14100203_1みなさんは「アナフィラキシーショック」って聞いたこと、ありますか?

アナフィラキシーとは、「アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応」をいう。「アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う場合」を、アナフィラキシーショックという。

出典:一般社団法人日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン」より引用

実は昨年の春ごろ、このアナフィラキシーを体験しました。

自分がなるとは思ってもいなかったですが、なってはじめてその怖さを知り、ほかの方の体験談をネットなどで読んで勉強になったので、自分もどんな症状だったかシェアしてみたいと思います。

※本ページでは個人の体験談を紹介しています。個別のケースについては、かかりつけの医師にご相談ください。

【症状(私の場合)】
その日はいつも通り昼食後に会社へ戻り、10年ほど前からずっと使用している市販の鎮痛剤を飲みました。すると、すぐに生まれてこのかた経験したことないほど驚異的な“かゆみ”が手に発生!

化粧室で洗ってもとれず、むしろ勢いはどんどん増していきました。このとき鏡に映った顔は真っ赤にはれ上がっており、頭にもかすかな“かゆみ”がありました。このときはとりあえず席に戻りましたが、蕁麻疹(じんましん)がびっしりと出ており、頭部全体が膨らんでいるような状態に。

上司に相談すると「すぐに病院へ行った方がいい」との言葉をもらい、会社近くの病院へ。

病院へは歩いて3分の距離にもかかわらず、どんどん“かゆみ”は全身に広がり、息切れが激しくなりました。次々と起こる体の変化に自分でも次第に異常性を感じつつ、頭や足をかきながら最後は小走りになって到着。

しかし、病院は昼休みで医師は外出中。息ができなくなってきたためにうまく話せず、ついにはひとりでは立てなくなり、病院のインターフォンにすがりつく体勢で受付の方と話しながら、

「“かゆみ”が出てから5分しかたってないのに……。このままだともうすぐ話せなくなる」

と考えていました。とうとう、携帯電話で119番。容態と住所を伝え、交差点で金具につかまって待っている間に意識を失いました。

通行人の方に呼びかけられて意識を取り戻すと、今度は激しい腹痛と下痢に襲われ、あたりを見渡すと昼なのになぜか真っ暗、目が見えなくなっていました。救急車は近所の別の交差点へ向かっており、迷子になっていたそうです。その間も何回か意識を失いながら、ようやく担架で搬送されました。

病院へ着き、服を脱ぐと全身が蕁麻疹(じんましん)で真っ赤、指先は完全に紫色でした。血圧が異常に低下しており、尋常でない寒気で全身が痙攣(けいれん)のようにガタガタ震えていました。

それから緊急処置を受け、ことなきを得た後、5時間ほど経過を見てから退院。

余談ですが、運ばれたとき症状を説明するや否や、看護士さんが猛スピードで端末に入力していったり、私が入院したくないとか会社から人を呼ばないでくださいとかお願いしていたら「体が先!そんなこと後で心配して!」と叱られたりと、現場は医療のプロの緊張感がみなぎっていました。

【注意すべきこと】
私はいつも使っていた市販の鎮痛剤で突如アナフィラキシーになりました。

しかし、経口摂取で症状がでる場合は、

・小麦などのアレルゲンを摂取したあとに運動をした
・小麦などのアレルゲンの食物を食べたあとに薬を飲んだ

など、複数条件が重なって起こることの方が多いようです。

医師の説明では、今回は疲労が原因となって薬の単独摂取で引き起こされたのだろうとのことでした。そもそも、鎮痛剤を月に1回も使用していることが本来はよくないそうで、できるだけ使用しないように体質改善を心がけるべきとのことでした。

一度アナフィラキシーになると、原因物質を再度摂取すればさらに悪い状態が引き起こされるため、本来は原因物質を特定することが望ましいのですが、市販の薬には何種類もの成分が含まれており、これらをテストするのはかなり大変。とりあえず、同じ成分が入っている薬を避けるという方法をとっています。

やはり実感したのは、「自分がなるはずはない」と普段は考えることもなかった体験をしたことで、病気や災害は一定の確率で自分にも起こりうるものだということです。

あのとき救急車を呼ばず、処置ができずにショック状態のままだったら――。自分は何に後悔していただろうと今も時々考えます。

※2014年9月11日「ライフネット生命 社員ブログ」より