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個人向けの家計・資産管理サービス「マネーフォワード」などを運営するマネーフォワード代表の辻庸介さん。日々ユーザーが抱えるお金の問題と向き合うことで、理想的なマネープランを実践することの難しさを感じたそうです。その辻さんが、ライフネット生命の社内勉強会に登壇されました。

■日本でシェアNO.1の家計管理ツールを提供

僕はもともとマネックス証券にいたんですが、2012年5月に独立してマネーフォワードを立ち上げました。現在ではユーザーが160万人を突破し、国内シェアNO.1の資産管理・家計簿サービスになりました。

マネックス証券ではネット証券という新たな市場が立ち上がってくる瞬間に立ち会わせてもらい、インターネットの持つ可能性を肌で感じたというが、起業の大きな理由の一つですね。

インターネットが一般に普及するまでは、個人が資産運用をしたいと思っても、プロに相談しながらでなければ、株や証券をうまく運用するのは難しかった。しかし、今はネットで世界中から買えるようになりましたよね。専門家でなくともネットの力を使えば、いろんな人がお金をうまく活用していける世の中になるのではないかと期待したんです。

ところがネットが普及しても、使う側に知識がないから実際には思ったほど状況が変わらなかったんです。ほとんどの人がお金について不安はあるけれど、何をすればいいのかわからない。そういう人たちを助けたいと思いました。

そういう目的意識はライフネット生命さんと一緒だと思います。ネット生保は、わかりやすく保険商品の情報を開示・整理して、利用者目線に立ったサービスを提供していった。資産運用・管理の分野においても、ユーザー側に立って、ネットで誰でも使えるサービスを提供すれば、世の中の役に立つのではないかと考えたんです。

要は、食べログやクックパッドみたいなユーザーサイドに立ったサービスが、お金の問題においても必要なのではないか――。それで立ち上がったのが、マネーフォワードなんです。

■何が「浪費」かは、人によって違う

しかし、こうして2年ちょっと会社をやってきて感じるのは、個人が抱えるお金の問題の解決法って、本当に一筋縄ではいかないなということ。人によって、どんな消費に価値を置くのかが、まったく違うんです。

「消費と浪費は違う」といいますよね? だから家計簿を管理することで、支出の全体像を“見える化”して、そこから生活に必要な「消費」とムダな「浪費」を区別して、浪費分を節約に回す。余ったお金で資産運用をしていけば、増やすことだってできますよと。

これ自体は、すごく理想的な家計管理の方法だと思います。僕らも「マネーフォワード」というサービスで、“見える化”のお手伝いをしています。でも、多くの人が実感しているはずですが、単に家計簿をつけているだけでは、このサイクルを実行に移すことが難しいんですよね。

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