(写真はイメージです)

精神科を受診する人たちの就労を手助けする団体があります。病気によって社会との接点を失いがちな人々が物作りを学び、作った物を販売する「みどり工房」を運営し、仕事の練習の場、さらに地域の人が一緒に食事できる場としてカフェを運営する認定NPO法人よりどりみどりの理事、吉本恵さんにお話をうかがいました。

当記事はFMラジオJ-WAVE「JK RADIO TOKYO UNITED」の番組で、世の中をもっと楽しく、グッドにするためのアクションを紹介する『COME TOGETHER』より許可を得て転載しています

■NPO法人よりどりみどりとは?

障がい者を含むあらゆる人が、地域で安心して生活できるノーマライゼーション社会の実現を目的に、精神障がい者の就労支援・生活支援を行う「就労継続支援B型事業所 みどり工房」を運営、並びに精神保健福祉に関する啓発活動などの事業をしている団体です。

NPO法人よりどりみどりのみなさん

■精神障がい者の就労支援・生活支援について、詳しく教えてください

精神科を受診している30名ほどの人が、それぞれの目標に合わせて週2〜5回、「人と一緒に何かをする」「働く」練習をしています。当施設に通うのは、病気のため長い間引きこもっていた人や、家庭や仕事の事情で、すべてをなくし生活保護を受給している人など、さまざまな生活環境にある20代から60代の人で、彼ら一人ひとりに合わせた支援を行っています。

■千駄ヶ谷と代々木には、活動に関連したスポットがありますね?

千駄ケ谷駅から徒歩5分の「みどり工房」と、代々木駅から徒歩5分の「みどり工房コミュティ・カフェ部門greencafé」があり、そこに通う人々が社会とつながる「練習」をしています。本部である「みどり工房」では、七宝焼きや革などの自主製品作り、パソコン操作や名刺作成などの事務作業、委託された所へ出向く清掃作業などを実施し、「コミュティ・カフェ部門greencafé」では、店内でのランチやお弁当販売、お弁当配達、お菓子製造&販売など、接客や食品作り等作業の練習をしています。

■2つの工房では、どんなつながりが生まれていますか?

平日のランチタイムは、近所にお勤めの方や、お子さん連れの方々が来て、店内でランチプレートを食べたり、お弁当を買ったりしています。渋谷区の高齢者が利用できる「食事券利用加盟店」になったので、地域包括支援センターに紹介された高齢者も利用しています。事業所のカフェができたことは、工房に通う人の「身だしなみ」や「保清」の意識を高めることにつながりました。声が小さく下を向いていることの多かったメンバーが、お客様の顔を見て、元気に挨拶ができるようになったりするなどという変化もあります。コミュ二ティ・カフェ部門は、地域の人々に見守られて、できなかったことができるようになっていく、自信をつけていく場所なのです。

■「greencafé」で8月に新しい取り組みがありましたね。

「greencafé」4周年を記念し、毎月第三金曜日に、子供食堂ならぬ「お夕ご飯の日」という夜の部の営業を始め、第一回を8月18日に実施しました。一人でご飯を食べている人、心身の栄養が気になる人、年齢の垣根を越えた会話をしたい人 …などなど、どなたでも大歓迎の日です。私たちのカフェが社会資源になり地域に還元できる場になればと考えています。

■お夕ご飯の日は、どんな場所にしたいと考えていますか?

カフェを利用するお子さん連れの若いお母さんが「子どもは、お父さん以外の大人とご飯を食べたことがない」という話をしていたことがあります。人々は、さまざまな理由によって、いろいろなかたちでお夕ご飯を食べているんですね。だからこそ、食事をしたり、ボランティアとして活動したり、お互いの情報交換を行ったりする場として、私たちのカフェが地域に利用される場になればと考えています。

毎月第3金曜日開催の「お夕ご飯の日」や、認定NPO法人よりどりみどりの活動について、詳しくはぜひウェブサイトをご覧ください。

<インフォメーション>
認定NPO法人よりどりみどり
●http://www.midori-kobo.org/