(写真はイメージです)

乳がんは、女性が発症する中で最も多いがんです。予防できるのであれば行うに越したことはないわけですが、どのような要因が関係しているかご存知でしょうか? 今回は、乳がんに関係する生活習慣について解説します。

当記事はMEDLEYニュース・コラム(2016年3月29日配信)より許可を得て転載しています

■乳がんの予防に重要? 生活習慣との関係について解説

日本において、乳がんの発症率が増加している理由のひとつとして、生活習慣が挙げられます。なぜ生活習慣が関係するかと言うと、生活習慣自体に発がん物質が関わっているか、生活習慣が体のホルモンバランスに関わっている可能性があるためです。発がん物質が関わる生活習慣としては、例えば喫煙が挙げられます。

また、体のホルモンバランスに影響する生活習慣として、運動やストレスなどが挙げられます。このような生活習慣に気をつけることで、もしかしたら乳がんが発症する危険性を減らすことができるかもしれません。それでは、以下に乳がんと生活習慣の関連性について、どのようなことが言われているか解説していきます。

●喫煙

  • 喫煙は乳がんだけではなく、そもそも健康を害する嗜好品です。さまざまな病気との関連性が報告されていることはご存知の方も多いかもしれません。
  • 喫煙が乳がんに与える影響についてはかなり議論が続いていますが、現状の見解では「喫煙により乳がん発症リスクが増加することはほぼ確実である」「受動喫煙により乳がん発症リスクが増加する可能性がある」ということが示されています(科学的根拠に基づく乳がん診療ガイドライン2013年版、日本乳がん学会)。
  • 喫煙が乳がんを発症する危険性を増加させる根拠としては、日本人を対象とした過去の研究を集めて検証した結果、半分程度の研究で関連性を認めており、さらに諸外国の報告などを考慮した結果、関連性は「ほぼ確実である」と結論付けています。
  • 受動喫煙に関しては、「可能性がある」という程度に留められていますが、閉経前の女性では受動喫煙と乳がんの発症に関連性があるという報告も見られています。

●食生活

  • 食生活については別の記事でも紹介していきますので、ここでは簡単に解説します。
  • 食生活の中で、上記のガイドライン上「ほぼ確実である」という結論を示しているものはアルコールのみです。また可能性ありとしているものは、乳製品、大豆・イソフラボンとなっていて、その他については証拠不十分または検討されていないということになります。ただし、肥満は確実に乳がんを発症する危険性を増加していると記載されており、食生活に注意をすることが勧められています。

●運動

  • 結論から述べると、ガイドラインでは「閉経前女性では運動が乳がん発症リスクを減少させるかどうかは結論付けられない」「閉経後女性では運動が乳がん発症リスクを減少させることはほぼ確実である」と記載されています。
  • 閉経後の女性を対象とした過去の研究をまとめると、週に1時間程度のジョギングをしている女性ではわずかに乳がんを発症する危険性が低かったという結論を出している一方、閉経前の女性では一定の結論が出ませんでした。

●その他

  • ストレス:ストレスについては、乳がんを発症する危険性が高くなるという結論は出ていません。多くの研究でストレスと乳がん発症の関連性が検証されてきましたが、一定した結果が見られていないのが現状です。
  • 経口避妊薬(ピル):「経口避妊薬の長期間の服用は、乳がん発症リスクをわずかながら高くする可能性がある」とする研究が見られています(患者さんのための乳がん診療ガイドライン2014年版、日本乳がん学会を引用)。
  • 夜間勤務:「夜間勤務は乳がん発症リスクを増加させる可能性がある」とされています。夜間勤務が着目された背景としては、乳がんの発症率が高い欧米では、夜間業務に関わる女性が増えてきており、乳がんの発症率の増加と関連しているのではないか? ということがあったためです。
  • 電磁波:「電磁波の曝露が乳がん発症リスクを増加させるかどうかは結論付けられない。」とされています。

以上に紹介してきましたもの以外でも、ライフイベント(身近な人の死亡など)や性格傾向と乳がんの発症率は関連していると結論付けることはできないとされています。 それでは次に予防の中でも「再発予防」に着目して解説します。

■生活習慣を改善することで乳がんの再発予防にもなる!?

乳がんを一度発症すると、再発する可能性もあります。再発を予防するために、生活習慣として改善できることにはどのようなことがあるのでしょうか?

まず、禁煙が挙げられます。喫煙により乳がんにかかわらず死亡率が高くなる可能性が多く報告されています。現状では、「治療後に喫煙していることによる乳がんへの影響」について検証されている論文はあまり見られませんが、少なくとも死亡率を高くすること、健康を害する可能性を頭に入れておくことが必要です。

次に運動についてですが、患者さんのための乳がん診療ガイドライン2014年版(日本乳がん学会)では、以下のことが記載されています。

乳がんと診断された後に適度な運動を行う女性は、行わない女性に比べて乳がんの再発や死亡のリスクが低くなる可能性が示されています。また、診断後の運動は、生活の質にも好影響を及ぼすことが明らかです。乳がんと診断された後は、無理のない範囲で運動を心がけるのがよいでしょう。

適度な運動により、乳がんの再発予防につながる可能性を示しています。具体的には、過去に以下の研究が報告されています。

乳がんと診断された女性のうち、ある一定以上の運動(週に1時間程度のウォーキングに相当)を行った女性では、ほとんど運動をしていなかった女性に比べて、病気が原因によるすべての死亡リスクがおよそ40%近くになっていました。また、運動を行っていた女性では、乳がんの再発リスクがおよそ25%、乳がんによる死亡リスクがおよそ35%低くなっていました。

週に1時間程度ウォーキングをすると、25%の再発予防になっていたという結果でした。これらの結果は、閉経前後にかかわらず予防効果が見られました。無理のない適度な量の運動によって、乳がんが再発する危険性が低くなるのであれば、心がけるべきひとつの選択肢かもしれません。

今回は、乳がんの発症予防と生活習慣の関係として、喫煙、食生活、運動について解説してきました。再発予防も重要です。参考にされてみてはいかがでしょうか。

<クレジット>
文/Shuhei Fujimoto(MEDLEY)

Powered by ライフネット生命保険

人生と仕事とお金について考えるメディアライフネットジャーナル オンライン 公式Facebook