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私の週末のささやかな楽しみは、お気に入りの喫茶店でカフェラテを飲みながら英ファイナンシャル・タイムズ紙の週末コラムを読むこと。なかでも好きなのが雑誌「モノクル (Monocle)」編集長、タイラー・ブリュレ氏による「The Fast Lane」というコーナー。

世界中を飛び回るタイラー氏による旅やアート、ビジネスを題材としたショートエッセイ。大の日本好きとして知られる彼はしばしば東京、京都、金沢などを取り上げ、世界中の経営者たちに日本を売り込む宣伝部長のような役割を果たしてくれている。グッジョブ、タイラー。ホテルオークラの建て替えに反対する署名活動(”Save the Okura”)にも取り組んでいた。

そんなタイラー・ブリュレ氏はイケメンでお洒落、クールで知的、文章もテンポ良くセンス抜群。そして、彼はゲイだったりもする。なので私の中でゲイというとまず思い出すのがタイラーのような人物像だ。あとはベンチャー界の雄、ピーター・ティールや、アップルCEOのティム・クックか。皆さん、知的でお洒落でクールなイメージ。

中学時代に通っていた塾に、どうやっても勉強でかなわない仲間がいたことを思い出した。私は牛乳瓶の底のようなグリグリ眼鏡をかけ、勉強が好きで負けず嫌いな中学生だったが、実力試験で5回ほど2位になったものの、1度も1位になれなかった。隣市の中学の荒瀬君がいたからだ。張り出される順位はいつも「1位:荒瀬、2位:岩瀬」だった。

荒瀬君は勉強ができるだけでなく、温厚で人格者で皆に一目を置かれていた。背が高くて物腰柔らかく、大人びていて、皆でふざけていても優しく見守ってくれる。皆でお泊まり会をし、いたずらっ子の伊藤君が近所でピンポンダッシュを試みると、代わりに怒られてくれる、そんな存在だった。

10年前、ハワイに住む彼を訪ねると、HIV患者を支援するNPOで働いていた。あれからずいぶんと月日が流れたが、数年前、同性のパートナーとニューヨークで結婚式をあげ、サンフランシスコに住んでいる。フェイスブックの彼のページを開くと、2人が向き合って芝生の上、穏やかな表情で体育座りをする素敵な写真が表示される。最近、会ってないな。荒瀬君、元気かな。

同性カップルたちへの社会の態度も急速に変化しているように感じる。本年6月に発表された米国最高裁の同性婚判決は歴史に刻まれる大きな出来事で、私も「米最高裁の同性婚判決に関する一考察」なる記事を書いてみたりもした。

そしてわが国でも、いよいよ。渋谷区で同性パートナー証明書の申請受付が昨日、10月28日に始まった。第一号の申請者となった女性のカップルがマスコミで大きく取り上げられていた。今後もますますのお幸せをお祈りします。いくつかの自治体も同種の取り組みを進めているという。

それでは、私たち生命保険会社としては、何をすべきなのか。何ができるのか。ここ数年間、社内の有志を中心に考え、調査をし、準備を進めてきました。自分たちがあるべきと考える理想の社会に向けてできる、小さな一歩を踏み出せないかと。

その結果、11月4日から新たに、「同性のパートナー」も生命保険の保険金受取人として指定できるようになりました。これまで異性間の事実婚状態にあるパートナー(いわゆる内縁関係)についても、同居期間など一定の条件をもとに指定可能としていましたが、これを同性のパートナーにも拡大したわけです。詳しくは当社ニュースリリースをご覧ください。特設ページも設置しました。

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私たち、ライフネット生命はこれからも多様な生き方を尊重し、生活をする上で生命保険を必要とされるお客さまに必要な保障をお届けし、安心して生活を営んでいきたいと考えています。私たちの小さな一歩が、何か大きな流れを創るきっかけとなりますように。

(追記)
掲載許諾のため連絡した荒瀬君からすぐに返事が届きました。

「大輔くん、お久しぶり!同性婚については日本でもいろいろと動きがあって嬉しい限りです。ライフネット生命でも施策が検討されているように、プライベートセクターがこの件に関してのダイアログに影響を与える可能性は大きいと思います。確認してくれてありがとう!益々のご活躍を!」

※ライフネット生命保険 社長兼COO 岩瀬大輔のブログより

 

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