写真左:坪田文さん(脚本家)、右:出口治明(ライフネット生命保険 創業者)

テレビや映画の脚本家として活躍する坪田文さん。ライフネット生命の出口治明との対談は坪田さんの「出口さんとお話したくなった。」という何気ないツイートがきっかけに実現しました。フリーランスとして働く女性ならではの不安から始まり、集団保育やゆるい絆の必要性まで幅広い分野に話題が広がりました。笑いが絶えなかった楽しい対談模様をお届けします。

■育児は仕事の役に立つ

坪田:早速ですが、今日は、出口さんにぜひともお尋ねしたいことが2つあります。

出口:何でもどうぞ。

坪田:私は18才で上京し、ずっとフリーランスで仕事をしてきて、社会保障については特に学ばずにきました。でも先日、出口さんの記事を拝見して、もし病気で入院したら、結婚しているのですぐには困らないとしても、誰も助けてくれないなと思ったのです。私ひとりになったらどうしようと不安になりました。

出口:その答えはとても簡単です。病気などで働けなくなったときに備えて、就業不能保険というのがあります。これを買えば、その不安は消えますよ。

坪田:なるほど。

出口:もし体を壊して長期間働けなくなっても、給与のように毎月設定したお金が給付される保険です。ただ、この話を始めるとそれだけで対談が終わってしまうので(笑)、ご自宅に戻られてからライフネット生命のウェブやパンフレットを読んでみてください。


坪田:わかりました。読んでみます。もうひとつの質問は、妊娠したらどうしようという不安です。

出口:それはもうぜったい産んだ方がいいですね。

坪田:妊娠してもしばらくは、つわりを我慢しながら仕事を続けられると思うんです。でも、産んだ後、どうすればよいんだろうかと心配で。脚本家なので、周りから自宅でできる仕事だからいいじゃないかと言われますが、意外にこの仕事は打ち合わせがすごく多いんです。でも、保育園に入れるかどうかも不安だし。両親も近くに住んでおらず、子どもを預ける先がありません。

出口:周りに大変だといいまくって、子どもを預けてがんがん働けばいいと思います。声を上げることで、周りの協力も得られると思いますよ。

坪田:でも、仕事をする中で周囲の人から「坪ちゃんも30代か」「子どもを産んだら今のキャリアは終わりだね」とか言われてしまう事もあります。勿論、全員ではないですが。

出口:そんなオジサンは、ハラスメントで訴えればいい(笑)。育児の経験はとても仕事の役に立ちます。そんなことを言う方がおかしいんです。

坪田:出口さんと話すと「なんとかなるやん」と思えるけど、普段は不安を煽られてばっかりです(笑)。

出口:朱に交われば赤くなるですからね。変なオジサンをひとりでも減らすために、変なオジサンがだんだん辛くなっていくドラマを書かれたらどうですか。オジサンが変なことを言ったら通報されて、パトカーで連れて行かれるとか(笑)。

坪田:そういうドラマは面白いかも(笑)でも、企画を通す人の中にも……。


出口:オジサンもあまりにびっくりして、そういうドラマは見たことがないからやってみようかなと思うかもしれませんよ(笑)。

■データには説得力がある

坪田:以前、「コウノドリ」というドラマの脚本を書いた時、帝王切開がテーマの話があったんです。その時、このことを悩んでいるお母さんが多いことに驚きました。「帝王切開はがんばってないからお産じゃない」と周囲に言われて、「きちんと産んであげられなかった」と悩んでいる人がいるんですね


出口:それはおかしい。だって、世界の皇帝号の創始者であるカエサルは帝王切開で生まれていますから。

坪田:そうなんですよ。それを知らなくて心無い言葉をかける人が本当に多い。でも、ドラマの中の主人公が「帝王切開は立派なお産です」と言ったらすごく反響がありました。

出口:物事はファクトベースで考える方が面白い。根性論や根拠なき精神論はダメです。だから僕はずっと、数字、ファクト、ロジックと言い続けています。

坪田:その上で価値観ですよね。

出口:そう。思い込みの上に感情をのせても歪んでいくだけ。データはすごく大事です。

■夢は口に出して言おう

出口:ところで、坪田さんは自分で劇団を立ち上げられたんですよね。それはどうしてですか?

坪田:売れたかったんです(笑)もともと映画やドラマ、アニメなどメディアの仕事をしたくて、どの道を通るのがいいのかと考えたら、劇団を作るのが近道だと思いました。そこに例えば、映像のプロデューサーの方を呼べばみんなのチャンスに繋がるんじゃないかと。
そういう意味では、大きい夢はかなったことになりますね。私は「プリキュア」というアニメが大好きなんですが、その映画版の脚本も書くことができた。言えば夢は叶うんだなと思いました。言うのは大事ですね。

出口:口に出してしまうと、脳がきっとできるに違いないと判断するんですよ。そうしたら合理的な行動ができる。


坪田:脳はだまされやすいと聞いたことがあります。

出口:脳研究者の池谷裕二先生に「脳はポンコツです」と教えてもらいました。だましだまし使っていくしかないけれど、ポンコツでも上手に使えば早い自動車にも勝てる(笑)。

坪田:使い方次第なんですね。私はネガティブな思考をしがちなので参考になります。プレッシャーに弱いし。

出口:全然そんな風には見えませんが(笑)。

坪田:夫や友人が「お前ならできるよ」と言ってくれるので、「みながそう言ってくれるならできるかも」と思える性分なんです。

出口:坪田さんを応援するチームができているのはすごいですね。そのチームに助けてもらうのが一番ですよ。人間はひとりでは何もできない動物です。元気が出なかったら元気づけてもらう。得手不得手があるので、困っていたら周りに聞きまくる。僕の友人で「人生を楽しむには人の好意に徹底的に甘えよう」という素晴らしい人がいます。坪田さんもチーム坪田を使いまくることですよ。「保育園を探してきて」とか(笑)。

坪田:いま、言われてはっとしました。自分で作らないとダメですね。脚本家の後輩、若い子たちのためにロールモデルを私がやらないと。

出口:そうですよ。ゆるい絆でいいから、チームを使い倒してその方法を伝授すればいいと思います。チームを使えば人生はこんなに楽しくなると(笑)。

坪田:私もチームのために、がんばればいいんだ。おかげで不安がなくなりました。

<プロフィール>
坪田文(つぼた・ふみ)
1983年7月7日生まれ。日本大学芸術学部演劇学科劇作コース卒業。日本大学大学院芸術学研究科舞台芸術専攻博士前期課程修了・芸術学修士。劇作コース在学中に、高橋いさを、斎藤憐の指導を受け、2002年7月に、「女性には共感を、男性には驚嘆を」をコンセプトにした女性のみの劇団【空間ゼリー】を結成。以降、同劇団の全作品を執筆。舞台に限らず外部への脚本提供も行っている。近年は、映画ドラマなどメディアの世界にも進出中。

<クレジット>
取材・撮影/ライフネットジャーナル オンライン 編集部
文/三田村蕗子

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