編集長の岩田です。「iPhoneと繋がる電動バイク」の発表や、インターン生や若手の積極的な海外展開への登用など、何度もメディアに登場している、電動バイク・電気スクーターの日本最大手「テラモーターズ」。今回はそんな同社の”中の人”・事業開発グループの今野寿昭さんにお話を伺いました。電動バイクの拡大戦略とは?

──まずはご経歴を教えてください。

事業開発グループ 今野寿昭さん

事業開発グループ 今野寿昭さん

今野:大学卒業後、新卒で日産自動車に入社して、主にガソリンエンジンの開発に携わっていました。その後、岩瀬さん(ライフネット生命社長)と同じボストンコンサルティング(以下、BCG)に転職。そこには約6年半いまして、2013年5月にテラモーターズに転職しました。

──大手コンサルティング会社からベンチャーに飛び込む際に、周りの反対や不安はありませんでしたか?

今野:妻はBCGでの社内結婚だったので、こうしたチャレンジに対する理解があり、楽しく働けるのであれば良いと言ってくれました。ですが私の両親は、「また転職か」という感じでした。以前、日産を辞めるという話をした時も、かなりがっかりされたことがありましたが、今回も、また聞いたことのない会社か、と(笑)。

自分の気持ちで言うと当然不安はあって、収入は減りますし、自分のキャリアにとってよい判断なのかという迷いもありました。けれども、テラモーターズ代表の徳重が言う「世界で通用する製品を作りたい」という理念に強く共感したんです。昔、バイクは乗っていましたので製品としての興味ももっていたのですが、最後は理念への共感が、不安や迷いをかき消してくれました。

──現在の仕事内容を教えてください。

今野:交渉ごとから開発まで、さまざまなことを幅広くやっています。入社した時は営業でした。弊社で取り扱っている電動のシニアカーを「ホームセンターに置いて下さい」とバイヤーさんと膝詰めで話をしたり、バイク屋さんにも通いました。

その後、中国市場の調査に関わったり、技術の売り込みがあれば、それについてアセスメントを行ったり。そうこうしているうちに徐々に商品開発にも携わるようになり、電池やモーターなどのパワートレインの選定や、要素技術の開発などを行っています。

あとは緊急の開発課題があると、その解決に向けて色々なサプライヤーさんと交渉調整したりもしています。いい言葉で言うとユーティリティ、悪く言うと便利屋さん(笑)です。

──会社がまだ知られていないということで、相手の対応が冷たくなったりはしませんか?

14110402_2今野:電動バイク事業も5期目に入ったことで、バイク屋さんでの認知は上がっています。一方、ホームセンターのバイヤーさんの認知度はまだ低いですが、商品が魅力的だと取り扱ってくれます。

ですが、購入されるのは一般のお客様です。ビジネス誌でたくさん取材していただいているので、少しずつ認知は広がっているのですが、一般のお客さま感覚ではまだ「テラモーターズって何?」という状況です。この方たちに電動バイクの良さを伝えないといけないと思っています。

やるべきことは色々あるのですが、一番の課題は電動バイクの認知度を上げることだと思います。まだまだ一般的には知られていないですし、電動バイクのメリットも伝わっていないと思っています。

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