「さんまのスーパーからくりTV」「中居正広の金曜日のスマたちへ」「明石家さんちゃんねる」「EXILE魂」「オトナの!」など、数々のヒット番組を世に送り出してきた、TBSのバラエティプロデューサー・角田陽一郎さん。テレビ番組にとどまらず、映画監督や、書籍執筆など、多彩な活躍の源泉は「バラエティ的」発想。ビジネスにも人生にも効く「バラエティ的」発想の本質について、お話をうかがいました。

角田陽一郎さん(株式会社TBSテレビ 制作局制作一部兼 メディアビジネス局 スマートイノベーション推進部/バラエティプロデューサー)

角田陽一郎さん(株式会社TBSテレビ 制作局制作一部兼 メディアビジネス局 スマートイノベーション推進部/バラエティプロデューサー)

■「バラエティ的」発想が選んできたもの

──角田さんが7月に出されたご著書『成功の神はネガティブな狩人に降臨する〜バラエティ的企画術』では、バラエティ的な発想法で考えるとあらゆることが楽しく豊かになる、というポジティブなパワーがあふれていました。改めて「バラエティ的」とはどういうことでしょうか?

角田:まず「バラエティ」は多様性という意味ですよね。「バラエティ的」とは、いろいろなヒト・コト・モノの、いろいろな面でおもしろさを見つけ出すことだと思っています。おもしろさを見つけるには、ヒト・コト・モノを一方からだけ見るんじゃなくて、上から、下から、斜めからと、あらゆる観点をもつことが必要なんですよ。

──そのような「バラエティ的」なものごとのとらえ方は、やはりバラエティ番組での仕事を通じて身に付けたものですか?

角田:僕は仕事をする前から「バラエティ的」な発想をしていたんです。例えば、大学受験時に世界史を専攻したんですけど、なんで日本史じゃないかというと、日本史も世界史の一部だからなんですよ。普通は、日本史より世界史の方が覚えること多くてイヤだなと思われるんですけど、僕は逆で「世界史やっておくと日本史もできてラッキー」と思う。「ついでに地理も一緒に覚えられちゃうじゃん、一石三鳥!」みたいな思いがあるし、なんでそもそも歴史なのかというと、世の中のすべてが「歴史」だと思っていて、数学だって歴史の面を紐解いてくこともできるし、物理だってそうだし、ローリングストーンズだって、なんだったらアダルトビデオだってそうだし、興味があることは全部「歴史」の切り口で扱えてしまう。歴史をやっておけば何の研究をしたっていいんだな、と思って歴史を選んできたわけです。

学生時代に演劇をやっていたので、テレビ局に入社したときも、演劇のような「作り物」に興味がある人は圧倒的にドラマ制作部門に行くんですが、僕は「バラエティって“さまざまな”という意味だから、ドラマもバラエティの一部だろう」と考えたんです。だったら、バラエティプロデューサーになって、いろいろなことをやったほうがおもしろいなと入社した時から思っていたんですよ。だから、その後会社を作ったり、映画監督をやったり、アプリを作ったりしたのは、外から見るとバラバラに見えるかも知れないけれど、僕にとってはすべてバラエティの範疇なんです。

■ビジネスも生活も、何だってエンタメになる

角田:こういう発想は「テレビ業界だからであって、他の業種には関係ない」と思われるかもしれないですが、実は意外に関係しているんです。今やっている「オトナの!」という番組は独立採算制なので、僕は制作プロデューサーなのに、どんどん自分で企業やクライアントに企画の営業にいきます。そうすると、そこで何か新しいビジネスのシステムを作りましょうという話になる。普通の会社だったら何か新しい事業を始めるならば、それに対応する部を作るか、そのための別会社を作るとかしないと事業として立ち上がらないじゃないですか。

(次ページ)震災をきっかけに、バラエティで幸せになることを伝え始めた