目が見えなくても、耳が聞こえなくても、映画が楽しめたらうれしいし、車椅子で入りやすかったり、子育て中のママも周りをきにせず映画を見られる場があったら楽しい。そんな、誰もが楽しめるユニバーサル・シアター「シネマ・チュプキ・タバタ』をつくった支配人の佐藤浩章さんに、この映画館設立の経緯や特徴などについて、お話をうかがいました。

■「シネマ・チュプキ・タバタ」とは、どんな映画館ですか?

佐藤:目の不自由な人、耳の不自由な人や車いすの人、子育て中のママなど、さまざまな理由で、映画館に行くことをためらってしまっていた人が訪れやすい工夫を凝らした映画館です。

■なぜこの映画館を立ち上げようと考えたのでしょう?

佐藤:チュプキの運営母体は、2001年から目の不自由な人たちと映画鑑賞を楽しむために、映像の音声ガイドを手がけ、視覚障がい者の映画鑑賞をサポートしてきた「バリアフリー映画鑑賞推進団体City Lights」というボランティア団体です。

目が見えない人も見える人も同じように感動することができる映画の魅力を、誰かに伝えたいと思い、団体代表の平塚千穂子氏と映画館を立ち上げました。

■例えば、どのような工夫が?

佐藤:視覚障がいがある人へ向けては、イヤホン音声ガイド付き座席に搭載されたイヤホンで、いつでも場面解説の“音声ガイド”を聴くことができるようにしています。視覚に障害のある方でも、一緒に映画をお楽しみいただけます。

また、イヤホンで本編の音の増幅もできるので、難聴の方にもご利用いただけます。聴覚障がいがある方へ向けて、洋画だけでなく日本映画の上映時にも、日本語字幕付き上映を行います。聴覚に障がいのある方も、障がいのない方と一緒に映画をお楽しみいただけます。

そのほか、車椅子スペースの設置入口からトイレ、客席まですべてバリアフリーとなっており、車いすのまま映画をご鑑賞いただけます。

親子鑑賞室の設置を行い、人の大勢いる場所が苦手なお子さまや、小さなお子さまをお連れの方も、鑑賞室で安心して映画をお楽しみいただけます。

■これまで、どのような作品を上映されてきましたか?

佐藤:名作『ニュー・シネマ・パラダイス』や、社会について問題を投げかける作品、ソーシャルグッドをテーマにした作品を上映してきました。

■いま公開中の映画をご案内いただけますか?

佐藤:脳性麻痺の障害を持つ男性の幼少期から青年期までの悲喜こもごもを瑞々しく描いたポーランド映画『幸せのありか』、国際数学オリンピックで金メダルを目指す自閉症スペクトラムの天才少年を描いた『僕と世界の方程式』、「地球の中の私、私の中の地球」をテーマにしたドキュメンタリー『地球交響曲』です*。

*放送日(2017/6/16)時点

<インフォメーション>
「シネマ・チュプキ・タバタ」の詳細や最新情報は、以下のサイトをご覧ください。
●chupki.jpn.org