(写真はイメージです)

誰もが「自然環境の保護は大切」だと思っていそうですが、実は“植樹活動は必ずしも自然環境保護にはつながらない!?”など、正しい知識は広がっていなかったり、自然保護に関わりたくても、どこでボランティアをすればよいかわからなかったり……。身近なテーマでありながら、案外接点を持てない「自然環境の復元」について、1990年から取り組みを続けている認定NPO法人 自然環境復元協会事務局の五十嵐章子さんにお話をうかがいました。

当記事はFMラジオJ-WAVE「JK RADIO TOKYO UNITED」の番組で、世の中をもっと楽しく、グッドにするためのアクションを紹介する『COME TOGETHER』より許可を得て転載しています

■自然環境復元協会とは?

認定NPO法人として、以下の3つの事業を中心に行っています。

  1. 自然環境の保全。都市部に残された自然環境を保全していくためにボランティアを募って保全活動をするレンジャーズ・プロジェクト
  2. 自然環境の復元と維持管理、農山漁村の活性化。地方では、過疎や高齢化した地区を、都市部との交流や最小単位での活動のしくみを立て直すお手伝いをすることにより活性化を図る
  3. 環境人材の育成。自然環境の再生活動を総合的にプロデュースできる「環境再生医」という資格者を育成・認定(現在まで全国で約5,000名程の資格保有者が誕生)

これらのベースとなる調査や研究、専門家による勉強会やセミナーの開催などを通じて、自然科学的な見地だけでなく生き方や社会のあり方なども広く啓発することを目的として活動しています。

■団体発足のキッカケは?

破壊された自然を取り戻し、生物多様性や里山・水辺環境を回復する研究を行う研究会がもととなり、2000年にNPO法人となりました。ちなみに、この研究会は、日本で初めてビオトープの概念を取り入れ、普及させた実績をもっています。

事務局の五十嵐章子さん

■団体では「環境について、正しい知識を持つこと」も呼びかけられていますが、誤った知識が広がっている?

自然環境を守ること=木を植えること、大きく増やすこと、ではないという点、ご注意いただきたいと思います。健康な森や林、里山と呼ばれる環境を保つには、人間が手を入れ、利用し、自然とともに生きていくことが大切なのです。

■これまで、国内の自然保護に携わってこられた五十嵐さんから見て、いまの“日本の自然”をどのようにご覧になっていますか?

都市部においても、地方においても、私たちが保全を呼びかけ、実践するよりも、自然を利用する生活スタイルが失われていくスピードのほうが速い。そのため、各地の活動への人手が圧倒的に不足しています。

■自然を守るために私たちができることは?

東京近郊にも、地域の自然を守るために活動している団体がたくさん存在しています。ただし、いきなりそうした集まりへの参加はハードルが高いと思われる方も少なくないでしょう。そこで当団体では、気軽に参加していただける保全活動ボランティアのプロジェクト「レンジャーズプロジェクト」運営しています。

「レンジャーズプロジェクト」は、ひとりでも、初めてでも参加しやすいように、インターネットを使ったやり取りをスタッフがとりまとめ、地域の活動団体へまとまってお手伝いにうかがうスタイルです。このしくみを通じて、地域の自然、ひいては次世代へ残す日本の資産としての自然へと、目を向けていただけるとうれしいです。

■最後に五十嵐さんからみなさまへ、メッセージをお願いします

個人で無理なくできることを大切にしてほしいと思います。まずは身の回りで、自宅の庭や近所の緑地の保全活動に興味を持つことから始めてほしいと考えています。できるときにできることをする人々の力が結集することが、地域の自然が守られることにつながります。

今後の講座やイベントなどのスケジュールや、さらに詳しい活動内容、ボランティア参加については、ぜひウェブサイトをご覧ください。

<インフォメーション>
認定NPO法人 自然環境復元協会
●http://www.narec.or.jp