織田威司さん(株式会社良品計画 衣服・雑貨部 子供担当 課長代行)

織田威司さん(株式会社良品計画 衣服・雑貨部 子供担当 課長代行)

シンプルなデザインと使い勝手の良さで多くのファンを持つ無印良品。ライフスタイルを無印良品の製品で統一したい、自分の子供にも無印の洋服を着せて親子でコーディネートを楽しみたい。そんなお母さんお父さんが増えています。

しかし、子供服には大人の服にはない機能や仕様が求められます。無印良品を運営する良品計画では、どのような視点で子供服を企画デザインし、無印らしさを表現しているのでしょうか?
 
良品計画で子供服の企画を担当している織田威司さんに、無印ならではの子供服のデザインについてお話をうかがいました。

■年に2回、基本のコンセプトブックにトレンドを加味

──大人の服には流行があります。定番商品が多い無印良品の子供服にも流行やトレンドはあるのでしょうか?

織田:あるかないかでいえば、あります。ただし、トレンドを追いかけるということではなく、定番商品にトレンドを反映させる形ですね。例えば、以前であればチノパンはゆったりとしたシルエットでしたが、現在は細めのタイプです。というのも、自分が履いているスキニーパンツを子供にも履かせたいと考えるお母さんがたが増えているからです。昔は細めのパンツは履きにくいと敬遠されていましたが、いまは違うんですね。

──トレンドはどのようなタイミングで商品に取り入れているんでしょう?

織田:良品計画では毎年、春夏と秋冬の2回、商品を企画しています。紳士、婦人、子供、インナー雑貨、雑貨などそれぞれのデパートメントの部門長とディレクターが中心となり、まず次のシーズンのコンセプトブックを作成します。このときに、無印らしいスタイルを保ちつつ、市場のトレンドを加味していきます。いまやっているのは、もう来年2016年の秋冬物なんですよ。

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──コンセプトブックがすべての商品の基本になるわけですね?

織田:カラーも含めて、コンセプトブックに沿って商品を企画していきますが、子供服の場合、色を大人の服とまったく同じにしてしまうと地味になりすぎてしまうので、全体の方向性を保ちつつ、トーンをやや明るめにしています。素材も大人服とは違うケースが少なくありません。子供服にはホルムアルデヒドの規制がありますから、すべて大人と同じ素材というわけにはいきませんが、チノパンやデニム、定番ものの商品、それから柄を出すものについては、大人と共通のものを使っています。

■親子でコーディネートできる服

──無印良品の売り場は、大人の服と子供服を同じ売場で扱っています。親子でコーディネートしながら買い物したいというお客様も多いのでは?

織田:ええ。紳士婦人のコアなアイテムを子供服で展開すると非常に反響がありますね。例えば、洗いざらしのオックスフォードシャツ。ボタンの数が多いのでカットソーよりは着脱に手間がかかるのですが、子供服で展開してみたら非常に好評でした。自分のシャツを買った後に子供用のシャツを買うというお父さんお母さんが目立ちます。

──その逆に、子供服を買った後に同じような大人の服も買うというケースもありますか?

(次ページ:子供服のデザインを決めるときに重視していること)