の学校はすごくいい。子どもを公立で伸び伸びとさせるのもいいと考えているのですが、りんちゃんはどう思いますか?

■競争をさせるけれど、評価軸が一つではないイギリス

小林:日本の初等教育は優れていると思いますし、世界的にも評価が高いです。今まさにおっしゃった通り、躾けの部分が物凄く評価が高い。私たちの学校もインターナショナルスクールなんですが、自分たちのお掃除の時間を作りたいと思っています。

日本がこれだけ綺麗なのって、「自分が使ったところは自分で掃除をする」というのがみんなカルチャーとしてあるからだと思うんですね。そこは凄く大事にしたいところだと思います。

たとえば私たちは今年高校を開校するんですが、中学生を対象に毎年サマースクールを開催しています。海外の子と日本の子で絶対的に違うのは、日本の子はスリッパをキチンと揃えるんですね。こういうところは本当に日本のカルチャーの美しいところだと思います。海外の子はそれを見て「日本人は凄い!」とビックリするんですね(笑)。

そういう日本らしい良いところは大事にしたいですね。ただ、私自身が小学校は公立で中学校は学芸大附属中学、高校も学芸大附属高校をもう一回受け直して入って、ずっと公立ではあったんですが、先ほどお話をしたように高校1年で辞めた辺りが転機になったのかな、と思っています。

日本では中等教育と言われる中学・高校あたりから5教科をやるとか、国公立大学を目指そうと思うと、やっぱり5教科を満遍なくできることが要求されていくというふうに、段々はまっていくな、ということを自分では感じました。

自分だったら、子供たちが大きくなるに従って、一人ひとりの良いところを伸ばす方向にフォーカスしていきたい。自分の場合はそうすべく自分を変えたという話なのかなと思います。

岩瀬:僕が、イギリスの小学校で良かったなと思っていることの一つは、体育の授業でした。イギリスではたとえば選抜サッカーチームとそれ以外というふうに分けていて、選抜の子供たちにはどんどんやらせるんですね。

一方で、普通あるいはあまり運動神経が良くない子供たちは、ルールを変えて、先生がいろいろな賞をあげるんですよ。面白いプレーをしたとか、ファウルばっかりしたとか、手を使ってゴールを入れたとか(笑)。

そこで何がポイントになるのかというと、脚が速いという軸で計るだけではなく、違う評価軸を入れることで運動神経が鈍い子供も楽しめるということです。これはイギリスの知恵なのかな、と思います。競争もさせるけど、評価軸は一つではないということを教わった。この経験はとてもよかったと思っています。

それと、僕は高校から開成という進学校に行ったのですが、何がいちばんよかったかというと、仲間同士でお互いを高め合っていく点です。今でもいちばんつき合いがあるのは、東大時代の友達ではなくて、開成高校の友達なんですよね。

ですから、勉強するにも仕事をするにも、お互い切磋琢磨することが本当に大事だと思っています。それぞれのなかに学校に求めるものがある。いい仲間がいるということが大事なポイントなのかなと思いました。