高橋書店さんが出している手帳。ずらりと並ぶ品揃えは圧巻

実はスマホ時代でも紙の手帳の売り上げは落ちていなかったという事実が判明した前編記事に続き、「手帳は高橋」でおなじみの高橋書店さんに、今度は手帳の選び方について聞いてみました。取材に答えていただいたのは、同社執行役員 広告・広報部部長の大久保孝さんと、同じく広告・広報部の宮越梓さんです。

(前編はこちら)

■お客さまの要望に応えていたら今や255種類!

──前回はスマホ時代でも紙の手帳が売れ続ける理由をうかがいました。売れているからこそ、こちらのスペースを見てもわかるように、こんなに多くの手帳を出されているんですね。今、高橋書店さんの手帳ラインナップは何種類でしょうか?

宮越:2018年1月始まりのもので、日記帳や家計簿も含めると、255点あります。

──255点! そんなにあると、「ありすぎて選べない」という声も出てしまうのでは?

宮越:おっしゃる通り、「どれを選べばいいですか?」とよく聞かれるんですが、こちらから「どれがおすすめ」とは言いづらいのが正直なところです。せめて書きたいことや量を決めていただければ、スケジュールを管理するだけならこちら、いっぱい書きたい方にはこちら、とお伝えできます。

──用途に応じておすすめが変わる、ということですね。そもそも、どうしてこんなにも種類が増えたのでしょう?

宮越梓さん(高橋書店 広告・広報部)

宮越:手帳については、毎年のようにお客さまからの要望をたくさんいただきます。この形式はよかったけど、大きさはこっちのほうがいいとか、こういう色もほしいとか、ポケットに入るサイズでこれを作ってほしいとか、いろんな声を頂戴するので、それを反映していこうとしたら、ここまで来てしまいました(苦笑)。

大久保:高橋書店がそうした方針をとっている背景には、手帳の歴史も関係しています。

■手帳はコンサルティング会社が広めた

──歴史、ですか。

大久保:手帳はもともと、企業コンサルティングの会社が広めたんですよ。企業のコンサルティングをする際に、スケジュール管理のノウハウを手帳に詰め込んで、社員に配布していました。特に高度経済成長のときは、大企業が大量の社員を導入して、ひとつの作業の流れの中でモノを作っていくということが主流でしたから、社員を同じ規格で管理していく必要がありました。

──だから、会社が決まった手帳を配っていたわけですね。

大久保:しかし、弊社は日記帳にルーツがある会社なので、手帳も個人向けに作っていました。それからバブルが崩壊して高度経済成長が終わると、企業が手帳を配らなくなりました。さらに働き方も多様化して、手帳に求める要素もバラバラになりました。個人が手帳を買う時代になったのです。

弊社は、個々のお客さまの要望に応じて手帳を作ってきたので、売り上げが伸びていくとともに、種類もどんどん増えていきました。今ではますます働き方が多様になっているので、手帳も255種類にまでなったのです。

大久保孝さん(高橋書店 執行役員 広告・広報部部長)

──個人が手帳を買うようになった90年代は、何種類くらいだったのですか?

大久保:100種類くらいでした。

──では、20年で150種類も増えたわけですか。まさに「手帳は高橋」というキャッチコピーそのままの充実ぶりです。

大久保:ただ、「高橋書店といえば手帳だよね」というイメージが定着したのは、ごく最近のことなんです。

──というと?

大久保:「手帳は高橋」というコピーを作ったのは2002年ですが、これは高橋書店を手帳の会社と思い浮かべてもらえなかったから考えたコピーでした。

そこで弊社としては、出版社だけど手帳を売っていきたいんだということをはっきり伝えるために、「手帳は高橋」というコピーでブランディング強化を図ったんです。最初は自分たちで言うなんて恥ずかしかったですよ。でも、言葉が定着することでお客さまにもそう思っていただけるようになりましたし、検索の時代になったことで、「手帳」というキーワードで高橋書店が上位に来るようにもなりました。

──それで実際に手帳市場のリーディングカンパニーになったわけですから、見事なブランディング事例ですね。

■手帳の選び方の基本4パターン

──さて、255種類にも増えた背景がわかったところで、本題である「手帳の選び方」について教えてください。

宮越:けっこう多くの方が見た目や色味で選びがちなんですが、私としては、おすすめの選び方は、月で管理したいのか、週で管理したいのかをまず見極めていただくことですね。

──それぞれどんな違いが?

「カレンダー式」

宮越:月ごとの手帳は、カレンダーの延長というか。昔は主婦の方が「◯月◯日 運動会」というように家族の予定をカレンダーに書き込んでいましたが、それに近い使い方をされる方におすすめです。細かく時間ごとに予定を管理するのではなく、「この日に何をする」ということがわかればいいという方は、月ごとの手帳で十分だと思います。

「レフト式」

左側に一週間の時間割があって、右側にメモ欄がある週ごとの手帳は、もっともスタンダードな形式です。ビジネスパーソンには、まずこちらをおすすめします。

「セパレート式」

そのうえで、もっと仕事のスケジュール管理が込み入ってきて、1日ごとに管理する予定が増えると、こちらのセパレート式のほうが、1日のスペースが大きいのでおすすめです。

「バーティカル式」

さらに、もっと細かく、1時間、30分ごとでスケジュールを管理する必要がある方は、たくさん書き込んでも見やすい時間割がタテ軸のバーティカル式を勧めます。

この4つがもっともシンプルな分け方で、それぞれのタイプから出発して、使い勝手が悪かったり、物足りない方はバージョンアップしたり、余白ができすぎる方は少し小さめのサイズに変えたりして調整していってください。

■手帳には時代ごとの働き方が反映される

──おすすめの手帳に、男女差みたいなことはありますか?

宮越:ご自身の好みでいいと思います。昔なら女性はカラフル、男性はシンプルといった違いはありましたが、今はほとんど性差がないですね。一番売れるのは、男性でも女性でも使える紺色です。

大久保:昔は「レディース手帳」といって、売り場でもコーナーが男女で分かれていました。しかし、ここ10年くらいで急速に性差がなくなりました。男女で働き方に違いがなくなってきたことが大きいのでしょう。

──働き方が変われば、手帳も変わる。まさに、手帳には時代ごとの働き方が反映されているわけですね。


大久保:女性向けか男性向けか、年配向けか若者向けかといったカテゴライズは、今後ますますなくなっていくはずです。どの年代の人でも、使いやすく、自分に合っていると感じられる手帳を作る。そのポイントを追求していけば、ほかのことを気にする必要はないと思います。

とはいえ、新しい挑戦をしないというわけではなく、デジタルもやっていかなければならないと思っています。これまでもアプリ化を試してみたりしたんですが、グーグルカレンダーのような形ではなく、自由に書ける紙の手帳の良さをそのままデジタルで再現するのは難しい。記入方式が音声なのか、タップなのかはわかりませんが、紙の書き心地を保ったデジタルの手帳というものは、いつか実現したいですね。

<クレジット>
取材・文/小山田裕哉
撮影/小島マサヒロ

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