14101601_3岩瀬:うちの若手にも読んでもらおうかな(笑)。

栗本:実際に書いてあることが全部できれば、お金持ちになれると思いますよ。ただ、こういう話って、本を読んで知識として持っている人は多いんですけど、私も含めて、それができる人はなかなか少ない。教えられたことを実践できる素質というのも必要ですから。

岩瀬:まあ大富豪は難しいとしても、基本原理を学ぶことはできるし、こういった話をきっかけに、みんながお金のことをもっと考えるようになるといいですね。自分の仕事の話で言うと、ライフネット生命ではベーシックな保障ができる安いプランの商品も出しているんです。例えば、30歳男性で死亡保障1,000万円、保障期間が10年だと、月1,230円で入れる生命保険があるとか、こういうのをもっと、若い人にも知ってもらえたらな、という気持ちはあります。

栗本:そういう保険は、これまで保険を考えてこなかった人にも検討の機会を与えるんじゃないかと思います。死亡保障としては決して大きな金額ではありませんが、1000万円が家族に残れば、2~3年は十分暮らしていけますから、あるのとないのとでは大きな違いがあると思います。

保険というのはいまだに、人から勧められないと真剣に考えない商品ですけど、若いうちから、お金についての基本的な話の中で保険の役割というのを知っていれば、最低限こういうものが必要なんだという意識が出てくると思います。もちろん保険会社はライフネット生命だけではないし、お勤め先の会社にも保障制度があったりしますから、それはあくまで一つの選択肢であるということを知って、その中から何を選ぶか、自分の中にベースを持っておくことが大事だと思います。

社会人になるといろんな人が寄ってきて、誰が正しいことを言っているか判断がつかなくなってしまうこともあるので、浅く広く、FP3級レベルでいいのでお金周りの知識を持っておいたほうが、自分や家族を守ることにつながると思います。

<プロフィール>
栗本大介(くりもと・だいすけ) 1971年滋賀県生まれ。
立命館大学法学部卒業後、株式会社東京リーガルマインド、ソニー生命保険株式会社を経て2001年にFPとして独立。2003年 有限会社エフピーオアシスを設立し代表に就任。滋賀県金融広報アドバイザー、びわこ学院大学非常勤講師、金融知力インストラクター。現在は、お金に関する様々な相談受けながら、大学や企業を中心に年間100回を超える講演を行うほか、テレビやラジオでも活躍中。また、資格取得のための「FPスクール」をインターネット上で運営し、FP知識の普及活動に力を入れている。2010年、「金融知識普及功績者」として金融庁と日本銀行より表彰を受ける。2013年2月「FPスクール3級合格編(あさ出版)」、同年9月に「FP技能検定勉強法(同文舘出版)を上梓。

<クレジット>
取材・文/香川誠
撮影/植松千波