■ブランドは人格から外れた行動をとってはならない

――商品の機能性の追求もさることながら、「VAIO」というブランドのDNAからブレないことを重視されているんですね。

_R3A9227花里:私はソニー社内でのVAIOの立ち上げ時から関わってきました。その当時から一貫して取り組んできたのは、製品をたくさん売ることも重要だけど、それより、PC事業部が一丸となって世界に「VAIO」というブランドを根付かせることでした。商品名がとうとう社名にまでなりましたが、そこには受け継いできたブランドとしてのDNAがあるからなんです。

ブランドはその企業の人格です。人格を保っていくには、その性格から外れた行動をとってはいけない。VAIOにとっての“性格”が「本質+α」なんですが、ソニー時代のVAIOはいつの間にかそこからズレてしまった。だから新生VAIOでは、その根っこの部分は大切にしていくつもりです。

――なるほど。ただ、7月の立ち上げ記者会見では、「当面は日本のB to B市場を販売の主軸としていく」と発表されています。しかし、B to B製品では尖った「+α」をアピールしづらいのではないでしょうか?

花里:確かに、法人向けの製品はまずコストパフォーマンスを求められます。丈夫でセキュリティがしっかりしていて、安ければあとは文句なし!というようなイメージが強いですよね。しかし我々はブランドのDNAを変えることなく、ビジネスカスタマーの中でも差別化できるPCを持ちたいと考えている人や企業にちゃんとフォーカスしていく。

もちろん、B to Bという言葉によって、メディアやユーザーの方々が「VAIOがこれまでやってきた奇抜なデザインとか、チャレンジングな取り組みが失われてしまうのではないか」と心配しているのもわかります。