15091501_1

スイム・自転車・ランニングの3種目を連続でこなすことから、過酷なスポーツというイメージがあるトライアスロン。しかし近年は競技人口が増加し、各地で開催される大会はあっという間に参加枠が埋まってしまうほど注目を集めています。

そんなトライアスロン人口の増加を語るうえで欠かせないのが、経営者をはじめとする一流のビジネスパーソンが数多く取り組んでいること。
実際、2012年1月16日に日経新聞が報じた記事によると、トライアスロン競技者のうち、経営者が7.9%も占めているとか。およそ12人に1人が経営者という非常に高い割合です。

経営者や一流のビジネスパーソンは当然、日々の仕事で多忙を極めているはず。それでも、なぜ3種目トレーニングを必要とするトライアスロンに挑戦するのか。そして、彼らを魅了するトライアスロンという競技の魅力とは何か。

日本を代表するプロトライアスリートとして活躍し、現在はトライアスロン全般の事業を行う会社「アスロニア」の代表も務める白戸太朗氏に、その背景を聞いてみました。

■努力した分だけ成果が上がることが自信につながる

──白戸さんにはそのものずばり、『仕事ができる人はなぜトライアスロンに挑むのか!?』という著書があります。なぜ、一流のビジネスパーソンはトライアスロンに惹きつけられるのでしょうか。

白戸:トライアスロンって過酷なイメージばかりがクローズアップされますけど、実は才能よりも努力でなんとかできる部分が大きいスポーツなんです。サッカーや野球といったセンスが問われる競技と違って、「やればやっただけ出来るようになるし、やらないと出来ない」というシンプルさがあるんです。つまり、才能の有無よりも、努力した分だけ成果が目に見えるかたちで表れやすいスポーツだといえます。僕はこれが、経営者や一流のビジネスパーソンがトライアスロンに挑戦する大きな理由じゃないかと思っています。

──というと?

白戸:経営に限らず、ビジネスって努力したからといって必ずしも結果がともなうわけじゃないですよね? でも、トライアスロンなら努力が成績に反映されやすい。だから、トライアスロンを通じて小さな成功体験を積み上げていくことができ、それが自分に対する自信につながる。その自信がビジネスにおいても良い影響を及ぼす。トライアスロンをすることで、そういった好循環を生み出すことができるんだと思います。

──それは例えば、ランニングでも同じことが言えるのではないでしょうか。

白戸:もちろん、ランニングも努力が成績に反映されやすいスポーツです。でも例えば、明らかに登りやすい山を登るよりも、「本当に自分が登れるかな?」という山を登れたときのほうが自信につながりますよね。これはトライアスロンだけでなく、100kmマラソンのようなエクストリーム(過酷)なスポーツ全般に言えることですが、目標が大きいほど、乗り超えられたとき、大きな自信につながります。

15091501_2

しかも、「無理に思えたことも、努力すれば実現できるんだ」という自信が身につけば、ビジネスにおいても、ここ一番で踏ん張りが効くようになるんです。ましてや経営者は意思決定をする立場ですから、自分の判断に自信が持てなくなったら大変でしょう。そのための力をトライアスロンで身につけているのだと思います。

──なるほど、経営者の人たちはトライアスロンを通じて自分の潜在的な力に対する信頼を養っているわけですね。それがビジネスにおいても効果を発揮すると。

白戸:そうです。そもそも、トライアスロンって地味なことの繰り返しなんですよ。スイム・自転車・ランニングの複合競技ですから、しっかり計画を立てて、淡々とトレーニングを積み重ねていかなければ完走できない。だから以前は、ストイックにトレーニングに没頭する選手が多かった。それが「過酷なスポーツ」という印象の原因にもなっているのでしょう。でも今の競技人口のなかでもっとも多いのは、10代、20代の体力が優れた若者ではなく、40代のいい大人たちです。

■トライアスリートに40代がもっとも多い理由

──そうなんですか!?

白戸:トライアスロンのトレーニングは3種目分行う必要があり時間がかかるので、計画的にこなさなければなりません。要するに、自分の体とスケジュールをコントロールする強い目的意識が必要なんです。実際、「痩せたいから」くらいの気持ちでチャレンジする人は、トレーニングが続かないんですよ。

──その強い目的意識は、どこから生まれるのでしょうか。

白戸:トライアスロンによって強い目的意識が磨かれるというよりも、運動に対するモチベーションが高い人が、結果的にトライアスロンにハマっているのだと感じます。

(次ページ)トライアスリートに40代が多い理由とは?