――試合の雰囲気はチームごとに異なるのでしょうか。

片野:全く違いますね。今はbjリーグには22チームあり、それぞれ特徴があります。キングスの場合は、エンターテイメントとして楽しんでいただくことを大切にしているので、試合中の演出についてもこだわっています。そこはNBAを手本にしている所以だと思いますが、例えば試合開始前に会場の電気を全て消して、音楽と照明を使って選手紹介を行います。
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体育館の照明はほとんど水銀灯なので、一回消すと次に点けたとき、明るくなるのに時間がかかるんです。なので運営効率など考えると本当は明るいままやりたいのですが、暗い中からスポットライトに照らされた選手たちが入場してくるのは、NBAの入場演出のようで、誰が見てもカッコイイことだから、これはやろうと決めました。極端なことをいうと、あの演出を見たいがためにキングスの会場来る方もたくさんいらっしゃいます。

会場の照明以外にも、スコアボードの下に強いライトを設置し、入場シーンはそのライトで演出をして、試合が始まるころに一旦消した水銀灯が徐々に明るくなってくる、そんな独特の雰囲気になります。

――選手のモチベーションも相当上がったんじゃないでしょうか?

片野:そうですね。困ったことに、対戦チームの選手も結構テンションが上がるようですけど(笑)。

――キングスについているスポンサーさんを拝見すると、とても多いなという印象があります。チームとスポンサーとの関係は最初からスムーズだったんでしょうか?

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片野:スポンサーは徐々に増えていきました。1年目は2、30社ぐらいでした。今は協賛までいれると200社ぐらいになっています。これは、すごく沢山の方に応援していただいているということなので、とてもありがたいです。一方、球団を運営していく上で大きなスポンサーからの収入を安定的にほしいとも思っています。沖縄という土地柄は、スポンサー獲得にはなかなか難しいことがあります。

なぜなら、140万人という小さい人口の街で毎試合、客席をうめなきゃいけないっていう問題があるからです。これはチーム経営という目線で考えると大きなリスクのひとつでもあります。だからこそ、いいゲームをして勝つことはもちろんですが、試合演出やプロモーションなどお客さまが飽きないようにするのが生命線なんです。沖縄の方がキングスに飽きてしまったら、他に見に来る人はいないんです。そうなると、スポンサーも獲得できない。

ですので、地域密着も大切にしています。キングスの選手の半分は沖縄出身です。勝つことだけを優先し、強いチームになりたかったら出身地にこだわらず強い選手をたくさん獲得するほうがいいはずです。おそらくですが、日本のプロスポーツで半分以上地元の県の選手がいるチーム自体ないと思います。しかもそれで3度優勝しているのは1チームもないと思います。

――これだけファンに愛されるチームですと、チーム内でのコミュニケーションも円滑なような気がしますがいかがでしょうか?

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片野:チームでは、優勝をめざすのは当然として、ただ勝つだけではなく、お客さんを喜ばせて勝とう、と常に話をしています。何かを決める時には、ヘッドコーチやアシスタントコーチ、トレーナーといった選手側にいるスタッフと、チケット販売、スポンサー営業やファンクラブ担当といった営業スタッフがみんな一緒になって会議します。

例えば、今日のゲームが終わったら売上がどれぐらいだったとか、チケットはこれぐらい売れましたとか、お客さんの反応はどうだったのか、演出はスムーズにいったか。ときには、得点差が圧倒的にあって勝っていたとするならば、なぜ控えの選手もっと出さないのか!ということまで言い合います。私たちは役割を超えてすごくたくさん話をします。

そんな運営ですから、チームに関わるスタッフ全員が、お客さんがたくさんきて、スポンサーがたくさんついてくれることでチームが成り立っていることを、よく分かっていると思います。時には、選手に入ってもらって会議をすることもあります。選手の状況とか監督の考えを共有し、それをお互いが理解し、助け合ったりして、球団の価値自体をもっと高めていきたいと思っています。

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