織田:子供服をそのまま大人の服で展開するのは難しいんですが、あの子供服が可愛いから大人の服にも取り入れてほしいという要望は現実にありますね。

──無印良品は海外にも出店していますが、子供服は世界共通ですか?

織田:4、5年前までは国内と海外のディレクションは分かれていました。サイズもトレンドも違うのではないかと考えていたからです。しかし、同じ無印の商品なのに異なるものが存在するのはおかしいのではないかという声が出て、現在は世界共通になりました。大人の服も若干サイズ展開が違うだけで、全世界同じ商品を展開しています。

■子どもにとって着やすい服とは何か

──子供服のデザインを決めるときに重視している点を教えてください。

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織田:私が担当しているウエアについていえば、お子さんにとって着やすい洋服とは何かという視点で企画をしています。デニムパンツを例にあげると、110cm以上のサイズは生地はもちろん、ファスナーも大人物と仕様はまったく同じです。しかし、それ以下のサイズの場合、伸縮性が求められるので、カットソーを使って伸縮性を確保し、デニム風に仕上げました。

──見た感じはほとんどデニムパンツですね。触ってみなければまったくわかりません。

織田:私の子供がまだ2才前のときに、布帛(ふはく。織地の布地のこと。一般的に伸縮性は低い)のチノパンを履かせてみたんですが、妻と一緒に反応を見ていたら、履かせた途端に脱いでしまいました(笑)。まだしゃべれない頃でしたから、本人は行動で示したわけですね。小さい子供は生地が伸びて動きやすい服を本能的に求めることを実感しました。その経験が頭に残っていて、デニムのしっかりとした生地は格好良いかもしれないけれど、履きやすさを考えるとどうかと思い、カットソーを使ってみました。

──小さい子供にとってどうなのかという視点は重要ですね。

織田:上半身部分に伸縮性のあるカットソー素材を使い、下半身部分に織地を使った洋服も評判がいいですね。子供にとって着やすく脱ぎやすい伸縮性がある服は、お母さんにとっても利用しやすいんです。

──お子さんの声や行動から企画のヒントを得ることは多いのですか?

織田:そうですね。子供が一番のモニターかもしれません。我が家は息子が二人いますが、小さい頃は女の子の服を着せてみたこともありました(笑)。社内には、小さい子供がいる社員を登録しておき、新規商品に関するアンケートをお願いする制度があります。いま登録している社員は約130人。新規の商品のバランスを見たいときや洗濯したときの生地の縮み具合をみたいときなどにアンケートをお願いしていますが、これではきついとか苦しいとか、洗濯で縮んでしまうとか、かなり率直な声があがってきますよ。

(つづく)

<プロフィール>
織田威司(おだ・たけし)株式会社良品計画 衣服・雑貨部 子供担当 課長代行。2007年9月良品計画入社。2007~2011年、紳士担当MD(シャツ、アウター、ボトムス)、2011~2013年、服飾雑貨担当MD(帽子、マフラー、手袋、ハンカチ)、2013年より子供担当MD(子供ウェア)。
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<クレジット>
取材/ライフネットジャーナル オンライン編集部
文/三田村蕗子
撮影/鈴木慎平