織田威司さん(株式会社良品計画 衣服・雑貨部 子供担当 課長代行)

織田威司さん(株式会社良品計画 衣服・雑貨部 子供担当 課長代行)

親子で洋服をコーディネートしたい。そんなファンの要望に応えて、大人の服のシルエットやトレンドを取り入れつつも、「子供にとっての着やすさ」を軸足に据え、商品を企画している織田威司さん。

顧客から寄せられた貴重な声を参考に、新製品だけでなく、定番品の見直しも定期的に行っているそうです。顧客の声を踏まえて生まれた「使いやすく着やすい」子供服とは? 豊富な実例とともに披露される開発秘話から、常に顧客視点を忘れない無印良品の基本姿勢がうかびあがります。 (前編はこちら)

■「IDEA PARK」は貴重な情報源

──良品計画では、くらしの良品研究所にお客様からのご意見やご要望と無印良品からの回答を公開しているくらしの良品研究所の「IDEA PARK」を設置されています。子供服の企画にどのように活用していますか?

織田:「IDEA PARK」に寄せられた声は、各MD(マーチャンダイザー)が見て、必ず検討しています。先日は、太番手のボートネックのTシャツに関する声を参考に商品を改良しました。ボートネックタイプは非常に好評なアイテムなんですが、肩口から下着が見えていやだという意見をたくさんいただいたんです。これは、うちとしてもデザインを見直さなければならないと考え、デザイナーと協議して改良に踏み切りました。

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──襟ぐりを狭くしたんですか?

織田:伸びにくい生地を使っているので肩口を狭めるのはそう簡単ではないのですが、試着を重ねて、クルーネックよりは広く、ボートネックとしてはぎりぎりのところで、下着が見えないように調整しました。

──下着が見えないというのは大事なポイントですね。

織田:そうなんです。でも、大人の紳士服や婦人服の場合はMDが実際に着たり、社内の人間に着用してもらったりして確認できますが、子供服はそうもいかないので、半期に2回、子供のモデルを呼んで着心地を確認しています。子どもがしゃがんだときにおしりが見えるという意見をもらったパンツについては、後ろ股上を見直しました。Tシャツの着丈が短くて肌が見えてしまうという声を受けて、バランスを見なおしたこともありますよ。

──「IDEA PARK」は基調な情報源ですね。

織田:そうなんです。ウエスト部をゴムで調整できるパンツに対しては、「ゴムの先をひっぱったときに穴の中に入ってしまい、取り出すのに苦労する」という声が寄せられていました。実際、こうした服を子供に着せるとよく起きることなんですね。なんとか解決できないかとデザイナーに相談をして、今回、ゴムの両端を縫い付け、穴の中に入ることなく調整できるようにしました。これならもう、つるんとゴムが入ってしまうことはありません【写真A】。定番品でも、半期に2回は見直し、ベーシックな無地のTシャツであっても、着丈やえりぐりの深さ、袖の長さなどはチェックしています。

【写真A】

【写真A】(撮影:ライフネットジャーナル オンライン編集部)

■機能性を最優先する商品開発

──ファッション性と機能性とでは、どちらを優先していますか?

織田:これは間違いなく機能性です。例えば、ハーフパンツでも無印の商品は、膝をついたときにも怪我をしないですむように、若干膝が隠れる長さにしています。安全性は一番大事。ここはこだわってやっていきたいと考えています。

──逆に、お客様が子供服を選ぶ際に重視している点は何でしょうか? やはり機能性ですか?

(次ページ)もっとも多く求められている機能は……