日本では、罹患率が増加していると言われる「がん」。仕事を続けながらがんの治療を受ける際、収入はどう変わり、治療費や生活費などの支出はどうなるのでしょうか。働きながら治療する人の治療費と収入減をサポートする新しいがん保険を作ったライフネット生命は、特定非営利活動法人キャンサーネットジャパンの協力により、572人のがん経験者にアンケート調査を実施しました。その結果について、「生活」「経済」「仕事」の3つのテーマで、3回にわたって紹介します。
「がん経験者アンケート」生活編はこちら

【調査概要】ライフネット生命保険 がん経験者572名へのアンケート調査
 [調査実施時期]2017年6月
 [調査対象]がん罹患時に就労していたがん経験者 572名
 [調査方法]ウェブアンケート
 [調査協力]特定非営利活動法人キャンサーネットジャパン

■がん罹患後の収入はどうなる?

仕事をしている人が、がんと診断され治療を受けた場合、罹患後の収入は平均で20%減少したという結果が出ました。少し詳しく見てみると、雇用形態により収入の変化に違いがあるようです。

収入減少率が高いのは、「派遣社員」または「パート・アルバイト」など非正規雇用のかたちで働く人で、減少率がそれぞれ39%、29%です。ついで「自営業・自由業」が23%減少、最も少ない「公務員・団体職員」でも15%です。また、罹患後に収入が減少した人の約半数は、「収入が半分以下」(47%)になり、「収入ゼロ」になった人の割合も18%に上ります。

減収の理由を調べてみると、「休職」が35%、「退職」が25%。「2ヶ月休職して入院し手術を受け、傷害手当金は出たものの収入減になった」という女性や、「進行がんだったので、慌てて退職してしまった」という人、「役職を辞退して仕事量の減少を図ったが、実際は収入だけ減って、仕事量は全く変わらなかったため、やむを得ず退職することになった」という男性もいました。さらに、「職場復帰をしたが、残業もあり病気になる前と変わらない業務量で、転職することになり収入が減少した」というケースもありました。

■収入が変化して困ったこととは?

がん治療中、経済面で困ったことは、やはり入院費や手術費、薬代などの「医療費」(53%)がいちばんにあげられました。次が本人や家族の「生活費」です。

「治療費を賄うために、食事を抜いてその分のお金を貯めて生活していた」という人もいて、上記2つの費用の不足は重大です。「抗がん剤治療が高くてできなかった」という答えもありました。収入そのものが減少することに加えて医療費がかかるのですから、相当な負担を強いられると言えるでしょう。

子どもがいる家庭では、「教育費」に困った人が43%で、「子どもの大学進学を断念させてしまった」「好きな習い事をやめさせなければいけなくなった」ケースもあり、それが「子どもたちの進学でお金がいるのに治療に使ってしまうことに、罪悪感を感じる」といった精神的な負担につながることもあるようです。

■高額医療費制度や医療費控除などの公的制度は「足りる」のか

がんにかかわらず、病気の治療費が高額になった場合に医療費を援助したり、治療費が税金の控除対象になったりする公的制度があります。調査では、利用率が高かったのが「高額療養費制度」(92%)で、「医療費控除」(58%)、「傷病手当金」(37%)と続きますが、「何も利用していない」という人も3%いました。

では、公的制度の充足度はどうかというと、全体的には、金銭的な支援が「足りた」「足りない」の割合はほぼ同等ですが、正社員として働く人の55%は「足りた」と答える一方で、自営業・自由業では68%、パート・アルバイトの61%が「不足」と回答しています。「急な体調不良での入院費用が多くかかり、高額療養費制度を使っていても月をまたげば、費用負担が大きかった」「休職中で収入が傷病手当金のみなので、住宅ローンのボーナス月返済に困った」という例がありました。

それぞれの雇用形態や病気の状態、生活によって、さまざまな悩みがあり、公的制度だけでは足りない場合も多いというのが実態と考えてよさそうです。

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治療費と収入減をサポートする新しいがん保険「ダブルエール」

<クレジット>
文/ライフネットジャーナル オンライン 編集部