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7月1日にソニーから独立して誕生したVAIO株式会社。ソニーでのPC事業の立ち上げから関わり、現在は同社執行役員・商品企画担当を務める花里隆志さんは、新生VAIOを“スタートアップ企業”だと称します。生まれ変わったVAIOが目指す理想のコンピューターとは何か。花里さんに聞きました。
(「新タブレット発表! いま明らかになるVAIO復活のシナリオ / VAIO執行役員特別インタビュー」はこちら)

■ノートPCの低価格化に未来はない

――現体制になって3ヶ月が過ぎました。忙しさの質は変わりましたか。

花里:それはもうすべてが変わりました。サプライヤーさんとの契約も一からやり直していかなければならず、社員が一人何役もこなすのがザラでした。とはいえ、VAIOブランドを最初から使うこともできましたから、僕らは普通のスタートアップ企業より楽をさせてもらっているんだとは思います。

――社員はほとんどがソニーのPC事業部から?

花里:そうですね。事業部以外の人も、独立する際に「VAIOでやりたい」と手を挙げてもらった人たちが多くいます。

――大企業でなくなったことで、仕事の進め方に戸惑われた方もいるのでは?

花里:VAIOはソニーの社内では、わりと「なんでもやる」という気概を持った人が集まった部署ではあったんです。それでも想像以上に大変でしたね。やることは山ほどありますから、誰が担当かではなく、気がついた人がとにかくやると。そういう風に意識をもっていくことを最初に取り組みました。結果的に、それがもともと理想としていたVAIOのビジネスを捉え直すきっかけにもなりました。

――VAIOブランドは1990年代後半に誕生し、画期的な商品の数々を生み出してきました。しかし、ソニー時代の後半は元気がなくなっていたように感じます。

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VAIO執行役員の花里隆志さん

花里:やはりグローバルなビジネスを展開していたので、世界中のいろんな地域の特性に合わせていくことを求められていたんです。「本当はこういうものが作りたい」と思っても、ビジネスを維持することも考えないといけなかった。

それはジレンマなんですが、商品のとんがり度はどうしても減ってしまう。だから独立にあたっては、VAIOが理想としていた「人々の生活を変えるコンピューターを作る」という尖った部分を取り戻していこうとしているんです。

――とはいえ、世界的にノートPCは低価格化が進んでいます。スマホやタブレットにもシェアを奪われているなかで、どうやってVAIOは戦っていくのでしょうか?