■パパにも使ってもらうためのこだわり

「comolib」の制作において、もう一つ、曽原さんが重視した点があります。

「このアプリは、パパにもママにも同じように使ってほしい。利用する方には、男性も含まれるし、専業家庭の男性にも使ってほしいと思っています。だから、見た目のデザインにもこだわりました。ロゴを皇帝ペンギンにしたのは、オスもメスもいっしょに子育てをするからです。

それに、動物のアプリって覚えてもらいやすいじゃないですか(笑)。僕がセンジュを立ち上げる前の半年間、働いていたorigamiのアプリはロゴが鶴ですし、僕が好きでよく使っているevernoteは象がモチーフ。アイコンは何か動物にしたいと思って、たどりついたのがペンギンでした」

comolibのアイキャッチはペンギンの親子。青色系なので男性も抵抗感なく使いやすい。

comolibのアイキャッチはペンギンの親子。青色系なので男性も抵抗感なく使いやすい。

男性だろうと女性だろうと関係ない。性別や年齢は関係なく、子どもを育てているすべての人が利用しやすいようにと、曽原さんはアプリのデザインは青を基調にしました。これも、ユーザーインタビューの結果を受けての決断です。

「子育て系のウェブサービスにはピンク色のUI(ユーザーインターフェース)が多いんですよ。でも、それだと男性が利用したいと思っても、なんとなく自分が受け入れられていないような気がするんですね。女性の中にも、『女性向けのサービスならやっぱりピンクでしょう』と言われているみたいで利用する気になれないと思う方も少なくない。別にピンク色のサイトが悪いとは思っていませんが、comolibは性別や年齢関係なく利用してみたくなるUIを目指しました」

■目指すのは情報のパーソナル化

2014年10月22日、センジュの第一弾サービスとして、「comolib」のリリース日を迎えました。

「comolib」の大きな特徴として挙げられるのが、子ども連れで出かける人たちに便利な情報が掲載されているだけでなく、利用者ならではのリアルなクチコミ情報をチェックできることでしょう。実際に子どもを連れて行ったみたら楽だった、便利だった、楽しかった。そんな体験談をどれだけ積み重ねられるかを曽原さんは重視しています。

「僕や僕の奥さんも実際に『comolib』を利用しているんですが、普通にユーザーとして使ってみると、営業時間が書いていないとか、気づきもたくさんあります。

営業時間をすべて載せるのは運営側としては大変なんですが、載せた方が良いと利用してみて思いました(笑)。そういう意味では、僕も『comolib』のコミュニティの一員ですね」

現在は都市圏の情報が充実している「comolib」ですが、2015年3月末には全国展開を図るといいます。機能についても進化の途上にあり、いま曽原さんが目指しているのは、情報のパーソナル化です。

「『あなたの子どもと同じ10ヶ月のお子さんを持つ方が、こういう場所に行って良かったと言っていますよ』といった具合に、個々の状況に応じて情報をレコメンドしていく機能を考えています。あとは、住んでいるエリアであったり、車の有無であったり、そうしたファクトに応じて、施設にパラメーターのようなものをつけていく。

それから、興味のあるタグを入れられる機能も追加したいですね。アウトドアとかキャンプ、室内遊びなど、タグを入れていくと、それに合った場所が出てくる。本当の意味でのパーソナルな体験を届けるというのが実は僕らの目標なんです」

そう話しながら、「すでに準備は進めています」と笑う曽原さん。毎朝、お子さんを保育園に送るのが日課という曽原さん率いるセンジュが次はどんなサービスを送り出すのでしょうか。

<プロフィール>
曽原健太郎(そはら・けんたろう)
マッキンゼー・アンド・カンパニーに新卒で入社し、2011年8月に退社。ベインキャピタルに転職し、2013年8月まで勤めた後、ソーシャルショッピングアプリ「origami」を運営する知己の康井義貴氏に誘われ、半年間の約束でorigamiに入社。2014年1月に、「男女問わず、子育てをしながら自らの人生を歩む人を増やす」というビジョンのもと、子育て中で忙しい人が本当に求めているサービスを開発するセンジュを設立した。2014年10月にリリースしたスマートフォン向けアプリ「comolib」は、子連れお出かけ情報のクチコミ件数では業界No.1を誇る。

<クレジット>
取材/ライフネットジャーナル オンライン編集部
文/三田村蕗子