砂川秀樹さん(ピンクドット沖縄 共同代表)

砂川秀樹さん(ピンクドット沖縄 共同代表)

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2015年に東京都の渋谷区が同性カップルを結婚に相当する関係として認める条例ならびに公的な証明書を発行したことを皮切りに、全国のいくつかの自治体では、条例に定める方式ではありませんが、宣誓受領書という形式で発行を始めています。直近では、2015年7月、「性の多様性を尊重する都市・なは(通称・レインボーなは)」を宣言した那覇市が、2016年7月にパートナーシップ制度を導入します。

そこで、30年近くゲイ・アクティビストとして活動する文化人類学者であり、ピンクドット沖縄の共同代表である砂川秀樹さんに、これまでの活動や今後の課題などについてききました。

■東京という大都市での活動後、沖縄へ

──ゲイ・アクティビストとしての活動のきっかけは何ですか?

砂川:1990年代に、ゲイの人たちの権利をうったえる活動があることを雑誌などで知り、勉強会に行ってみようと思ったのが最初で、10代の終わりから20歳のころです。その後は主にHIVに関する活動を20年以上続け、2000年代の10年間は東京レズビアン&ゲイパレードにかかわっていました。

──活動の場所を東京から沖縄に移したのは?

砂川:いつか出身地の沖縄に帰りたかったし、東京で活動して少々疲れていたことも理由です。また、その種の活動がほとんどなかった沖縄で、東京での経験を生かして活動すれば、大きな影響を与えられると考えたのです。東京は街が大きいから、ある程度の規模のパレードでもあまり社会に響かないんですよ。

沖縄は、離婚率が高くシングルマザーも多く、家族形態の理想のかたちが画一的ではないんです。だからゲイとかレズビアンも認められやすい。一方で、家族や親戚のつながりが強く、子どもを作って家を継いでいくことができないと考えられている同性カップルに対する抑圧もあります。だからLGBT*当事者は周囲に知られることを不安に思っています。家族に関しては両義的な面がありますね。

でも最近は、ゲイであることをオープンにして、私とは別のグループを作って活動する若い人も出てきましたので、沖縄に帰って活動したことで、ある程度影響を与えられたかと思っています。

*L=レズビアン、G=ゲイ、B=バイセクシュアル、T=トランスジェンダーの頭文字をとった単語で、セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の総称のひとつです。

──今の課題としてどのようなことを考えていますか?

砂川:沖縄でもいろいろな取り組みが進んで、行政が制度を整えたり、LGBTでない人たち、いわゆるアライの人たちも多く私たちの活動に参加するなど社会全体でずいぶん沖縄の中でも理解が広がりました。しかし、それでもやはりまだ不安を感じるLGBT当事者が大部分なので、その不安を取り除く活動が必要だと思っています。

那覇市が「パートナーシップ制度」を導入しても、法的拘束力のある制度ではありません。多くの事業体や病院などがそれを取り入れたり、また当事者の家族がLGBTに肯定的なメッセージを発信して、受け入れていることを明らかにしたりすれば、知られることへの不安も減っていくでしょう。

──今はLGBTブームとも言われていますね。

砂川:そのうち停滞期も来ると思いますが、今はブームの時期を利用してさらに認知を広げ、ひととおり制度を作りあげていくこと、そして、その後も活動を続けることが必要だと考えています。1990年代にゲイブームがあり、今はLGBT全体をとりまくブームとして、いわばらせんを描いて上昇している感じはしていますので、今後もさらに高いレベルでの展開があるかなと思っています。

■ピンクドット沖縄が目指していること

ピンクドット沖縄 イベントのスナップ

ピンクドット沖縄 イベントのスナップ

──ピンクにはどういう意味がありますか。

砂川:もともとピンクドットはシンガポールで始まったものですが、シンガポールでは国旗の色が混じったものとイメージされたようです。しかし、悲しい歴史ですが、ナチスドイツ時代、同性愛者にピンクの三角形を付けさせ収容所に送っていました。そのことへの想起も私にはありますが、ピンクは温かくて平和を感じさせる色でもあるので、それを着て集まるイベントっていいなと思ったんですよ。

──ピンクドット沖縄の始まりと大切にしている価値観について教えてください。

砂川:私が沖縄に帰ってからコミュニティ心理学の勉強会を開催しました。多様な人間を社会が受け入れるためには、社会全体が変わる必要があるという内容でした。2009年にシンガポールでのピンクドットの活動を知ったのですが、その勉強会で動画を見たら参加者の反応がよかったので、同じことを沖縄でもできると考えました。

LGBTの当事者かどうかは問わず、同じ思いがある人の集まりです。沖縄県外や国外のどこから来てもいい、という感覚で活動していて、イベント参加者の半分くらいはLGBTではない人たちです。関心があったら、一度参加して、そこに集まるいろいろな人と会えば、どう行動したらいいかわかると思います。LGBTなどの性的マイノリティでない人でも、やはり性に関係することで窮屈な思いをしているがいて、このようなイベントで開放感を得られることも多いんです。

今年のピンクドットは、ゲイカップルの結婚式がメインのイベントです。通りがかりの人にも参加してもらって1,500人くらいのイベントになるかもしれませんね。

──今後はどういう活動を考えていますか。

砂川:東京に戻ってきたことだし、いろいろな活動につながりたいと思っています。問題意識がある人たちとそれを共有したい。そもそも交ぜること、越境することが好きなんです。もちろん、区切りを設定して活動することも必要だけれど、それを越えてこそ見えてくるものもあるでしょう。

■LGBTの人々にもっと制度を利用する気持ちになってほしい

──当社が死亡保険の受取人として、同性パートナーを指定できる対応をはじめたことについて、どうお考えですか?

砂川:実は、同性カップルの多くは、これまで社会に認められる、あるいは祝ってもらえるというイメージを持たないで来たので、そもそも制度を利用しようと思わないんです。同性愛を行政や企業が認めれば、私たちもオープンになれますね。このような対応について考えるとき、本当に社会が大きく変わったなと思います。企業や行政が進んだということですね。また、このライフネットの取り組みは行政の制度を問わず、どこに住んでいても利用できるところに価値があると思います。

私は、多くの人は、かなわないと感じているものは欲望もしないと考えています。たとえば同性カップルに「街中で手をつなぎたいと思わない」と言う人も多いのですが、それは、「できない」という前提があるからだと思っています。

人々の欲求が高まって制度が出来ることもあるけれど、一部の問題意識がある人によって制度が作られ、それによって当事者が気づくこともあると思うんですよね。

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<プロフィール>
砂川秀樹(すながわ・ひでき) 文化人類学社、ゲイ・アクティビスト。ピンクドット沖縄共同代表。著書に『新宿二丁目の文化人類学』(太郎次郎社エディタス)、『性的なものはプライベートなものか?』(グラディ出版)、共編著に『カミングアウト・レターズ』(太郎次郎社エディタス)。
●ブログ

<クレジット>
取材・インタビュー撮影/ライフネットジャーナル オンライン 編集部
文/長谷川圭子

<お知らせ>
ライフネット生命保険は、2016年7月15日~17日沖縄県で行われる「ピンクドット沖縄」に出展をしております。沖縄在住の方はもちろん、期間中、沖縄に出張や観光でお越しの際にでもぜひ、お立ち寄りください。
ピンクドット沖縄の詳しい情報はこちらから>>ご確認ください。

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