編集長の岩田です。
突然ですが、日本プロバスケットボールリーグ(通称:bjリーグ)で3度優勝したことのある沖縄県のプロチーム「琉球ゴールデンキングス(以下、キングス)」はご存知でしょうか。
人口約140万人の沖縄にもかかわらず、平均観客数が3,000名強と、bjリーグ全22チーム中もっとも多い動員数(2014-15シーズン)を誇ります。その人気の秘訣について、キングス営業部 部長の片野竜三(かたの・りゅうぞう)さんにうかがいました。

――本日、初めてbjリーグの試合を拝見しましたが、すごい迫力で驚きました。今では、リーグ優勝を3度するまでの強豪チームになっていますが、チーム創設(2007年)当初から、これほど盛り上がっていたのでしょうか?

琉球ゴールデンキングス 営業部 部長 片野竜三さん

琉球ゴールデンキングス 営業部 部長 片野竜三さん

片野:チーム創設の2007- 8シーズンは、成績の面では10勝しかできなくて、いわゆるボロ負けの状態でした。参入1年目だから勝ち続けることが難しかったのはわかっていましたけど、成績としては本当に散々で沖縄のホームゲームでは2回くらいしか勝ったことがなかったですね。

どんな会社も一緒だと思いますが、立ち上げ当初は集客面でも、とても苦労しました。ポスターを貼るにしても1件1件、私と上司と2人で沖縄県内のコンビニ300店ぐらいまわりしました。チケットの営業については、毎回有料のお客さまたちで満員になることが、ローカルチームとしての一番の価値だと思っていたので、いわゆるチケットの”ばら撒き”はなるべくしないようにしてました。

例えば高校のバスケットチームの決勝戦ですと、お客さんが多く来るんですけど、入場無料です。プロ野球のキャンプも無料で選手が間近に見られて、サインまで貰えて、っていうような土地柄なので、1年目はチケットの価値をどこまでキープできるかの戦いでしたね。価格設定も、どういう席がいい席だということお客さまに伝えて、チケットの価値をファンの方に浸透させていくことに注力しました。

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結果として、応援に来てくれる観客の方は、現在と比べると少ないですが、当時で1試合平均1,600人くらいになりました。元々沖縄の方は、地元が好きでスポーツが好きで、しかもバスケット自体に非常になじみがある土地柄っていうこともあったので、1年目は成績では苦しみましたが、バスケットの好きな方には楽しんでいただけたのかな、と思ったシーズンでした。

――チーム運営を行うにあたり、例えばプロ野球であるとかJリーグであるとか、何か参考にされたものはありましたか?

片野:本当に沢山のところを参考にしました。もちろんbjリーグの先輩チームも参考にしましたし、Jリーグは既に地域密着がある程度成功していましたので、そこも参考にしました。
一方、僕らの場合は、上司が以前NBA(アメリカ・プロバスケットリーグ)で働いていましたので、NBAみたいにエンターテイメントとしてバスケットを楽しんでいただきたい、というのがチーム運営の大前提としてあったんです。

沖縄のような小さなベッドタウンでは実現は難しいかも、と思ったこともありましたが、気がつけば、NBAのようなスポーツエンターテイメントを提供することで、地域の方も見に来てくれて、試合を見て元気になっていただくというのが、僕たちの目標になっていきました。

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