藤井悠夏さん(株式会社Famarry代表)

藤井悠夏さん(株式会社Famarry代表)

リクルートでのゼクシィ営業部勤務、ベトナム現地法人でのウェディングポータルサイト立ち上げ、シンガポールでのウェディング事業の立ち上げと、ウェディング関連事業に携わってきた、株式会社Famarry代表の藤井悠夏さん。思い出に残るこだわりの写真を撮るという、アジア諸国では主流のフォトウェディングを日本にも取り入れたいと、カップルとフォトグラファーを結びつけるポータルサイト「Famarry(ファマリー)」を立ち上げました。

日本にはまだ馴染みが薄いフォトウェディング。藤井さんが事業に込めた思いと、今後の展望についておうかがいしました。
(前編はこちら)

■フォトウェディングは浸透するか? 日本人にとっての写真とは

──3月にサービスを開始して、これまでフォトウェディングに対してどういった声が集まっていますか?

藤井:ユーザーインタビューによると、こういう写真が撮れるということを、そもそも知らなかったという声が多いですね。始めのうちは、誰にでもというよりは、ウェディング写真にこだわりたい人に知ってもらって、そういう人たち向けのサービスにしていきたいと思います。

──海外の人と比べると、日本人って、自分で取捨選択するというのが得意じゃないと思うんですが、そのあたりはどう思いますか?

藤井:これまで日本では、ワンパッケージのビジネスが浸透しやすかったと思います。でも、例えば旅行で言うと、パッケージツアーではなく、フライトもホテルも自分で選ぶ人が増えてきています。Airbnbが浸透し始めたのもそうですよね。ワンパッケージの良さももちろんあるので、なくなるとは思っていないですが、自分で何かをやりたいという意思のある人にとって、私たちのサービスが選択肢のひとつになるようにしていきたいな、と思っています。

──自分で選んで決める、というのを一度やって慣れると、その後も絶対に選択肢の中に入ってきますよね。

藤井:ただ、ウェディングの場合難しいのは、旅行みたいに何度もリピートするものではないので、最初からすごくわかりやすくしないといけないなとは思っています。あとは、ウェディングに限らず、フォトグラファーさんを選べるグローバルなサービスにしたいとも思っています。子どもを産んだ時の家族写真とか、旅行先での写真とか。ウェディングをきっかけに、リピートしてもらえるようなサービスに育てていきたいと思っています。

plum velvet wedding photo book album
──スマートフォンが出てきたことで、写真を撮る感覚が変わってきていると思うんですが。昔は、かしこまって撮るものっていうイメージがあったかと。

藤井:そうですね。七五三の時に、写真館でパチリ、みたいな。それが変わると思っています。ドラマチックに撮る人もいれば、感情が伝わるようなあたたかい写真を撮る人もいるし、アーティスティックに撮る人もいる。今までは通り一辺倒な感じがありましたが、スタイルが多様化するんじゃないかなと。

話は変わりますが、ミックスチャンネル(※)の特集をテレビでやっていて、キスシーンを動画で残すことが流行ってます、と。日本人って結婚式でも、キスシーンを撮るのは恥ずかしがったりするんですよ。でも、海外の人はキスしたり抱き合ったりしてる写真を、街中でもバンバン撮っています。ミックスチャンネルとかを見てると、そういうラブラブな写真を撮ってみんなに見せることへの抵抗感が、薄れていくのかなと思いました。アジアの熱い写真文化の新しい波が来ればいいな、とか。

──日本って今まで、アジアの中で発信者的なポジションであるという意識があったと思うんです。でもこれからは、色々な文化を取り入れて、イケてる、面白いものが増えていくんじゃないかなという気がしています。「どこから来た」というのに、こだわらなくなるというか。

藤井:いいものはいいと思うので、そうあるべきですね。写真にしたって、年賀状にするためだけのもの、というのはもったいない。いつも見返したり飾りたくなるような、絆が深まる素敵な写真を残す習慣が定着するといいなと思います。

※ミックスチャンネル…スマートフォンで10秒の短編動画を撮影・編集できるアプリ。作成した動画は、サイトに投稿可能。動画を視聴したり、コメントを投稿したりと、ユーザー同士の交流もできる。

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