15082501_1フェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアを利用した求職、採用活動が広がっています。求職者と企業が直接つながることで、より厳選した採用を効率よく行うことができると注目を集めているのです。

こうした採用現場の変化を取材したライターの宮崎智之さんは、ソーシャルメディアを活用した採用活動を「つながり採用」と名付け、その現状を著書『ムダ0採用戦略』にまとめました。

しかし一方では、企業や社員のソーシャルアカウントから「炎上」する事例も増えており、ビジネスにおけるソーシャルメディアでの情報発信には難しさもあることがわかってきました。かといって、「つながり採用」という流れを無視するのはもったいない。具体的にどうすればいいのか悩んでいる企業や採用担当者も少なくないことでしょう。

そこで宮崎さんに、「つながり採用」を企業が導入するうえでの注意すべき点、また、求職者の側も意識すべき点について、話をうかがいました。
(前編はこちら)

■ソーシャルメディア時代には、不都合なことを隠しても見抜かれる

「多くの人がソーシャルメディアで緩やかにつながっている現代では、企業はネットを通じて人材を探すだけでなく、自分たちもネットを通じて『日々の業務実態を常に見られている』という意識を持つ必要があります。

例えば、社員が夜遅くに『仕事なう』とツイートしていれば、求職者は『この企業は残業が多いんだ』という印象を持つ。これ自体は良いことでも、悪いことでもありません。問題になるのは、こうした現実がネット上にさらされているにもかかわらず、求職者に対して『良い顔』ばかりを見せている場合です」

もし普段から、「弊社は残業が少なく、ワーク・ライフ・バランスを大切にしています!」と主張してるのに、ツイッターで検索したら、社員が残業ばかりしている様子が伝わってきた。そうなると、企業の説明と現実が食い違っていると求職者は思い、悪印象を抱いてしまいます。

では、そうしたリスクがある以上、社員のソーシャルメディアでの発言は禁じるべきなのか。宮崎さんはこれに「NO」を唱えます。

「つながり採用を導入しようとするのであれば、社員のSNS投稿を禁止してはいけません。つながり採用とは、現代的なコネ採用のようなもの。企業と個人がソーシャルメディアを通じて直接つながることで、互いに信頼関係を築いていくことが、優秀な人材のリクルーティングには欠かせないのです」

社員のネット発言を厳しく制限する企業がソーシャルメディアで採用活動を行ったとします。でも、ネット上には企業名を明らかにして情報発信をしている社員はいない。すると今の求職者は「この企業は自分たちにとって不都合なことを隠そうとしている!」と見抜くというのです。

「つまり、残業が多い会社であれば、社員のソーシャルアカウントでの発言を禁止するのではなく、そういう発言がネットに出てしまうことを前提にしたうえで、例えば『残業は多いけど、仕事はこんなに魅力的ですよ!』とアピールすべきです。

何より、このソーシャルメディア時代に不都合なことを隠そうしても、いずれ明るみに出るリスクがつきまとうもの。隠すくらいなら、できるだけ正直に説明したほうが企業と求職者のミスマッチも少ないでしょう」

■企業も求職者も「素」の姿が問われる

とはいえ、社員がネットリテラシーの高い人ばかりとは限りません。そういうときは、社内でもネットに詳しい人を採用担当に抜擢するほか、外部のサービスを活用するという手段もあります。

「国内のビジネスSNSとして急成長している『Wantedly(ウォンテッドリー)』は、その代表的なサービスです。ウォンテッドリーの特徴は、会員となる求職者にフェイスブックアカウントでの登録を推薦していること。会員がウォンテッドリー上の求人ページに『応援』ボタンを押すと、会員自身のフェイスブックを通じて求人情報が拡散される仕組みになっています。

これは求人をする企業の側も同様で、社員にもフェイスブックアカウントでの登録を推奨しています。これにより、企業と求職者が『顔の見える関係』になり、双方向のコミュニケーションがしやすくなる。さらに、互いにフェイスブックのアカウントでつながっていることを利用して、ウォンテッドリー上には『社員とあなたの共通の友達』という情報も表示されます」

すると、求職者は一方的に求人情報を閲覧するだけでなく、企業を自分にとって身近な存在に感じることができるようになります。ウォンテッドリーはそのシステムによって「つながり採用」を仕組み化したサービスと呼ぶことができそうです。

(次ページ)ネットでの自己PRが苦手な人にも恩恵