Wedding shot of bride and groom in parkみなさんは、フォトウェディングという言葉をご存知でしょうか。結婚式とは別にゆっくり時間をかけて、ウェディング写真の撮影をすることで、アジア諸国では多くのカップルが利用しています。 ベトナム、シンガポールでウェディング事業に携わった経験を活かし、ウェディング撮影のマッチングサービスを日本で立ち上げた、株式会社Famarry代表の藤井悠夏さんに、日本とその他アジア諸国の結婚文化の違いをうかがいました。

■日本人はドレス重視、アジア人は写真重視

──Famarry(ファマリー)というフォトウェディングのサービスを立ち上げたきっかけを教えてください。

藤井:私は去年(2014年)の10月まで、ベトナムに2年弱、シンガポールに2年弱と計3年半ほどアジアに住んでいて、その時の経験が事業構想のネタになっています。その2か国に限らず、アジア各国では写真への熱がとても高く、街を歩いてると結婚式の写真を撮っている場面に、よく出くわすんです。こだわりがより強い人だと、海外に写真を撮りにいくことも多いんですね。そこで、自分が日本人ということもあり、日本へフォトウェディングの写真を撮りに行きたいという人のコーディネートをシンガポール時代に始めました。

もともとウェディングポータルサイトなどのメディアの立ち上げを行っていたこともあり、ただ一人一人に対して撮影コーディネートをするだけでなく、いいなと思った写真がどこで誰が撮ったものかわかるような、プラットフォームになるサービスがあれば、と思ったのがきっかけです。

藤井悠夏さん(株式会社Famarry代表)

藤井悠夏さん(株式会社Famarry代表)

──アジアの方のこだわりというのは、実際にどんなものなんですか?

藤井:まず、かけるお金が違います。シンガポールでいうと、ドレス代やヘアメイク代も合わせて前撮りの撮影費として30~40万円をかけます。海外で撮影する場合は、フォトグラファーの飛行機代やホテル代も払って撮影する人も多く、トータルだと結構な金額になります。

──なぜ、そんなに撮影に費用をかけるんでしょうか?

藤井:アジアの場合、結婚式に呼ぶ人数がとても多い。300人とか、下手したら1,000人くらいのことも。親の影響力が強くて、親の知り合いとかをたくさん呼ぶからなんですが、そうすると、本人たちの意見やこだわりは反映しづらくなります。だから、写真だけでも自分たちのこだわりを表現したいというカップルが多いように思います。見栄の文化もあるので、当日に見せる写真にこだわりたいというマインドも影響していますね。 一方で、ドレスにはあまりお金をかけない。写真にしてしまえば、品質の差はそんなにわからないですからね。日本では逆ですよね。20〜30万円でドレスをレンタルするけど、撮影は5万円でOKみたいな場合が多いと思うので、そのあたりの金銭感覚は、日本人とその他アジア人で大きく違うなと思います。

──他にも文化的な、日本との違いってありましたか?

藤井:東南アジアの人たちって、結婚式自体を家でやることが多いんですね。日本だとウェディング用に建てたチャペルでやったりしますけど、それは日本だけ。あとは、シンガポールの場合だと、レジストリー・オブ・マリッジ(ROM)という場所で、結婚の登録をしなきゃいけないんです。家でティーセレモニーをやって、ROMでライセンスを持った人の立会いのもと結婚の登録をする。最後にホテルやレストランで披露宴を。結婚式が3〜4か所に渡って行われます。

──スタートが家ということは、その段階からドレスアップしているんですか?

藤井:そうですね。家の時は、トラディショナルな衣装を着ますね。ベトナムだとアオザイ、シンガポールならチャイナ服、みたいな。

──家から始まって、場所も変わっていくとなると、各シチュエーションで写真を撮るというのは、雰囲気作りに非常に大事ですね。

藤井:そうですね。

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