写真左から、発起人 西口洋平さん(一般社団法人キャンサー・ペアレンツ代表)、同 駒崎弘樹さん(認定NPO法人フローレンス代表)、代表発起人の功能聡子さん(ARUN合同会社代表)、同 岩瀬大輔(ライフネット生命保険社長)、発起人 桜井なおみさん(キャンサー・ソリューションズ株式会社代表)、同 武田雅子さん(株式会社クレディセゾン取締役営業推進事業部長 戦略人事部キャリア開発室長)、遠藤源樹さん(順天堂大学医学部公衆衛生学講座 准教授)

もし、がんと診断されたとしたら、あなたは今の仕事を続けますか? 同僚や部下、上司ががんに罹ったら、どのようにサポートしますか?

がんは、「日本人は生涯で2人に1人は罹患する」(国立がん研究センター「がん統計」より)というデータがあるほど身近な病気であるにも関わらず、職場のがん罹患者に対する理解はまだまだ進んでいないのが実状です。勤務先で、なかなかサポートが受けられない。サポート制度があっても、利用できる雰囲気ではない。そんな声も少なくありません。

がん罹患者が治療をしながら、いきいきと働くことができるような環境をつくるには、どのようにすればいいのか。10月6日、7名の発起人を中心に「がんと就労」問題に取り組む民間プロジェクト「がんアライ部」が発足しました。

■がん患者の3割が就労可能年齢で罹患している

なぜ、今、「がんと就労」の問題が注目を集めているのでしょうか。

2012年に新しくがんに罹患した人数は、約87万人(国立がん研究センター「地域がん登録によるがん罹患データ」より)。その中で、20〜64歳の就労可能年齢の罹患者数は約26万人。3割が就労可能年齢で罹患しています。

「がんの5年相対生存率」も年々上昇してきています。がんには様々な種類がありますが、全種類において、5年以上の生存率は、62.1%(国立がん研究センター「地域がん登録によるがん罹患データ」より)。つまり、がんは「死に至る病」から、「長く付き合う病気」になってきたと言えるのです。

しかしながら、「がんになったら、移植しなければ治らない」「生存率は低い」と捉えられている方が多いのが実状です。

がんアライ部発足記者会見の様子

患者自身も例外ではありません。「がん」という診断を最初に受けた時はショックが非常に大きく、「仕事を辞めなければならない」と考えてしまう人も少なくないのです。

繰り返しますが、がんは死に至るのではなく、「長く付き合う病気」です。「がんアライ部」代表発起人であり、ARUN合同会社 代表の功能聡子さんは、「経営者、会社、そして社会に『がんになっても仕事を辞めないで』という強いメッセージを、伝えていかなければなりません」と強調しています。

■制度があっても、約3割の人が「利用できない雰囲気がある」と答えた

国や地方自治体も、がんと就労の問題は社会的な課題として取り組み始めています。今年6月、厚生労働省が今後6年間のがん対策の指針となる「第3期がん対策推進基本計画案」を発表しました。「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんの克服を目指す」という全体目標を掲げています。

さらに同省は、昨年2月に「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を発表。東京都でも、「難病・がん患者就業支援奨励金」を設けました。難病やがんの患者を採用する場合に奨励金、就業を継続するための助成金が事業者に支給されます。

このようにサポート制度は少しずつ整いつつありますが、がん罹患者たちは実際に積極的に利用できているのでしょうか。このたびライフネット生命保険は、がん経験者572名に対して、次のようなアンケート調査を行いました。


「罹患時の勤務先で利用したサポート制度には、満足していますか?」という問いに対し、「サポート制度自体がなかった」と答えた人は43%にも上りました。大企業では制度がきちんと整備されているようですが、中小企業では、まだ不十分なところが多いようです。

「罹患時の勤務先で、仮に制度があっても使えない雰囲気はありましたか?」という問いには、約30%の方が「あった」「どちらかと言えばあった」と回答しました。

これについて、「がんアライ部」代表発起人の一人であるライフネット生命保険社長の岩瀬は、次のように語りました。

「当社では、今年8月に新しいがん保険『Wエール』を発売開始しました。これは、がん診断後の治療費に備える『治療サポート給付金』とがん治療伴う休暇や時短勤務などによる収入減に備える『がん収入サポート給付金』というダブルの保障です。まさに、がん罹患後に働きながら治療をサポートするための商品です。

世の中に多くあるがん保険の中で、私どもは、働きながら治療する皆さまにサポートできる保険があったら良いのではないかと考えました。

しかし、それだけでは不十分です。保険商品のほか、がん罹患者が働きやすい環境を作るためには、人事制度の改革や罹患者を受け入れる側の知識や理解を高める活動も必要です。そのような意図から、今回、発起人のみなさんと一緒に『がんアライ部』を立ち上げました」。

■「がんアライ部」の名に込められた3つの想い

「がんアライ部」には、次の3つの気持ちが込められています。

1つは、「ally」。当事者を応援する「味方」を意味します。当事者ではなくとも、がん罹患者が抱える悩みを理解し、職場復帰をサポートする方法を学び、実践することができる人たちを増やそうという気持ちが込められています。

2つ目は、「alive」。がんが「死に至る病」ではなく、「働きながら治療を行う病気」に変化していることを周知したいという意図があります。

3つ目は、「アライ部」。さまざまな企業の関係者、支援する方々の集まるコミュニティです。リアルとバーチャル両面で情報交換ができるような場を設けます。まるで部活動のようなイメージでやることで、少しでも明るく、前向きな姿勢で取り組むことができたらいいなという想いが込められています。

がんアライブのロゴは、がんに罹患されたクリエーターによってデザインされました。がん罹患者がイキイキと働ける職場環境を、たくさんの話を広げながら作り上げていこうという団体の趣旨や思いを、ハートを囲む手のひらの形で表現しています。

今後、がんアライ部は、がんと就労の問題を解決するための勉強会や、がんの治療をしながら働くことを理解するためのイベントへの参加、フェイスブックやホームページでの情報提供に取り組んでいく予定です。様々な活動を通して、がん罹患者がイキイキと働くことができる職場と社会の実現を目指します。

●がんアライ部

<クレジット>
文/ライフネットジャーナル オンライン編集部
撮影/村上悦子

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