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商業施設に、車に、かばん……。街のあちらこちらで福祉に関するシンボルマークが表示されているのを見かけますが、それぞれのマークが何を表しているのか答えられますか?

※本ページでは2016年6月時点の情報を紹介しています。

■施設等が表示するもの

 

01まずひとつめは、障がい者のための国際シンボルマーク。1969年に国際リハビリテーション協会により採択されたマークなので、すでに多くの駅やお店に表示されています。最も知られているマークのひとつでしょう。障がい者が利用できる建物、施設であることを明確に表すための、世界共通のシンボルマークです。

※このマークは「すべての障害者を対象」としたものです。特に車椅子を利用する障害者を限定し、使用されるものではありません。

[公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会]


 

16052701_02こちらも世界共通の盲人のための国際シンボルマークです。視覚障がい者の安全やバリアフリーに考慮された建物、設備、機器などに表示されています。

[社会福祉法人日本盲人福祉委員会]


 

ほじょ犬こちらは、身体障害者補助犬同伴の啓発のためのほじょ犬マークです。盲導犬、介助犬、聴導犬といった補助犬が、商業施設やレストランなどに同伴されることを歓迎することを示しています。2002年に制定された身体障害者補助犬法を受けて作成されました。

[厚生労働省「身体障害者補助犬」]


 

ostomate_2人工肛門・人工膀胱を造設している人(オストメイト)のための設備があることを表しています。
このオストメイトマークは、対応しているトイレの入口などに表示されています。

[公益社団法人日本オストミー協会]

 

■車につけるもの

 

身体障害者標識こちらの身体障害者標識は、肢体不自由であることを理由に免許に条件を付されている方が運転する車に表示するマークです(表示は努力義務)。

[警察庁交通局]


 

聴覚障害者標識こちらの聴覚障害者標識は、聴覚障害であることを理由に免許に条件を付されている方が運転する車に表示が義務付けられているマークです。

[警察庁交通局]

■当事者個人がつけるもの

 

耳マークこちらは、耳マーク。聞こえが不自由なことを表す、国内で使用されているマークです。目の不自由な方は白い杖、足の不自由な方は車椅子などが、見た目にわかりやすいのに対し、耳の不自由な方は外見からはわかりにくく、耳が不自由です、という自己表示が必要だということから作られました。医療機関や公共窓口等に表示される場合は「耳の不自由な方に対応します」という印となります。

[一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会]


 

ハートプラスハート・プラスマークは内部障害者の存在を視覚的に示し、理解と協力を広げるために作られました。内臓に障害のある人は、外から見てもわかりにくいことから、電車などの優先席に座りたい、近辺での携帯電話使用を控えてほしい、障がい者用駐車スペースに停めたい、などの声を伝えにくいこがあります。そのような方への理解を進めるために作られました。本人が身につけるだけでなく、さまざまな障害に配慮した公共施設などでも表示されています。

[特定非営利活動法人ハート・プラスの会]


 

マタニティマークこちらは知っている人、実際利用されたことのある人も多いのでは? これはマタニティマークで、外見からはわかりにくい妊娠初期の方が電車座席やたばこの煙などで苦労を減らせるよう、周囲に妊婦であることをわかりやすくするマークです。各自治体などでさまざまなマークが使われていましたが、2006年に現在のデザインに統一され、交通機関や自治体などで配布されています。

[厚生労働省「マタニティマークについて」]


 

ヘルプマークこれは2012年に東京都で運用が始まったヘルプマーク。義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、妊娠初期の方など、援助や配慮を必要としながらも外からはわからない方のために作られたものです。都営大江戸線のみで配布やステッカーの配置がスタートし、現在徐々にその領域を他の路線や他府県に広げています。
まだ認知度はあまり高くなく、配布場所も限られていますが、徐々に広がっていくことが期待されています。

[東京都福祉保健局]

■啓発のためのマーク

 

白杖sosシグナルのシンボルマーク白杖を頭上50cm程度に掲げてSOSのシグナルを示している視覚に障害のある人を見かけたら、進んで声をかけて支援しようという「白杖SOSシグナル」運動の普及啓発シンボルマークです。
もしこのような人をみかけたら、声をかけてみましょう。

[岐阜市障がい福祉課]


 

greenribbonこちらのグリーンリボンは、世界的な移植医療のシンボルマークです。臓器移植の意思表示(する、しない、いずれも)を進めるよう、さまざまなキャンペーンが行われています。
このほかにも、乳がんの知識を広め検診をよびかける世界規模の啓発キャンペーンは「ピンクリボン」、小児がんの子どもたちを支える活動のための「ゴールドリボン」など、さまざまな色のリボンが福祉に関わるシンボルマークとして広まっています。

[公益社団法人日本臓器移植ネットワーク]


 

マークのあるなしに関わらず、さまざまな立場の人が違う立場の人を思いやる社会だとよいのですが、難病や障がいを抱える苦労は、当事者でないとなかなかわからないもの。わからないなりに、ちょっとした配慮がし合える、そのきっかけにこうしたマークが役立つかもしれません。

<クレジット>
取材・文/ライフネットジャーナル オンライン