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相手の話を聞くことが大事である。わかっているつもりでも、「相手が本当に話しやすいと思える状態になれているか」と改めて問われると、果たしてどうかと考えてしまう人も多いのではないでしょうか。『しゃべらない仕事術』で、内向的で“しゃべり下手”な人でも活躍できる考え方や方法を提唱されている石田健一さんに、「しゃべらない」仕事において何が重要なのか、その極意をうかがいました。
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■「聞く力」は無意識のうちに姿勢にも表れる

──ご著書のタイトルに「仕事術」とありますが、内向的な性格でもその人のいいところ、得意なところをうまく活かせばいい、という点で、仕事だけでなくプライベートでも活かせることはありますか?

石田:仕事はもちろん、家族だとかご近所さんとか、いろいろなお付き合いのなかで、人の話を「聞く力」が大事なことだということは広く認識されていると思いますが、ただ実際に相手が話しやすいように聞けているかというと、なかなかその状態にはなっていないように感じます。例えば営業の方が取引先との商談で、無意識に椅子の背もたれに寄りかかって話を聞いてしまっていたりするのです。それは、相手にとっては、誠意を持って聞いてくれていると感じられない姿勢になります。

書籍を読んでいただいて「いつも私は営業の方が背もたれに背中をつけているのが気になっていた。これを指摘してくれる本はなかなかない」という、経営者の方からのご意見がありました。同じようなご指摘が他の方からもあって、意外と、人の話を聞く姿勢を見ている方がいらっしゃるんだなとあらためて思いました。

「私は話を聞くことができてますよ」と言いながら、実際に相手を話しやすくしている状況を作っているか、一度客観的に、誰かに指摘してもらうのも大事かなと思います。英語力も、ITリテラシーも、会計のスキルももちろん大事ですが、すべての土台となるのはコミュニケーション力です。一度コミュニケーションスキルをしっかり学んで習得すれば、それこそ一生役立つ、価値あるものになるのではないでしょうか。

■部下や後輩をもったら意識したいこと

──会社組織などで、後輩や部下を持った若手ビジネスパーソンに、聞き上手になるための秘訣、アドバイスはありますか。

石田:「褒めポイント」「アンガーポイント(怒りポイント)」を意識することです。相手はどういうときに喜ぶのか、怒るのか、何に関心をもっているかなど、よく相手を観察して、そのポイントを踏まえて対応するのがいいと思います。よく上司とはこうあるべきだ、部下とはこうあるべきだ、チームとはこうあるべきだみたいな、「べき論」が先にきてしまうことがありますが、結局「部下」といっても人はそれぞれ違います。また昔ほど、みんなで毎晩飲みに行こうという文化がなくなって、それぞれお互いの個性がわかりにくくなっている時代ではあると思います。
だから、少なくともマネージャー職の方は、非常に忙しいとは思いますが、毎日が難しければ週に1回でも、月に1回でもいいので、面談などで個人やチームをよく「見る時間」を意識的にスケジュール化してください。

2つ目は、人はみんなそれぞれに価値観を持っていますから、話をしていて本人が大事にしているポイントを、理想を言えば、上司がうまく引っ張ってあげることです。そうすれば、部下もやる気になるでしょう。

私が経験した例ですが、宣伝部にある上司が赴任してきたとき、最初に面談をしました。自分の目標や、家族の話などをしながら。それで、2か月くらい経って、その上司がみんなをしっかり見て、各個人の特徴がわかってきたころにもう一度呼ばれて、今度は「何を担当したいのか?」と質問されました。
多分、私がやりたいと思っていることも観察していたのですね。日常の会話の中でもそれが自分でもわかりましたから、上司を信じて、この媒体やブランドを担当したいと伝えると「じゃあやってみたらどうだ」と。自分からやりたいと言ったことは、人は本気になります。そのように聞いてくれる、任せてくれると、自分をしっかりと見てもらっているのがわかりましたし、仕事の結果にも繋がりました。その上司には今でも本当に感謝しています。

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