写真左:出口治明(ライフネット生命保険 会長)、右:安藤美冬さん(フリーランサー/コラムニスト)

写真左:出口治明(ライフネット生命保険 会長)、右:安藤美冬さん(フリーランサー/コラムニスト)

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『働く君に伝えたい「お金」の教養 ~人生を変える5つの特別講義~』の出版を記念して開催された、著者・出口治明とフリーランサー/コラムニストの安藤美冬さんとのトークショー。いよいよ後編に突入しました。2人は、生き方・働き方をどうとらえているのか。楽しくも鋭いトークに耳を傾けてみましょう。(前編はこちら

■保険は人生にチャレンジする若者を応援するために生まれた

安藤:本の中で紹介されている、保険ができたエピソードには本当に感動しました。

出口:保険が最初に生まれたのはベネチアです。絹や胡椒、お茶など貴重なものがたくさんあって豊かだった東の国とは違い、当時のベネチアは貧しかった。そこでお金持ちは船を出して、砂糖や絹を運んでいました。1隻でも船が戻ってくれば10倍、20倍の値を付けて、大金が稼げますから。でも、若い人はお金がないので、みんなでお金を出し合っても作れる船は1隻がせいぜい。無事に船が帰ってくればいいけれど、沈んだら一生借金になってしまいます。それを回避するために今の生命保険の原型ができました。

安藤:保険は挑戦を応援するものとして生まれたんですね。

出口:そう。人生にチャレンジする若者を応援するためです。

安藤:そこに感動しました。老後が不安だからと保険をかけるんじゃなくて、人生をポジティブにチャレンジするために保険をかけるという考えがいいなあ。
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出口:一番わかりやすいのが健康保険ですね。会社に勤めると毎月の給料から健康保険料が強制的に引かれますが、病気のときは3割負担で済む。掛け捨てでお金を払っていることによって、困ったときに3割で済むんですよ。

安藤:得をするために掛けるんじゃない。いざというときのために掛けるのが保険なんですね。

出口:だから安いほうがいい。一番安いのが、積立金がない県民共済とか都民共済。共済に目一杯入って、足らない分をネット生保やグループ保険に入る。グループ保険は大きい組織用で、ネット保険はグループ保険の用意がない組織にお勤めの方向けで、グループ保険のかわりです。それが一番安いですね。

安藤:本を通して、就業不能保険のことも知りました。

出口:「生命保険になぜ入るのか」と聞くと、みなさん、「大事な人のために」と言います。でも、ひとり世帯だと家族はいない。元気で働いているときには困らないが、病気や事故にあって寝こむことになったらしんどいですよね。それを支えるのが就業不能保険。社会人になったら最初に入るのは「就業不能保険」、と言っています。

安藤:独身の時には就業不能保険。結婚したらお互いそれに入って、子どもができたら死亡保険。ご本で紹介されているそうしたモデルも参考になりました。

■人生もお金もあまりプランしない方がいい

安藤:出口さんは還暦で起業されていますが、キャリアについてのお考えを聞かせてください。

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出口:僕は、保険料を半分にしてもっと赤ちゃんを生みやすい社会にしたいと思い、60才でライフネット生命を作りました。
キャリアについて答えると、よく、学生時代から、大学を出て10年ぐらい働いてお金をためて、米国に留学してMBAを取ってステップアップして、というキャリアを設計する人がいますが、僕はこういう考えは危ないと思います。その考え方の前提にあるのは、自分は10年後の将来が読めるという発想ですが、そんなものわかるはずがない。仕事も日本もこの先どうなるかわからない。人間ってそんなに賢くないですよ。自分がやりたいことをやって、自分が力をつけて、好きなように生きていくのが一番いい。

安藤:そこに本当に共感します。私も、人生もお金もあまりプランしない方がいいと考えていて、目の前のことを一生懸命やることに喜びがあると思います。自分の本にも書いたんですが、キャリアアップという言葉が好きになれない。右肩上がりのポジションとかスキルとか、あるわけないですよね。

だから、キャリアスライディングという言葉を作って、あえて右肩上がりを目指さず、面白いと思えば飛びつくスライディングを提唱しましたが、そんなことでは中途半端で何も身につかないとか、苦労は買ってでもしろとネットでもリアルでもずいぶん叩かれた(笑)。でも、出口さんは「置かれた場所で咲く必要はない」と断言されている。私の考えを肯定していただけたようで、うれしかったです。

出口:そういうことを言うのは、本にも書きましたが、バブルおじさんですよ(笑)。日本には上場企業だけでも約3500社もある。学生は、その中から自分に理想的な企業を見つけられるはずがない。理想的なガールフレンドやボーイフレンドを見つけるのも無理やないですか(笑)。何かの縁で出会って、まあこれでええなと思ったら付き合い始める。仕事もそう。人はどうして仕事を選ぶのかといえば、だいたいご縁ですね。それでよければ置かれた場所で咲けばいい。咲けなかったら咲ける場所を探せばいい。人間はずっとそうしてきました。ホモ・サピエンスの別名はホモ・モビリタスですから。

安藤:動くからモビリタスなんですね。

出口:これね、絵にもなってます。イタリアにシエナという町があって、そこの市役所には良い政府と悪い政府の絵がある。悪い政府の方は、ロバに荷物を積んで市民が夜逃げする絵が描いてあります。市長があほで変なことをやっていたら、良い市長のところに行けばいい。逃げ出すことで世の中、良くなるんです。みなが逃げ出したら、おれは市長だと威張っていても成り立たなくなる(笑)。自分が好きなところに移っていくことは大事ですね。

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安藤:終了の時間が来てしまいましたので最後にまとめますが、私が追求しているのは、WhatじゃなくてHowという生き方です。20代は忙しく働いていましたが、勤め先が大手だったので年収は1,000万円近くありました。だから、辞めるときには不安でした。

でも、忙しいよりも、毎日楽しく過ごしたかったんですね。日々のストレスを癒すために洋服を買ったり、整体に行ったりという生活よりも、自分にちょうどいいサイズで生きたいと考えてフリーになった。どんな選択でもいいんですが、出口さんのこの本の中で何度も出ているように自分の価値観を見直してみるのはお勧めです。

出口:何かをしたいと思ったら、そのときがやるときですよ。来年まで待っていたらできなくなる。やりたいことをやるために仕事を調節する。そのほうが人生は楽しい。僕はだから昔から悔いなし、遺産なし。悔いがあるのが一番嫌(笑)。やりたいことをやるのがどんな人にとっても楽しいと思いますよ。

『働く君に伝えたい「お金」の教養: 人生を変える5つの特別講義』 (ポプラ社)出口治明著

『働く君に伝えたい「お金」の教養: 人生を変える5つの特別講義』(ポプラ社)出口治明著

<プロフィール>
安藤美冬(あんどう・みふゆ)
1980年生まれ、東京育ち。(株)集英社勤務を経て独立。ソーシャルメディアでの発信を駆使した肩書や専門領域にとらわれない独自のワーク&ライフスタイルを実践。商品企画、大学講師、コメンテーター、広告&イベント出演など幅広く活動中。これまで世界50ヶ国以上を旅した経験を生かし、海外取材、内閣府「世界青年の船」ファシリテーター、ピースボート水先案内人なども行う。TBS系列「情熱大陸」NHK Eテレ「ニッポンのジレンマ」などメディア出演多数。新刊に『ビジネスパーソンのためのセブ英語留学』(東洋経済新報社)がある。会員制オンラインコミュニティ《Wonderland》主宰。

<クレジット>
文/三田村蕗子
撮影/村上悦子

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