01

ビジネス誌系サイトNo.1の「東洋経済オンライン」編集長から、ニュースアプリの「ニューズピックス」編集長へと電撃移籍をした佐々木紀彦さん。現在35歳で、有名企業からITベンチャーへの転職に不安はなかったのか。率直なところを聞いてみました。

■ベンチャーへの転職はまったく不安じゃなかった

――佐々木さんには『5年後、メディアは稼げるのか?』という著書があります。それにちなんで、「5年後、佐々木紀彦は稼げるのか?」という点を聞いてみたいんです。

佐々木:いやいやいや、そんなのわかるわけないじゃないですか(笑)。

――でも、35歳で東洋経済新報社という有名企業からITベンチャーへの転職は、なかなか勇気がいることだったのでは?

佐々木:不安はまったくなかったですね。そもそも、私は決断するときにあんまり頭で考えるタイプじゃないんですよ。勘が先で理由は後付ですが、案外とこれだと思ったものは外したことがないですね。

――では、転職を後押ししたものは何だったのでしょう?

佐々木:ひとつには、テクノロジーの発展によりメディア業界が100年に一度の変革期にあるという思いですね。そこでどこに行けば、どこよりも面白いことができるのか。それを考えたんです。東洋経済が嫌だったとかではなく、もっとも可能性を感じたのがニューズピックスを運営するユーザベース社だったということなんですよ。

――可能性を感じた、というのは?

佐々木:ユーザベース社の主力は、企業・業界データベース「スピーダ」なんですが、これを初めて見たときの衝撃が大きかった。私たちは「企業情報のグーグル」と呼んでいるのですが、アジア最大級の情報量がここには詰まっている。これを実現させた優れた分析力とエンジニアリングというベースがあるので、そこにコンテンツ制作のノウハウが加われば、絶対に画期的なことができるはずだと直感したんです。

――なるほど。

佐々木:あとは創業者である3人(梅田優祐共同代表、新野良介共同代表、稲垣裕介COO)の人柄。世代が近いこともあって話が合ったんです。梅田なんて私より年下なんですよ。あとは、「7つのルール」(写真参照)に代表される自由で本音ベースのコミュニケーションができる社風ですね。ここなら自分にできることがあると思いました。

02

ユーザベース社の入口に大きく貼ってある「7つのルール」。言葉だけでなく、実際にそういう会社だと思う、と佐々木氏。