最近ではクールビズに「ポロシャツ可」とする企業が増えました。しかし、ポロシャツは本来カジュアルなアイテム。それだけに、ビジネスシーンで着るには注意が必要なのです。
元伊勢丹メンズ館のバイヤーで、現在は男性専門のファッションコーディネートサービスを提供する「ライフブランディング」の代表を務める吉田泰則さんは、ポロシャツの着こなしは一歩間違えると、おじさんくさく見えてしまうと指摘します。
そこで今回は普段からポロシャツをよく着ている、ライフネット生命の本間が、「クールビズにポロシャツを着るうえで気をつけるべきこと」をうかがってきました。
(「センス不要!クールビズスタイルをかっこ良く見せる3つのルール」はこちら)
■裾でお尻が隠れる長さはNG
まずは本間のポロシャツスタイルをチェック。
「色や形の選び方は決して間違ってはいないのですが、気になるのは着丈ですね。ポロシャツは裾をパンツの外に出すことが基本になるので、着丈の長さが印象をとても左右するんです。鏡で後ろ姿を見て、お尻が隠れていたら、それは長すぎなのです」(吉田さん)
そこで本間の着丈を確認してみると、やはり裾が長いようです。
吉田さんのスタイリングのもと、適正なサイズ感のポロシャツに着替えてもらいました。すると……、
もちろん、ほかのアイテムの影響もありますが、先ほどのポロシャツより、かなり印象が違って見えます。
「裾がちょうどベルトの下あたりに収まり、お尻にかかりそうなくらいがジャストサイズです。短すぎると感じるかもしれませんが、実際に試着して比べてみると、はっきりと違いがわかるはずです」(吉田さん)
また、ビジネスシャツの着こなしの回でも説明したように、自分にちょうどフィットするサイズを確かめるためには、試着する際に鏡の前で腕を広げて、胸回りや胴回りが余分にダボダボしていないか見てください。
■上下で色をそろえると“全身タイツ”に見える
クールビズでポロシャツを着る際には、色や柄にも気を配りましょう。
「ビジネスシーンのポロシャツは、無地が基本です。ボーダー柄や大きくロゴが入っているタイプは、たとえオシャレに思っても避けたほうが無難でしょう。ビジネスシーンにおけるファッションは自分がどう思うかより、相手にどう見られるか。これはクールビズにおいても変わりません。ですので、派手に見えてしまう可能性のある柄物は着ないほうがいいのです」(吉田さん)
では、無地のポロシャツはどんな色味をそろえておけばいいのか。
「濃い色、淡い色、差し色という3つのカテゴリーに分けてそろえるといいでしょう。濃い色なら黒やネイビー、淡い色ならベージュやライトグレー、差し色はラベンダーやピンクといった具合です。それぞれのカテゴリーで1着ずつ持っておけば、着回しにも役立ちます。
パンツに合わせるときは、同じカテゴリーの色でそろえてしまうと“全身タイツ”のように見えてしまいます。『濃い色×淡い色』『淡い色×濃い色』のように、上下で色のバランスをとりましょう」(吉田さん)
■汗ジミが目立たない色の選び方
そして夏場のファッションだからこそ覚えておきたいのが、汗ジミ対策。こちらも色の選び方によって、汗ジミが目立つのを防ぐことができます。
「汗ジミが目立ちやすいのは、グレーや淡いピンク、水色といった薄い色です。反対に、モノトーン(黒や白)、ネイビーや濃いグレーなら、汗ジミは出にくいものです。汗をかきやすい体質だったり、外回りが多い仕事の方は、こうした点にも気をつけてポロシャツを選ぶといいでしょう」(吉田さん)
また、肌着を下に1枚着ておくのも汗ジミ対策に効果的だとか。
「シャツを着るときと同じですね。肌着の襟が見えないようにVネックのものを選べば、外からはまずわかりません」(吉田さん)
最後に、できれば素材にもこだわっておきたいところ。
「ポロシャツ姿が『ゴルフ場のおじさん』に見えないようにするためには、スポーツ用品店でよく見かける、合成繊維が多く使われているものを避けましょう。そういったポロシャツは汗が乾きやすかったり、防臭だったりと機能性には優れているのですが、表面がテカテカとして光沢のある素材のため、ビジネスシーンには不向きです。クールビズで着るなら、綿100%を選んでください」(吉田さん)
正しく着れば、ポロシャツはクールビズファッションの強い味方。ビジネスシーンにそぐわない「ゴルフ場のおじさん」にならないためにも、ここで紹介したポイントに気をつけておきましょう。
<プロフィール>
吉田泰則(よしだ・やすのり)
(株)伊勢丹入社以来、一貫してメンズファッションに携わる。伊勢丹メンズ館立ち上げに参画し、伊勢丹メンズ館のバイヤーとして国内外のカジュアル・ビジネスウェア、シューズ、バッグ、ネクタイなどの雑貨の買い付けを担当。現在は独立し、男性専門ファッションコーディネートサービスを提供するライフブランディングの代表を務める。日経BP社より『勝負する男のロジカル着こなし術』刊行
●ライフブランディング
一般男性を対象に、専用サロンの個室一ヶ所で、カジュアル・ビジネスウェアから靴、鞄などの雑貨まで最適なコーディネートをトータルで提案する
<クレジット>
取材・文/小山田裕哉
撮影/小島マサヒロ
モデル/本間貴幸(ライフネット生命保険株式会社)