(イラストはイメージです)

食物アレルギーと一口に言っても、アレルギー反応を引き起こす食べ物は、人によって違います。小さい子どもの場合は、食べてはいけない物を自分で気づかぬうちに口にして、ショック症状を示す例もあります。そんな事故をできるだけ少なくしようと活動している一般社団法人エーエルサインの代表理事、林秀治さんにお話をうかがいました。

当記事はFMラジオJ-WAVE「JK RADIO TOKYO UNITED」の番組で、世の中をもっと楽しく、グッドにするためのアクションを紹介する『COME TOGETHER』より許可を得て転載しています

■エーエルサインとは?

食物アレルギーを持つ子どもたちが誤飲誤食をできる限り防げるよう、アレルギーの品目をわかりやすく図案化したカード「食物アレルギーサインプレート」を作り、患者さんに使ってもらう活動を進めている団体です。

■具体的には どのようなアクションをしているのですか?

「食物アレルギーサインプレート」の普及活動を通して、個人が抱える伝えづらい問題に、多くの人に気づいてもらうための仕組みを作っています。現在では、誰もが何となくでも知っている「食物アレルギー」という疾患ですが、活動を始めたころは、まだまだ浸透しておらず偏見なども多かったのです。あえてカミングアウトするようなカードを普及させようという活動には賛否両論がありましたたが、現在は、全国300か所以上の医療機関のドクターの協力により「食物アレルギーサインプレート」の普及が進み、スタンダードになりつつあるところまで来ました。

■発足のキッカケは?

10年ほど前、重いピーナッツアレルギーに悩んでいた子どもがいました。そのお母さんから「遠足やおやつ交換会などで誤食しないように、子ども同士でもアレルギーを理解できるようなものを作ってくれないか」という相談を受けて、一人ひとりの患者さんがアレルギー項目を組み替えて貼って使える表示カードを考えて作ったことです。

代表理事の林秀治さん

■「食物アレルギーサインプレート」とは、どのようなものですか。

必要に応じて名札のように衣服やカバンなど持ち物に着けられるプレートで、27の特定原材料原材料項目がイラストでひと目でわかるようになっています。子どもの食物アレルギーに合わせて表示項目は変更できます

■「食物アレルギートラベルブック」というツール冊子は?

海外旅行時に、レストランなどでアレルギーがある旨を伝える方法や、食品の原料表示の見方、誤食したときの対処方について解説したもので、飲食店で使えるカードを付属しています

■利用者からは、どのような声が届いていますか?

サインプレートを着けていると、周りの人が気にしてくれるきっかけになる、という意見が聞かれます。

■子どもだけではなく、広い年代で使用できそうですね。

食物アレルギーの問題は、小児ばかりではなく成人や高齢者にも及びます。また、インバウンドという点で考えると、国際標準のような伝達方法が飲食店などにも求められてくるでしょう。伝えるメッセージの方法やデザインもより多様化していくと考えられます。これからもいろいろな声を聞きながら、できるだけ多くのニーズに合うコミュニケーションツールを考えていきたいと思っています。

■「エーエルサイン」今後の展開は?

今、当団体では「バイシグナル」というキーワードを掲げています。気づいてもらう、きっかけを作るという意味ですが、気づくことは、問題の解決に向かうスタートラインだと思います。でも、伝えることで偏見を生んでしまうという理由で、スタートラインにも立てず、当事者と少数の理解者だけで問題を抱えているケースは、まだまだたくさんあります。そんな人たちにとって、少しでも風当たりが良くなるように、どんな仕組みで気づいてもらうのがいいのか、コミュニケーションデザインを通して考えていきたいと思っています。

一般社団法人エーエルサインの活動について、詳しくはぜひウェブサイトをご覧ください。

<インフォメーション>
一般社団法人エーエルサイン
●http://alsign.org/index.html