堀江貴文さん

堀江貴文さんに、ライフネット生命の社内勉強会にお越しいただきました。岩瀬との対談は、「予防医療」の話から、インターネットやSNSの未来、斬新な発想が次々と生まれる秘密へと発展していきました。勉強会レポート後編です。(前編はこちら)

■堀江さんが進める2016年の必読書

岩瀬:今後、インターネットやSNSはどのように変化すると思ってますか?

堀江:直近で起こっていることにそんなに興味がないんですよ。いかに僕たちがSNSやインターネットと融合していくのか、人間がサイボーグになったり、完全にコンピューターネットーワーク上に意識を転送するといった「ヒューマン3.0」的な進化が気になりますよね。

それは、わりと近い将来に起こりうるかもしれない。それが人間にいいことなのかどうなのかわからない。それについては僕が最近読んだ『サピエンス全史』という本をぜひ読んでください。

岩瀬:ビル・ゲイツが「2016年の夏に読むべき5冊」として勧めていましたね。

堀江:それがいいことなのかわからないけど(笑)、それこそ生命保険のビジネスのもとを作った人たちの話も出てきます。

■人類最大の共同幻想とは何か?

岩瀬:堀江さんが、ものの見方で気をつけていることを教えてください。

堀江:フラットに原理原則を考えるというか。さっきの『サピエンス全史』って本に出てくるんですけど、「僕たちホモ・サピエンスだけがなぜ生き残ることができたのか?」って問いを突き詰めていくと、「それは共同幻想を持てるからだ」って答えになるんですね。

ここに社員が100人以上いますよね。通常のケモノたちの群れって、マックスでも150頭くらいまでなんです。それ以上はケアできない。動物は群れを維持しようと思ったら、肌を触れ合ったり、ケンカを仲裁したりしながら直接ケアする必要があるんです。150を超えると、もう触れ合いは無理なんですね。

でも人間って、150を超えて、日本だったら1億人以上が「僕たち日本人」と思っているわけじゃないですか。これって共同幻想なんですよ。つまり、僕たちはフィクションを信じることができる。これは動物にはできないんですよ。ネアンデルタール人もできなかった。だから絶滅してしまった。

堀江:共同幻想を持てると、「俺たちはひとつの村だ!」と言いながら大量動員ができて、同じベクトルに向かっていくことができます。だから生き延びた。じゃあ、僕たちの最大の共同幻想ってなんだと思いますか?

(会場から「民主主義?」と声が挙がる)

堀江:民主主義じゃない国は世界中にたくさんありますよ。

(次いで「国家?」という声も)

堀江:国家ではないですね。国家を信じていない人もけっこういます。実話ですけど、インドネシアの奥地の名もない村に行って、「あなたはインドネシア人ですか?」と聞いたら、「何それ?」って言われましたからね。

岩瀬:世界最大の共同幻想、その答えは何ですか?

堀江:貨幣です。お金ですね。ほぼ世界中の人が信じています。それがドルであれ円であれ貝殻であれ、お金は世界の共通語なんです。日本人はお金について語ることは悪いことだと思いがちで、それは教育が原因だと考えているのですが、僕たちがこれだけ繁栄できたのはお金の力が大きいってことを忘れてはいけない。そういう原理原則をしっかり踏まえて考えるです。だから歴史を学ぶことはとても大事なんです。

岩瀬:ビジネスをやられていたときから、そのように考えていたのですか?

堀江:そうです。ずっとシンプルな原理原則で考えるって習慣はあって、それを進化させているっていう感じですね。僕がライブドアの社長をやっていた頃って、原理原則で考えることが不十分だったなって思いますね。例えばテレビ局を買収しようとしたときに、その局の歴史をもっとちゃんと調べないといけなかったなと思います。プロ野球の球団を買収しようとしたときも同じです。歴史がわかってないと、踏まえるべき原理原則もわからないんですよ。だから失敗したのかなと。

■失敗を恐れるより保険をかけて行動したほうがいい

岩瀬:別の質問です。今まで新しいものや価値を生み出してきたと思うのですが、そのために重要なことはなんですか?

