■将来の不安を払しょくするために――「ねんきん定期便」くらいには目を通そう

14092902_3岩瀬:花輪さんは節約術でも本を出されていますが、お子さんが生まれてからはどんな節約をされていますか?

花輪:おむつなどの日用品は固定費なので、こういったものをいかに安く買うか、日々調べていますね。ドラッグストアとスーパー、どっちが安いか比べたり。あと家電製品や衣類は、時期によって大きく値段が変わります。主婦の方は、本当によく見ています。

岩瀬:自社商品の話で恐縮なんですが、花輪さんの周りのママ友は、保険に関してどんな話をされていますか?

花輪:子どもができたタイミングで、みんな生命保険を見直そうとしますけど、「わからない」っていう方が多いですね。まず、どこに相談に行けばいいのかわからない。

岩瀬:ネットで検索できる時代でも、そういう方はまだ多いんですね。参考にさせていただきます。そうやってさまざまな方向から家計を見直して、お金を貯めていかれる方が多いと思いますが、何かお手軽なテクニックのようなものはありますか?

花輪:皆さんがよくやっているのは、児童手当には手を付けずに、そのまま貯金に回すことです。条件によって異なりますが、月に1万円から1万5000円が受取れるので、それを貯めていけば、中学卒業時にはおおよそ200万円くらいになります。学資保険代わりにもなりますし、大学費用として残しておくこともできます。また手取り月収の4分の1を強制的に積み立てる仕組みを作ると、お金がどんどん貯まります。住宅ローンの返済や保険の積み立ても、強制積立の一種ですので、貯めるのが苦手な方にはいいのかなと思います。

岩瀬:花輪さんのようにフリーで働いている方って、常に仕事を取っていかないと収入がゼロになりますよね。そのことの不安はないんですか?

花輪:ありますよ。でも、意外と仕事が切れないので、あまり深くは考えていませんね。仮に仕事の依頼が来なくなったとしても、また別のことをしてもいいかな、と思っています。FPとして培ってきたノウハウは持っているので、それを生かして別のことをやってもいいかな、と思います。そう考えると不安ということもなくなります。ただ、やっぱり出産の前後は、収入が減って支出が増えるので大変でした。預金通帳の残高が徐々に減っていくのを見ると、不安な気持ちになりますね。

岩瀬:減る理由は違いますけど、僕も留学中はお金が減っていくばかりだったので、似たような不安を感じたことがあります。そういった「貯金が減っていく不安」の一方で、「いくら貯めても消えない不安」というのがあると思うのですが、その不安な気持ちはどこからくるのでしょう?

花輪:やはり、先が見えないからだと思います。一番は老後の不安ですね。生活費はおおよそ試算できても、年金がいくらもらえるのかわからないという人が多いんです。毎年1回誕生月に「ねんきん定期便」が送られてきますが、それを見ていないという人がかなり多くいます。

よく「老後にいくら必要ですか?」というアンケートがあって、1億円だとかすごい金額を答えている方が多いのは、そういったことも要因の一つなんじゃないかと思います。1億円なんて、とても手に届かない数字なので、お手上げ状態になりますよね。だから不安になる。そうならないためには、やはり知識をつけることや、自分の現在の状況を正しく知っておくことが大切だと思います。

<プロフィール>
花輪陽子(はなわ・ようこ)
ファイナンシャル・プランナー(FP)。CFP認定者 1級ファイナンシャル・プランニング技能士など多数資格を保有。1978年、三重県生まれ。 青山学院大学国際政治経済学部卒業後、外資系の投資銀行に入社。OL時代は借金200万円の”貯まらん女”だった。アメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻が引き金で起こった世界同時不況「リーマンショック」のあおりで、2009年夫婦同時失業を経験。投資銀行を退職し、猛勉強の末、ファイナンシャル・プランナーに転身。

<クレジット>
取材・文/香川誠
撮影/村上悦子