田中美和さん(株式会社Waris CCO)

田中美和さん(株式会社Waris CCO)

夫婦共働きも珍しくない現在、女性にとって子育てと仕事の両立は非常に関心の高いテーマ。しかし、働くママに対してしっかりしたサポートを用意している会社が少ないのが現実です。そこで注目を集めているのが、「フリーランス」という働き方です。

2013年4月に創業した株式会社Waris(ワリス)では、ワーキングマザーのフリーランス化を支援しています。それも、デザイナーやエンジニアといった特殊なスキルを持った女性というより、文系総合職(人事や経理、広報など)の人々のジョブマッチングを行っているのです。

しかし文系総合職は能力を客観的に評価しづらく、フリーランスには向かないと思われています。同社CCOで、著書『普通の会社員がフリーランスで稼ぐ』がある田中美和さんに、そうした問題をどのように解決しているのか聞いてみました。

■「私はまったく強みがない。どうしたらいいんでしょう?」

──前回のインタビューでは、Warisのビジネスモデルや、女性がフリーランスになるために必要なスキルについてうかがいました。そこで疑問なのが、Warisではどのようにして文系総合職のスキルを評価しているのかという点です。

田中:確かに、人事や経理、広報といった人たちのスキルは、デザイナーやエンジニアのような具体的な成果物があるわけではないので、客観的に評価することが難しいですね。相談に来る女性の方々でも、「私はまったく強みがないので、どうしたらいいんでしょう?」と自分のスキルを把握していないことがあります。

15031301_2

──社員採用であれば試用期間に一緒に働いてみてから、正式に採用という流れを経ているのだと思います。しかしフリーランスでそれはできない。その問題を解決するためにどんな工夫を?

田中:まず、登録していただいた方は履歴書と職務経歴書を提出してもらったうえで、みなさんと面談をしています。弊社のカウンセラーがお話を細かく聞いていくんです。マーケティングをしていたといっても、具体的にどんなポジションで、どんな業務に携わっていたのか。それをチェックするための専用のスキルチェックシートもあるんですよ。

これは文系総合職の業務をすごく細かく分類したもので、経験したことがあるものに◯をつけてもらいます。例えば広報であれば、販促プランニングには◯がついているけど、イベント業務はやったことがないんだなとか、でも企画の意思決定には◯があるから、リーダーとして統括する立場は経験しているんだな……といったことがわかります。

──なるほど、その人の経験を細かく分類することで、漠然とした職種の内容が、具体的に把握することができると。

田中:そうです。企業様からは「この商品の宣伝企画にこういう風に関わってほしい」というように依頼があるので、じゃあ、そのオーダーにマッチングする人はこの方ですね、と紹介できるんです。

あとは弊社経由での案件が終了した際には、企業様からもフィードバックをいただいています。それを社内に蓄積して、さらにマッチングの精度を高めています。

──フィードバックでマイナス評価があることは?

田中:それほど数が多いわけではないですが、ありますね。

──その原因は?

田中:依頼の期待値と紹介する方のスキルがうまく擦り合っていなかった、というケースがほとんどですね。それを避けるためには、私たちのほうで企業様の要求をもっとうまく言語化していかないといけないと思っています。

──エンジニアであれば、「こういうシステムを組める人がほしい」と要求が明確ですが、文系総合職だと漠然と「こういう業務をやってほしい」といったことが多いでしょうからね。

田中:そうですね。企業様でも、どんなことを具体的にお願いしていいのかわからないといったこともあります。だから、単に仕事を紹介するだけでなく、企業のニーズをうまく言語化してあげることも重要なんです。

(次ページ)女性のキャリアプランはジグザグ型