――まず、面白いことができるかどうかが最優先事項だったわけですね。

佐々木:そうですね。会社が一番という人間ではないんです。私はもともと、いつ東洋経済を辞めてもいいと公言していましたからね。

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■「会社」が好きなのか、「職種」が好きなのか考えよう

――えっ、それはいつ頃から?

佐々木:かなり前からです。発想自体は入社当時からありました。私がよく言っていたのは、仕事における優先順位が、(1)社会にインパクトを与えること(2)個人としてのキャリア(3)会社のメリットで、それを公言していました。自由な会社ですよね(笑)。だから東洋経済にはまったく不満はありませんでした。

――佐々木さんは個人としての成長を求めたわけですが、同じような転職が誰でもできるわけじゃないですよね。自分を成長させるために、心がけるべきことはなんでしょう?

佐々木:自分の経験を振り返ってみると、社内で人気のない部署に立候補することだと思います。ベンチャーならまだしも、日本の伝統的な企業であればあるほど、若手が全権を委任される機会は滅多にない。でも30代以降のキャリアを考えると、若手のうちに業界で何らかの頭角を現している必要があります。小さくてもいいから全権委任されるようなことをやって、一度でも成功すれば、スキルもつくし、覚悟も勇気もつく。私も東洋経済オンラインをやる前なら、転職なんて考えられませんでした。

――もともと東洋経済オンラインは、雑誌が花形の社内で不人気部署だったとか。

佐々木:でも、明らかに将来性のある事業であることはわかっていました。それなのに、未知の分野だから怖がってやる人がいなかった。そこに私が手を挙げたんです。そういう分野は、どんな会社にもあると思いますよ。

――つまり、社内ブルーオーシャンを見つけろと。

佐々木:あと、こういう仕事は誰もがやりたがる花形の部署とは違って、成功のハードルが低い(笑)。私のオンラインでの成功は、個人的には大したことがないと思っています。発射台が低かったものを、うまくマーケティングしただけです。

――誰でもやりたがる部署では、失敗がキャリアの傷になりますからね。

佐々木:会社が大好きで、そこに骨を埋めたい人は出世コースを歩めばいいんですよ。そうじゃなければ、外に出ることを視野に入れて、小さくても成功体験を積み上げたほうがいい。特に30代ともなればキャリアの分かれ目ですから、その態度を自分のなかで決めるべきでしょう。

――そうなると30代というのは、その「会社」が好きなのか、それとも「職種」が好きなのか、どちらかに決めなければならないタイミングなんですね。

佐々木:確かにそうですね。私の場合は「編集者」という職種が好きだったんですよ。それに、会社にはちょっと冷めた愛を持っている人のほうが貢献するとも思いますしね。