写真左:厚切りジェイソンさん(IT企業役員、お笑い芸人)、右:岩瀬大輔(ライフネット生命保険 社長)

写真左:厚切りジェイソンさん(IT企業役員、お笑い芸人)、右:岩瀬大輔(ライフネット生命保険 社長)

2016年も大活躍だった厚切りジェイソンさん。今年はライフネット生命のCMにも登場して話題を振りまいてくれました。お笑い芸人とIT企業役員、二足のわらじを履きながら日々「日本のWhy?」を掘り起こすジェイソンさんに、岩瀬大輔が「Why?」をぶつけます。

■どうして日本人は「そうですね」しか言わないんだよ! たまには「それ違うでしょ」って反論してくれないと俺がすごい説得力あるヤツって勘違いするだろ!

岩瀬:今日はライフネットジャーナルの超目玉企画として厚切りジェイソンさんにお越しいただきました。

ジェイソン:お、目玉焼き? ありがとう!

岩瀬:(笑)。今日はジェイソンさんにいろいろお聞きしたいのですが、その前にまず僕が初めてアメリカに行ったときの印象を言わせてもらうと──。

ジェイソン:なんでしょう? カウボーイ?

岩瀬:(笑)。高1のときにサマースクールで初めて行ったんです。小学生時代はイギリスにいたので、「どっちも英語だから、イギリスもアメリカも同じような国だろう」と思っていたら、全然違った。特にびっくりしたのは食生活です。僕のルームメイトはコカ・コーラを箱で持ち込んでいて、朝からコーラを飲んでいました。そして僕に「Do you want soda?」と聞いてくる。「アメリカ人は朝からコーラを飲むのか」「コーラをソーダと呼ぶのか」と発見した後、食堂に行くと今度は朝からみんなでケーキを食べているんです。

ジェイソン:僕もそういう生活、送っていました。太りますよ~。

岩瀬:ジェイソンさんは19歳のときに研究のため初来日したそうですが、それまで日本にはどんなイメージを持っていました?

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ジェイソン:猛烈サラリーマンのイメージが強かったですね。ずっと会社にいる。みんな同じスーツ。個性がない。あとは技術的な国で、いろいろなことが進んでいるイメージもありました。イメージ通りのことと、そうでなかったことがありますね。

岩瀬:では今日の本題、「日本のWhy?」でまずは英語からお聞きします。日本の英語学習は中1から始まります。小6までイギリスにいた僕は最初、先生のジャパニーズイングリッシュ「ディスイズアペン」が聞き取れなくて困りました。ジェイソンさんから見て、日本の英語学習で「おかしいな」と思ったことはあります?

ジェイソン:そもそもコミュニケーションのための学習じゃないですよね。ただ暗記して、受験で点数を取るための勉強だと思います。そして受験が終われば英語を捨てて、一生使わないという教育なんですよ。もったいないと思いますね。

岩瀬:映画の「ロスト・イン・トランスレーション」みたいな感じに、日本人が英語をしゃべれないことで困ったことはあります?

ジェイソン:あります。日本人の矛盾は、英語がしゃべれないのに、外国人は英語しかしゃべれないと思っているから、日本語もしゃべってくれないこと。だから会話にならない。こっちは日本語を覚えたいのに、日本語でしゃべってくれないから覚えられないし、そこでコミュニケーションが止まっちゃう。日本人がアメリカに行ったら、みんな普通に英語でしゃべりかけてくるでしょ。だから日本人も英語ができるようになる。日本にはそれがない。

岩瀬:サマースクールで思い出したのですが、同じアジアでも中国人や韓国人は堂々としていました。言葉を選ばずにいうと、少し図々しいところもありますよね。

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ジェイソン:中国人はバンバン言ってきますね。片言でもいいからとにかくバーってしゃべってくる。分かりづらいときもあるけど、それでコミュニケーションを取ろうとしている。一方日本人は、ずっと黙っていて、すごい時間をかけて言葉を選ぶから、あまり積極的じゃない性格に見える。

みんな受け身であまり自分の意見を言わない人たち、考えをはっきり持っていない人たちだと思われるかもしれません。

岩瀬:最初の留学で思ったのは、「アメリカ人って『I disagree』っていうのを面と向かって言ってくるな」ということです。そのときに、日本人は「私はこう思う」って考える訓練がされてないことに気づいたんです。意見を言うアメリカ人、意見を言わない日本人。なぜこの差があると思いますか?