堀江:まあ、「Just Do It」じゃないですか。

岩瀬:行動力。

堀江:うん、行動力って簡単に言いますけど、行動力がない人がほとんどなんで。ビジネスの種なんてそこら辺に落ちているので、単純に「やるかやらないか」です。


岩瀬:ほとんどの人はやらないし、やろうとも思わないですよね。

堀江:やる前にネガティブなことを考えちゃうんです。リスクがゼロって原理的にありえないですから、失敗することがあるのは当然なんですよ。

■未来の保険は人間のつながりから生まれる?

岩瀬:「生命保険はいらない」ということを前におっしゃってましたね。

堀江:僕はいらないということです(苦笑)。ただ、やっぱり死亡保険は好きじゃないですよ。

岩瀬:でも、例えば子どもが小さいのに、親が急死したら困るということもあるのでは?

堀江:うーん、僕はお金の本質みたいな話をしたくて。つまりお金を頼るのって人間関係的にどうなのかなって思うんですよ。『逃げるは恥だが役に立つ』というドラマがありましたよね。あそこでガッキー(新垣結衣さん)がやっている主役の女のコって、いかにも生命保険に入りそうじゃないですか。大学院まで出たんだけど、就職に失敗して、家事手伝いみたいなことをやりながら知り合った男性と偽装結婚して、家政婦としてお金をもらってますみたいな。

その子が言っていたのが、自分は将来が不安だから、誰にも頼れない、信じられるのは自分とお金だけだと。でも、それって寂しくないですか? 僕は人間関係を構築するのにお金を使うことこそ、最大の保険じゃないかって思うんですよ。

岩瀬:困ったときに助けてくれる人を作れと。

堀江貴文・予防医療普及協会著『むだ死にしない技術』(マガジンハウス)

堀江:そうです。そもそも生命保険って相互扶助の理念で成り立っていますよね。みんなでみんなを助け合う。別にお金じゃなくてもいいんですけど、みんなと仲良くして、みんなに奉仕をすることがセーフティーネットになるってことがすごく理想だなって思います。

つい最近までは技術的に不可能でしたよね。会社員になったら、会社と家族しかコミュニティがないのが普通だったわけじゃないですか。でも今はSNSでみんなとつながれるので、いくらでも人間関係を深めていける。困ったときに生命保険とお金しか助けてくれないって、いかにも寂しいじゃないですか。だから「生命保険2.0」じゃないけど、何か新しい仕組みを作ってほしい。

死んだときに妻と子どもがお金をもらうのではなく、お父さんが死んだら、その仕組みに入っているお父さんの友人がみんなで助けてくれるっていうほうが理想だなって思います。

岩瀬:最近アメリカでクラウドファンディングの死亡事故特化型保険みたいなものが出たんです。大事な仲間が亡くなったら、その遺族が困ったときに仲間が1万円ずつ出す。友人としてお金を出したいけど、いきなり渡すのは気まずいじゃないですか。でも何百人かの友達が1万円ずつあげたら、それだけで何百万円もの死亡保険になりますよね。
クラウドファンディングに特化した生命保険を考えたことはあります。

堀江:これからの時代は死ぬことよりも生きることが大切になってきているから、僕たちはイモータル(不死)が無理でも、「非死」の時代は間もなく来るんじゃないかと思うんです。事故で死ぬことは依然としてあるけど、病気や老衰で死ななくなる。技術的にはかなり近い将来に現実可能だと思います。

生命保険会社にとってはかなり重要で、何十年後にはそういう時代が来ることを予測して商売をしなければならないですよね。生命保険って息の長い商売じゃないですか。何十年、あるいは百年を超えるサイクルで資産を運用していかなければならない。非死の時代がやって来ることを見越して、長生きすることのリスクをヘッジする保険が必要になってくるのかと思いますね。

だから僕は予防医療を組み合わせた保険があったほうがいいと思うし、健康で長生きすることが得になるような保険を作ってほしいと思います。

<プロフィール>
1972年福岡県生まれ。旧ライブドア社長。SNS株式会社オーナー兼従業員。近著に『むだ死にしない技術』(マガジンハウス)、『本音で生きる 一秒も後悔しない強い生き方』(SB新書)、『君はどこにでも行ける』(徳間書店)のほか、西村博之氏との共著『やっぱりヘンだよね』(集英社)など。

<クレジット>
取材・文・撮影/ライフネットジャーナル オンライン編集部

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