15032401_1子どもができたことをきっかけに、「子育て」を自身のドメインとし、働く子育て層を応援するサービスを目指し始めたセンジュの曽原健太郎さん。スマートフォン向けアプリ「comolib」が完成するまでの道のりをお話ししてくれました。(前編はこちら)

■情報の供給源が絶たれている

子育て中のパパとママのリアルで切実な要望に応えるアプリを実現するには、まず、どうした情報が求められているかのリサーチが欠かせません。曽原さんとUX(ユーザーエクスペリエンス)デザイナーは、ひたすらユーザーの話に耳を傾けました。

対象者は、子育て中の働くママとパパに加えて、専業主婦や育休中の女性たち。東京に限らず、地方在住者も含めて幅広くインタビューを行いました。中でもウエイトを置いてリサーチしたのが、ネットをアクティブに活用する共働き層です。
インタビューから見えてきたのは、ママたちの意外な実態でした。

「育休中のお母さん方の間ではママ友ネットワークが機能しているんですが、働き始めるとそこが手薄になってしまうんですね。友達とランチに行くということも気軽にできない環境の中で、情報入手をするための供給源が絶たれてしまうというか。お父さんの方はもっとその傾向が強くて、友達のパパから聞くか、奥さんからの情報しかない。みな、情報が限定的になっていることがわかってきました」

ママたちの中にもしっかりとしたママ友ネットワークに身を置いて、抜かりなく情報収集に努めている人もいますが、皆がみな、出来るわけではありません。情報は欲しいけれど、そうしたネットワークが好きじゃないという人、引っ越してきたばかりで周囲に友だちと呼べる人が少ないという人等、さまざまです。曽原さんは、そうした実態を踏まえた上で、情報源とは距離がある層に「刺さる」アプリを追求しました。

comolibアプリには信頼のあるクチコミ情報がたくさん

comolibアプリには信頼のあるクチコミ情報がたくさん

■情報の裏を取り、信ぴょう性を担保

アプリ「comolib」では、ベビーカーでの入店の可否、おむつ替えコーナーや授乳ルーム、個室の有無など、子連れで出かけるパパ・ママに必須の情報をレストランやイベント会場など場所ごとに公開しています。
そうした情報を紹介する上で、曽原さんがもっともこだわったのはクチコミ情報の信ぴょう性の確保でした。

「実際に足を運んでみたら、『お子様はなるべくご遠慮ください』と言われてしまったというのでは、途方に暮れてしまいますよね。それはUXという点では我々が目指すクオリティに達していないので、非常に気をつけている点です。具体的には、一件一件登録する施設やお店に、スタッフが電話をして、『実際に赤ちゃんを連れていってもいいですか』とか『子どもがまだ小さいんですが、大丈夫ですか』と確認しています。現実にそこで登録を見送るケースもあるんです」

地方の情報についても、例えばイベント会場に出店している人に聞いたり、いろいろな団体に確認をしたり、アンケートを取ったりといった形で、裏付けをとっているという曽原さん。インターネットの世界にはたくさんの便利で有益なサービスが登場していますが、情報の正しさを担保するサービスは、少数派ではないでしょうか。表には見えない地道な取り組みが「comolib」のクオリティを支え、ユーザーの信頼獲得に力を貸しています。

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