ジェイソン:たぶん教育ですよね。みんな意見を言わないから、僕は日本に来て、「自分の話はすごく説得力があるんだな」と勘違いしました。何を言っても日本人は、「そうですよね」と賛成してくれるから。たまに実験的にとんでもないことを提案しても、「そうですよね」、と。僕は「わぉー、嘘だろ」と驚きます。「それ違います」と言われないんですよね、全く。

岩瀬:自分の話に説得力があると思ったら、みんな聞き流しているだけだった(笑)。

ジェイソン:そう。特に営業ね。「前向きに考えます」となったら、あとはうまくいくと思うでしょ。でも本当は、僕がいないところで「これは買わない」となっている。本当のことを絶対に言ってくれない。

岩瀬:確かにそれはあります。英語の話に戻ると、ジェイソンさんから見て「こうすれば日本人も英語を話すようになるんじゃないか」という提言はありますか?

ジェイソン:これはフリですか?

岩瀬:ん?

ジェイソン:実はちょうどそのテーマの本を出すんですよ。

岩瀬:もちろんフリに決まってるじゃないですか!(笑)

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ジェイソン:12月に『ジェイソン式英語トレーニング』(主婦と生活社)という本を出します。とにかく楽しいことを英語でやり続ける。失敗とか恐れずに堂々とやっていけば、挫折しない。

岩瀬:具体的なトレーニング方法は?

ジェイソン:日常生活をどれだけ英語に変えられるか、だと思いますね。日本人の赤ちゃんがどうやって日本語を覚えたのかというと、日常生活のすべてが日本語だからです。日本語で会話している大人やテレビをずっと見ている。日本語の絵本も読む。大人も同じようなことをすれば、英語も習得できると思います。

■日本の保険って、付加価値、のせ過ぎじゃないか?

岩瀬:たまたまご縁があって当社のCM にも出ていただきましたけど──。

ジェイソン:たまたまでしたか!

岩瀬:いやいや、強い意志でジェイソンさんと決めていました(笑)。保険の話も聞いてみたいのですが、日本式の保険の営業がユニークなのは知ってました?

ジェイソン:日本のドラマとかでたまに見かけたけど、セールスの営業職員がお茶しながら説明するっていうのはアメリカにはない。営業職員がオフィスの中にいるのは「不思議だな」とずっと思っていました。また、よくそれを会社が許すな、と。

岩瀬:あれは「職域営業」といって、昔は、割と自由にオフィスの中に入って、保険営業ができていたんですよ。

ジェイソン:びっくりするよね。

岩瀬:GNP(義理・人情・プレゼント)で保険を売るというものがありますが、保険に限らずアメリカにそういう“気づかいpurchase”みたいなことってあります? たとえば近所の電器屋と仲がいいから買うとか。

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ジェイソン:昔はあったけど、僕の世代ではもうなくなりましたね。特にネット時代になると、店で「これがいいね」と決めてからスマホでネット注文をする人が多いんじゃないかな。そのせいで閉店した店もいっぱいありますけどね。

岩瀬:ジェイソンさんが日本の家電量販店に行くと大変じゃないですか? 声かけられて。

ジェイソン:メガネかけていないと、意外とそうでもない。普通の外国人だから(笑)。

岩瀬:保険の話で他に「Why?」と思ったことはあります?

ジェイソン:結局保険の価値はどこにあるのかというと、「万が一必要になった場合にお金が出る」ということくらいですよね。それ以外のことは付加価値としてのせ過ぎだと思います。シンプルで安いのを買うので十分ですけど、それを意識しない人が多いのはどうしてかな、と思いますね。 

(つづく)

<プロフィール>
厚切りジェイソン(あつぎり・じぇいそん)
1986年アメリカ・ミシガン州生まれ。17歳で飛び級入学したミシガン州立大学を卒業後、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の大学院を卒業。日本企業の研究員として1年間勤めていたときに日本のお笑いに興味を持ち始め、2011年にお笑い芸人を目指して再来日。2014年にデビューを果たし、「Why Japanese people!?」の絶叫ネタで一躍ブレイク。IT専門家として、本名のジェイソン・デイヴィッド・ダニエルソン名義でも活動している。著書に『日本のみなさんにお伝えしたい48のWhy』(ぴあ)、『ジェイソン式英語トレーニング 覚えない英英単語400』(主婦の友社)。

<クレジット>
取材・文/香川誠
インタビュー写真/村上悦子

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