■「国民総FP化計画」とは?

岩瀬:栗本さんは「国民総FP化計画」というのを掲げてらっしゃいますよね。ちょっと面白そうな話なんですが、そもそもFPってどういう仕事なのか、わからない人も多いと思うので教えてもらえますか?

14101401_04栗本:一言でいうと、お金まわりのアドバイザーです。お金の運用や、年金やローン、保険や税金、相続のこと。生活にかかわるいろんなお金のことについて、「これってどうなっているの?」という疑問に答えたり、こうした分野の情報を発信したりするのが、ファイナンシャル・プランナーの仕事です。

岩瀬:扱う範囲がものすごく広いですね。

栗本:そうですね。知識が付いてくると、どうしても自分の専門分野に特化したくなるんですが、僕は意識して幅広くやっています。実際の生活で必要なお金の知識というのも、まず浅く広く押さえるべきだと思います。それに、僕が専門レベルの話ばかりしてしまうと、一般の人には話がわかりにくくなってしまう。FPは翻訳者と役割が似ているかもしれません。僕を介してお金の仕組みを理解してもらえれば、それで十分なんです。

岩瀬:FPになられた経緯は?

栗本:僕自身、学生結婚をしていて、新社会人になった時には子どももいました。でも、もらえる給料は他の新卒と一緒だったので、お金に無頓着ではいけないなと思っていたところに、たまたま友人からFPの存在を教えてもらって勉強を始めたのがきっかけなのですが、途中で「これって資格を取らない人でも絶対に知っておいたほうがいいよな」ということがわかってくるんです。その時から、「国民総FP化」を考えるようになりました。

岩瀬:税金や社会保障って、すごく大事なことなのに、学校では誰も教えてくれませんよね。あと病気のことも。日本人の二人に一人ががんになるんだから、食生活はこう気をつけるべき、というのも教えたほうがいいんじゃないかと思います。

栗本:学校の話で言うと、ある中学校で臨時講師として呼ばれた時に、自分の親がどんな保険に入っているか調べてくるという宿題を出したんです。すると多くの生徒が親に怒られたって言うんですよ。「学校で何を聞いてきたんや、そんなんお前が知らんでいい!」って。

岩瀬:お金の話はタブーだと思っている親が多いってことですね。

栗本:一方で証書のコピーまで持ってきた子もいましたけどね。マネー教育をどうとらえるかは、家庭によって意識の差が大きいな、と思いました。