■「佐々木の移籍がきっかけだったね」と言われるように

――しかし、佐々木さんのような「既存メディアからベンチャーへ」という流れがほとんどなかったのはどうしてなんでしょう?

佐々木:今のネットメディアに出版や新聞から良い人材が来ないのは、ひとえに(大手メディアに比べて)給料が少ないからです。だからメディア業界を変えるには、ベンチャーも稼げるんだという姿をこれから見せていかなければならない。2、3年では無理でも、5年後には実現しないとダメでしょうね。その緊張感はあります。

――そうやって人が集まってくれば、できることも広がります。

佐々木:ユーザベース社をプロサッカークラブのようにしたいんです。育成もするし、スター選手をしっかりとしたギャランティーで雇いもする。そうやって理想のチームを作って、世界へと出ていきたいと思っています。

――それはニューズピックスの5年後の目標ですか?

佐々木:そうですね。2、3年は組織づくりに専念して、まずアジア、それから英語圏。私たちは目標に、「世界一の経済メディア」になることを掲げています。今は「バカじゃないの?」という感じでしょうが(笑)、後から振り返ったときに、「思えば、佐々木の移籍が業界の常識が変わったきっかけだったね」と言われるよう頑張っていきます。

――ぜひ、躍進に期待しています!

佐々木:とはいえ、今はまだまだ準備段階なので、上がりすぎたハードルを下げたいのが本音でもあるんですけどね(笑)。期待値マネジメントが直近の課題です。

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<プロフィール>
佐々木紀彦(ささき・のりひこ)
1979年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、東洋経済新報社に入社。07年9月に休職しスタンフォード大学大学院で修士号取得(国際政治経済専攻)。09年7月より復職。12年11月から「東洋経済オンライン」編集長に就任。同サイトをビジネス誌系サイトでNo.1に導く。14年7月からユーザベース社に移籍し、経済ニュース専門アプリ「ニューズピックス」の編集長を務めている

<クレジット>
取材・文/小山田裕哉
撮影/小島マサヒロ