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ライフネット生命保険 社長の岩瀬大輔が、今をときめくメディアアーティスト・落合陽一さんと、雑誌『SAPIO』にて対談しました。掲載予定の7月号(6月3日発売)の発売にさきがけて、その一部をご紹介します。


メディアアーティスト・落合陽一氏の新著『これからの世界をつくる仲間たちへ』が話題になっている。同氏は28歳という若さにして、世界最先端の研究者を選ぶ「米ワールド・テクノロジー・アワード」(2015、ITハードウェア部門)を、ノーベル賞の中村修二氏に続き日本人で2人目に受賞した人物だ。

生命保険という“レガシー”な業界に「ネット生保」という新たな形で挑戦し、注目されているライフネット生命社長の岩瀬大輔氏とは同じ開成高校の先輩だという。新たな世界に挑む2人が、近未来の「仕事」と「テクノロジーの行方」について語り合った。

■テクノロジーの進化の中で、人はどう生きるのか

岩瀬:落合さんの新著『これからの世界をつくる仲間たちへ』には、「テクノロジーが社会をどう変えるのか」と「その社会でどう生きるべきか」という2つの側面が書かれていますよね。

落合:これまではコンピュータが発達しても、それは「道具」で、あくまで「操っているのは人間」と認識されてきました。それが、近未来では社会はすべてコンピュータ中心になり、その中に女王アリみたいな人間がいて、外にいる働きアリ的な人間とインターネットでつながっている社会になっていくと思います。インターネットは人間の巣になりうる。

岩瀬:「人工知能」や「シンギュラリティ」が社会を激変させ、まったく違う世界が来るという指摘がありますが、僕はやや懐疑的です。人工知能が人間の代わりにコンピュータを進化させるという手塚治虫的な世界が本当に訪れるのかどうか。

80年代にも「マルチメディア」で社会が激変するかのように喧伝されましたが、結局、人間がいなければ社会は回らないですよね。「IT革命」と言われた時期もありましたが、結局人間の営みが重要であることは変わらなかった。

落合:たしかに、人類は新しいメディアに対していつもまったく同じ受容の仕方をしてきましたね。

岩瀬:新しいテクノロジーも同じだと思います。蒸気機関が出現したときも人間は脅威を感じて過剰反応したでしょう。でも、やがてそれと共生するようになった。人工知能もそれと同じで、意外と大きな影響はないような気もしますが。

落合:僕は、テクノロジーは、「人間性」をどんどん切り分けてきたと思います。技術が進歩するにつれて、「ここまではテクノロジーに任せよう」という部分が増えてきたんですね。例えば、移動を車に置き換え、会って話すためには移動する時間がかかるから、電話に任せるようになった。

いま急激に進化している「人工知能」は、人間がどこまで自分で頭を使うか、「頭脳」「思考」を切り分けるテクノロジーです。でも「人間らしさ」が減るわけではなく、残った部分に凝縮されていくのだと思います。

岩瀬:テクノロジーとの切り分けが進むほど、いちばん人間くさいところが残っていきますね。たとえばエクセルのなかった時代は保険会社も紙と算盤で大変な計算をしていましたが、エクセル一発でできるようになった。その無駄な時間がなくなった分、ほかのことを考えられるようになりました。

落合:テクノロジーにより、その計算作業の専門家として雇われていた人は駆逐されてしまいます。今後はごく少数の女王アリ的な人間と多数の働きアリ的な人間に分かれると思うのはそのためです。

岩瀬:それは、いまと同じではないのですか?

落合:構図は同じですが、女王アリと働きアリの中間に位置するホワイトカラーが激減するでしょう。そして女王アリも、意思決定を機械に委譲するようになる。

岩瀬:それはコンピュータが女王アリを支配するというイメージ?

落合:最終権限は人間側が持ちますが、選択はコンピュータが行うでしょう。10年後には、かなりの割合でみんなコンピュータを意思決定の道具に使っていると思いますよ。

(つづく)

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<プロフィール>
落合陽一(おちあい・よういち)
筑波大学助教、デジタルネイチャー研究室主宰。コンピュータ研究者、メディアアーティスト。「米ワールド・テクノロジー・アワード」(2015、ITハードウェア部門)受賞。著書に『魔法の世紀』(Planets、2015年)、『これからの世界をつくる仲間たちへ』(小学館、2016年)がある。

<クレジット>
構成/SAPIO編集部

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