■生命保険に喩えられたベンナーティ選手の仕事

“Bennati is a life insurance”
という発言のあった第8ステージは、強風で知られている(らしい)カスティーヤ・ラ・マンチャ州東部の都市アルバセテがゴールです。

〔ブエルタ第8ステージ地図 googlemap〕

〔ブエルタ第8ステージ地図 googlemap〕

自転車競技では、風は大敵です。遅刻の理由に「向かい風だったから」と言った生徒がクラスに1人は必ずいたように、向かい風が強いと漕いでも漕いでもスピードが出ず、体力を消耗します。

ブエルタでは、1チーム9名で編成されていてそのうち1名がエースとなり、エースを除くその他の8名はエースの体力を温存すべく風除けとしてエースの周囲を囲みます。
チームTinkoff-SAXOのエースであるコンタドール選手のコメントから、特にベンナーティ選手は我が身を省みずエースのために尽くしたという様子がうかがえます。

風除けの選手に守られてエアポケット内にいると、軽く漕いだだけでも自転車はスピードを維持するので、まるで前にいる選手にひっぱられているかのような錯覚を覚えます。
「Priceless ‘workhorse’」と言う部分は、そのことを馬車を引っ張る馬にたとえたのだと思います。
「馬車馬扱いかよ?」と思うかもしれませんがこれはサポート役の選手が役割を果たしたことに対する賛辞です。

では、このベンナーティ選手がコンタドール選手の言うとおり「生命保険」のようだったのか、といわれると生命保険会社社員としてはイマイチピンとこない…というのが偽らざる気持ちです。
生命保険は別に何かが起きないように守ってくれるわけではないですし、どちらかというと何も起きなければ特に役にたたないものです。

そもそも、コンタドール選手があえて「Life Insurance」と言ったのは、メインスポンサー Tinkoff Credit Systemsが保険を扱っているからかもしれません。
自転車ロードレースを描いたアニメ「アンダルシアの夏」に出てくるぺぺと言う主人公が、スポンサーのパオパオ・ビールを懸命にアピールするシーンが思い出されます。