若い女性・新緑少子化社会にあって、これからの日本企業には女性の活用が欠かせないと言われています。しかし職場に育休・産休制度があっても、実際にはとりづらさを感じる女性が多く、子育てと仕事の両立にはまだまだ課題が山積しているのが現状です。

そんな今、女性はどのようにキャリア設計を考えていけばいいのか。また、子どもを増やしていくために、日本はどんな社会を目指していくべきなのか。少子化ジャーナリストの白河桃子さんにお話を聞きました。(前編「“キラキラ系キャリア教育”が、女性の専業主婦願望を後押しする」はこちら)

■創業メンバーが育児世代になったベンチャーは狙い目

──昨年12月、ニコニコ動画などを運営するドワンゴさんが、社内に保育施設をオープンしたことがニュースになりました。このように、最近の企業はさまざまなかたちで育児と仕事の両立を模索しています。

白河:「怒りの託児所」ですね(※)。本当はこうした動きがもっと広がれば女性も働きやすくなるのですが、ドワンゴさんの例は経営者自身が子育て世代だったということもあり、自分事として考えられたからこその決断だったのでしょう。

(※)ドワンゴが託児所を社内に設置した背景には、同社の川上量生会長自身が娘のために保育園を探したところ、待機児童問題の深刻さを実感したことが発端と語っている。

──確かに、意思決定者が若いという点は重要ですね。

白河:そういう意味では、ドワンゴさんのように創業から15期から20期目くらいの企業は子育てをしながら働きたい女性には狙い目かもしれません。創業時には仕事もプライベートも境目なく働かないといけなかったのが、20期も経つと徐々に創業メンバー自身が育児に直面するようになっていく。

また、ベンチャー企業は男性も女性も関係なく、優秀な人材であれば採用するところが多いです。すると、社内で重要なポジションを担っている女性たちが出産適齢期に引退されると困るわけです。だから彼女たちが辞めないように社内改革をする必要に迫られます。だから大企業で窮屈な思いをするよりも、ベンチャー企業のほうが仕事と育児の両立という意味では実現しやすいのではと思います。もちろん、仕事は大変ですけどね。

──女性の働き方を考えるうえでは、出産で辞めても、育児が一段落したあとに復職できるのかという問題もあります。

白河:実際に復職できる人が多い企業はまだ少ないでしょう。あとは、つぶしの効くのスキルを持っている人であれば、中途採用で別の企業に行ったり、フリーランスになって自宅で続けるという選択肢もあります。ただ、残念ながら均等にチャンスがあるわけではありません。

だから私は大学などでは、生徒たちに「とにかく、辞めることを前提に考えないで」と伝えています。細々とでも、何とか働く道を探すことで拓ける道もありますから。それが「結婚=仕事を辞める」だと、夫の収入に依存した生活になってしまう。終身雇用の前提が崩れている現在、それはあまりにもリスクが高い考え方なのです。

■フランスはもともと、ものすごい男尊女卑社会だった

──女性が働きながら子どもを育てる。そんな社会の実現例として、白河さんの著書『専業主婦になりたい女たち』の中でフランスの事例を紹介していますね。

白河:フランスはもともと、1965年まで「妻は夫の許可がないと働いてはいけない」という法律があったほど保守的な国だったそうですが、社会が流動化し、伝統的な家族制度が崩壊していくなかで、政策を現実に合わせて変化していきました。

まず、子育てへの手当が厚い。子どもが増えるごとにいろんな手当が支給され、シングルマザーであれば、「子どもが4人もいれば親業だけで飢えることはない」という状態になります。だから、離婚のリスクがあっても安心して子どもを生むことができる。

一方で、女性たち自身も制度に甘えることがありません。フランス女性の8割が働いており、日本よりも社会進出への意欲は高いほどです。こうした制度と意識の改革が進んだ結果、今では2.0以上の出生率を実現しています。

──どうしてフランスの政策はうまくいったのでしょう?

白河:仕事もパートナーの収入がなくなっても、子育てだけは大丈夫という社会をつくったからだと思います。フランスがすごいのは、仕事も流動的だし、恋愛も流動的になっていることを前提にしたうえで、社会の基礎を支える制度へとつくり直したことです。

どんな国であれ、先進国では成長の過程で出生率は下がるものなんですよ。女性は子どもを生んで当たり前、男性は家庭を支えて当たり前だったのが、いろんな生き方が選べるようになり、子どもを生むことが義務から選択になっていく。そんな社会では新しく子どもを持つ意味や楽しさを立ち上げていかないと、少子化問題は解決しないんです。フランスはそこを徹底的につくり直した。

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