『ママが輝く社会をつくる』をモットーに、イベントの企画運営や手作り雑貨の製造・販売、仕事で自立をめざす女性のためのセミナー開催など、多岐にわたる事業を行うWoo-By.Style(ウッビースタイル)は、代表取締役の野村美由紀さんが、第1子の出産翌年の2008年にスタートしました。

まだ「ママが起業」することが今ほど多くなかった当時、身近にお手本となる先輩もいない中で、どのように道を切り開いてきたのか、そしてこれから起業を考える女性たちに伝えたいことは? など、ママ起業家の先駆者である野村さんにお話をうかがいました。

■小さいときから思い描いていた『起業』を第1子妊娠中に決意

──まず最初に、起業するに至った経緯を教えていただけますか?

野村美由紀さん(以下、野村):私の育った家は代々自分で事業をやっていて、みんな1代ずつ違うことをしていたので、私自身も小さい頃から「大きくなったらどんな事業を創って生きていこう?」と考えていました。
新卒で就職したのは住宅メーカーで、ヘルメットに安全靴のスタイルで現場監督をしていました。でも、1年で起業するためのお金を貯めて退職しました。もともと3年間は修行するつもりで勤務していましたが、結婚のタイミングで、毎日日付越えの仕事に無理を感じ退職し、起業準備に入りました。

しかし、私が住んでいた横浜市は当時から待機児童数が多くて、正規雇用のフルタイム勤務じゃないと子どもを保育園に預けられない、そうでないなら幼稚園にあがるくらいまでは仕事は諦めないといけないということを第1子の妊娠中に知ったんですね。

私は一旦退職しているし、親もまだ若く、近くに住んでいるので、保育園に預けるのは無理だろう、だけど夫だけの収入ではやっていけないし……。どうにかして両方手に入れられないかと考えたときに、これから結婚・出産を控えている人たちが安心して子どもを産めるような職場・プラットフォームを自分たちで作ればいいんじゃないかと思いたちました。それで、同じ高校の友人たちと4人でWoo-By.Style(ウッビースタイル)を創業し、手作りの布雑貨を扱うハンドメイドショップを始めたのが最初です。

野村美由紀さん(Woo-by Style(ウッビースタイル)代表)

■認められるにはとにかく実績を作るしかない

──起業して難しかったこと、大変だったことは何でしょうか。

野村:「ママたちの団体」として、社会にきちんと注目してもらえる存在になるためには、とにかく事業としての実績を作るしかないなと思っていました。

ウェブショップや委託販売をしても、路面店を持たないと他社からは商品を仕入れてもらえないことが分かって、路面店を持ち、帝国データバンクに会社の情報が登録されていないと信用してもらえないと知って、情報を登録したりと、ひとつひとつ経験から学んでいったので、とにかく経費も時間もかかりましたね。

事業規模拡大の突破口として、まず在庫を豊富に持とうと考えて、一つひとつ手作りの1点ものの商品を、ピーク時には10万点も揃えていました。そして、地元の情報誌やラジオなどの取材は全部受けて、イベントにも出店して……とメディア露出を重ねていくうちに、イベントの運営者側から私たちに声をかけてくれるようになりました。商品を多く持っているので、出店すると、いるだけで絵面になると。

最初は何もわからずにやっていたのが、経験から学んでやるべきことをひとつひとつクリアしていくうちに、だんだんと事業として形になっていった感じです。

──とは言っても、現在もイベント運営企画業務を続けられているということは、事業内容として魅力的だと感じたのですね。

野村:初めは40人の手作り作家さんの作品を預かっていたんですが、それは6,400人の応募者を4次審査までして160倍の倍率を突破した結果なんです。一度40人で打ち止めしたものの、自分の作品を商品として販売したいという問い合わせが止まらないので、「こういう場が今求められているんだ」と強く感じました。このニーズは潰したらダメだ、マネタイズの仕組みを整えて、もっと成長しないと、と強く実感しました。

そこで「物を売る現場」としてイベントを作って、商品を買うお客さんとしてママたちに来てほしいと思っている企業に売る、という事業を始めたんです。

2014年には直営店はクローズして、今まで作品を預けてくれていた方たちには新たに「出店登録」という形で関わっていただき、近隣の人たちにはイベントに参加してもらう。そうすると、ただ商品を当社に預けていただけの頃より、近所の方がお店に来てくれることでコミュニケーションが増えて楽しいと感じてもらえるし、商品も人目に触れることでブラッシュアップされてきて、今の形に近づいていった感じですね。

横浜市のファミリーに防災の重要性を伝えることを目的とした防災フェアを商業施設「リーフみなとみらい」で実施したときの企画運営メンバーで記念撮影!たくさんのママを巻き込んで大きなイベントを成功に導きます

■起業に必要な3つの準備とは

──これから起業を考えている女性に伝えたいことはありますか?

野村:女性は一般的に世間体や周りとの調和を重んじてしまいがちですが、一番大切なのは、「自分に嘘をつかないこと」でしょうか。

「子育てと両立するために仕事にはどれくらい時間を割けるのか」とか「生活費の足しに、1か月いくらは稼ぎたい」など、目標や必要な到達点があることもありますし、逆に、最初はしっかり稼ごうと思っていても、「やってみたら意外と自分はしっかり稼ぐよりも主婦でいながら商品もつくる、くらいのレベルがいいな」とか、「これは、趣味でやっていたから楽しかったんだ!」とか、やってみて後から自分に合うスタンスがわかることもあるのと思うのです。

そんな時、自分のやりたいことを諦めたり、無理をしたりするのではく、自分に正直に、自分がどんなスタンスで何をしたいのか、自分に相談をして決めていく。そこが、ただでさえ忙しくて自分のことを中心に生活を組み立てられない「働くママ」には、特に大切だと思います。

人から言われるのではなく、何をしたいのかを自分で判断して、「納得するステージは? なし得たいレベルや欲しい金額は?」 など、心地よくいられるポジションを見つけて、全部自分で責任を持って仕事ができることが大事だと思います。

私がセミナーなどでよく話しているのは「ママの起業に必要な3つの準備」です。それは何かというと、気持ち、環境、お金。その準備はまず自分でしてから始めようって話しています。

自分に合う方法はやっていくうちに変わっていきますが、常にその3つは取り揃えておいてほしいなと思います。それと、やりたい仕事を続けるには、家族への「報・連・相」も大事ですから、決して旦那さんに内緒で仕事を始めたりしないでくださいね(笑)。

 

<プロフィール>
野村美由紀(のむら・みゆき)
「ママが輝く社会を作る」をテーマに、ママたちが社会と関わることで得る喜びを作るため、2008年にWoo-by Style(ウッビースタイル)を設立。手作りマーケットに参加するママ・提供するママ・そんなママを応援する方々のコミュニティーづくりを行っている。 フルタイム・正規雇用ではない、フレキシブルな働き方での、ママたちの「仕事での自立」を達成するため、場や機会の提供・情報の提供・コミュニティーの提供を日々続けている。

<クレジット>
取材・執筆・撮影/真貝友香

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