1506oc_main2014年、国土交通省が発表したデータによると、空き家の数は全国で約820万戸。空き家率は過去最高の13.5%にもなるそうです。団塊の世代が年をとり介護施設に移動したり、老朽化して住めなくなった家を引継ぐなど、古い住宅の使い道に困って放置している人も多いのでは?

その空き家対策としてよく耳にする「リノベーション」。中古住宅や既存の建物を暮らしやすいよう包括的に改修することをいいますが、実情がよく解らず躊躇している人も少なくないでしょう。
そんな思い悩んでいる方は、気軽に訪問可能なリノベーションされたカフェ(通称:リノベカフェ)でイメージを掴んでみるのはいかがでしょうか。工夫してリノベーションを行えば少ない予算で自分好みの住まいを作ることも可能です。プロが手がけたリノベカフェでぜひイメージを膨らませてみてください。

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※この記事は、おうちと暮らしの情報マガジン「オウチーノ de ヨムーノ」から提供を受けています。

今回ご紹介したいのは豊島区・鬼子母神へ向かう参道にある自家焙煎珈琲店「キアズマ珈琲」。昭和初期に建てられた築80年の「並木ハウス別館」の一室にあり、奥にはかつて漫画家の手塚治虫氏が実際に暮らして漫画を描いていた「並木ハウス」も見える、古い家屋をリノベーションしたカフェです。

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入り口の引き戸を開くと1階はシックな木目調のカウンターと小さなテーブル2席。2階は天井を取り払い剥き出しのままの梁や屋根裏など昔ながらの雰因気も残しつつ、1階奥の壁面や2階の一角を黄色や赤色にするなど、モダンなデザインも上手く融合させているオシャレなカフェです。また2階の床を一部外して吹き抜けも設置。古い建物にありがちな閉塞感を、感じさせない工夫が取り入れられていました。

■キアズマ珈琲のリノベーションに学ぶ、一般住宅でも参考にできるポイント

●注目ポイント 1:さまざまなことに使える黒板風の壁

1506oc_3店内入ってすぐ、カウンターの後ろ一面に広がる黒板風の壁は、その日のメニューなどを書くのに使用。家族内の連絡板から子どものお絵かき用まで、さまざまなことに使えて簡単にできるので、一般住宅でもオススメだそうです。

こちらのお店ではシックなカウンターに合わせて落ち着いた暗めの色で塗られていますが、赤や青、黄色、ピンクなどのバリエーションもあるそうです。好きな色を選べるので、子ども部屋やキッチンのアクセントとして取り入れることもできますね。ホームセンターなどでは安いもので1,000円くらいから黒板塗料は売っていますが、塗る面を平らにしたり色ムラが出来ないようにするなど綺麗に仕上げるためには技術も必要なので、リフォーム会社などに頼んだほうが安心です。

●注目ポイント 2:明るく見せるだけでなく、どこにいても様子がわかる吹き抜け

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1階の入り口近くの天井を外して作った吹き抜けによって明るくなった店内。小さいながらも吹き抜けを作ったことによって、2階で片付けている時も1階の様子がわかり便利だそう。常連さんになると、吹き抜けを通して追加のオーダーをしてくることもあるんだとか。一般住宅でも家族とのコミュニケーションに一役かってくれそうです。どんな古い建物でもきちんと構造を計算し補強すれば基本は作ることができるそうで、賃貸の場合でも原状復帰も可能。お値段は少し値が張りますが、室内の環境が一変するおすすめのリノベポイントです。

●注目ポイント 3:古い押し入れを改造して自分だけのマイスペース確保
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2階には古い押し入れがあった場所を作りなおした、お一人様用の半個室も。机には本が並べられゆったりと読書などを楽しめる憩いの場になっています。昔ながらの畳敷きの住宅を改修される際は、自分の部屋がないお父さんやお母さんのマイスペースとしてデッドスペースを有効活用してみてはいかがでしょう。横の壁も下地に塗る塗料を使用し、塗り方を工夫して木目が浮き出るようにすることで周りにある昔ながらの壁とマッチするようにしてあり、費用も比較的安く改修できます。

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店長の高安さんからは「当時流行っていた北欧風のカフェや、ただ古さを強調した古民家カフェにはしたくない」と要望され、古い物は古い物らしく、新しい物はそれと解る様に、あえて対峙させたデザインも取り入れたという中川さん。空間に変化をつけた赤や黄色の壁はザラッとした質感の塗料で塗っていたり、窓の手前に壁を一枚建てて窓枠をあえて隠すことで、外の風景を絵画のように見せるなど、自宅リノベのヒントがたくさん。リノベーションを見当している方、ぜひご参考にしてください。

<取材協力>
■キアズマ珈琲
■一級建築士事務所アトリエエスタス建築設計事務所

記事提供元:おうちと暮らしの情報マガジン「オウチーノ de ヨムーノ