15062302_1イングレスを知っていますか? 世界を舞台にGPSを使っておこなう陣取りゲームアプリのことで、スマホを片手に、「ポータル」と呼ばれる拠点を取り合うプレイヤーが日本でも増えています。

ゲームの仕組みを簡単に説明すると、このポータルがアプリの地図上のあちこちに設定されています(読者の近所にもあります)。プレイヤーはGPS機能をONにした端末を片手に、現地に足を運ぶことで、無数のライバルたちと仮想空間上でポータルの取り合いを行うのです。

ポイントは、現地にちゃんと足を運ばなければならないところ。実はこの仕様が、ダイエットに効果的だと思われます。

今年3月より、ライフネット生命の社内有志によりダイエット企画が行われています。ウェブ企業ということもあり、デスクワークが多く運動不足になりがちな状況を改善するため、チームでモチベーションを保ちながら、健康管理をしていこうというわけです。

ダイエットのやり方は自由。その中で、複数の参加者がイングレスを「ダイエットの手段」として取り入れており、その「現地に実際に足を運ぶ」というゲーム性が、定期的な運動の習慣化に役立っているのです。

イングレスより

イングレスより

「いつもは食事制限のみで失敗しているのですが、今回は苦手な運動を加えたことが功を奏していると思います。運動は、週に1回の皇居ランニング(5km)、週に2回の自宅から渋谷までウォーキング(5km)、そして週に1回のイングレスのウォーキング(5km)です。あと、夜ご飯をささみのサラダにしています。

運動は挫折しやすかったタイプだったものの、この企画では、周囲に仲間がいて励まし合うところ、ランニングアプリやイングレスできちんと走っているかどうかが互いに確認できるところが、継続に結びついていると思います。極端な食事制限をしているわけではないので、ツラさは意外に感じません」(Aさん・女性)

「イングレスはおすすめです。食事制限の一環でキャベツの千切りをなるべく食べるようにしているのですが、これだけだと、『我慢した分だけ、唐揚げとか食べてもいいよね』という欲が出てきてしまいます。

しかしイングレスにハマることで、そこに運動を組み合わせることができています。運動しているというより、ゲームに没頭している感じなので、ツラくないんです。夏までに海パン一丁になっても大丈夫なくらいまで体重を落とすことが目標です」(Bさん・男性)

また、別の参加者は最近ブームとなっている「糖質制限」でダイエットに励んでいます。

「ここ2、3年で体重が急激に増加したので、やばいなと思っていました。ダイエット方法は、夜の炭水化物抜きです。サラダとスープだけにしています。その代わり、朝と昼は普通に食べているんですね。それでも効果はしっかり出ています。5カ月で8kg減が目標でしたが、3カ月ほどで4kgほど落ちています」(Cさん・男性)

「若い頃はずっと痩せていたのですが、年齢とともに体重が増えていて……。私も夜に炭水化物を抜いています。2カ月半で3kg落ちましたね」(Dさん・男性)

メンバーの間で豆腐消費量がにわかに急増

メンバーの間で豆腐消費量がにわかに急増

どちらも「夜は炭水化物なし」だけで効果が出ている様子。しかし、手軽な分だけ、モチベーションを保つのが大変ともいいます。

ダイエットに関するの掲示板やSNSを見ても、「最初に飛ばし過ぎたため、やる気がなくなってきた」「お米の誘惑がすごい」「ご飯が物足りない」といった声が、糖質制限の実践者からは聞かれます。

ダイエット企画の立ち上げ人でもある、Eさん(男性)は、「リバウンドを防ぐ」という視点から、「レコーディング」で減量に取り組んでいます。

「ここ数年の間に、ひとりで何度かダイエットを行うも、『急激に体重減らせた! でも結局、リバウンド……』ということを繰り返してきました。そこで過去の反省をもとに、

(1)中期計画を立てる
(2)周りを巻き込む
(3)無理せず楽しむ

というポイントを抑えることを考えました。実際にやっていることは、累計11kgの減量と目標を決め、週に3、4日は5~7kmのジョギング、お昼はガッツリ食べてもいいが夜は炭水化物を控え目に、といったことの組み合わせです。これらの行動はすべて記録するだけでなく、毎朝同じ時間に体重と体脂肪を計ることで、モチベーションを保っています」

Eさんがダイエットの課題と考えるのは、「いかに習慣化するのか」。そうでなければ、一時的に体重を減らせても、すぐにリバウンドしてしまう危険があるのです。

ハマればハマるほど、運動につながるのがイングレス。そして、効果はあるがリバウンドが気になると言われることが少なくない糖質ダイエット。ダイエット企画参加者のコメントを聞くと、食事を程ほどに、そして楽しく運動すること。これがダイエット継続の近道であり、仲間を巻き込めばますます効果大。ライフネット生命の社内企画からは、そんなことが学べそうです。

<クレジット>
文/小山田裕哉