今年9月に開校し、話題となったインターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)。その代表理事の小林りんさんをお招きして、ライフネット生命保険代表取締役社長兼COOの岩瀬大輔が対談を行いました。テーマは「我が子の多様な生き方を支える教育論」。その内容を、前回(「人と違うことは良いことだと親から教わった〜小林りん×岩瀬大輔の教育のはなし(前編)」)に引き続きご紹介します。実は、二人は大学の同級生。いまではそれぞれ組織のトップであり親である立場から、教育について語りました。(2014.4実施)


(2014.6.30-7.1『現代ビジネス』「賢者の知恵」より)

小林りん×岩瀬大輔「我が子の多様な生き方を支える教育論」

■子供に英語教育は一切していない

岩瀬:りんちゃんは英語がメチャクチャ上手なんですよ。りんちゃんみたいに高校で初めて留学したとか、大学からアメリカに行ってそれまではほとんど英語を学んでいなかったという人ってけっこういますよね。今の時代は何となく「子供の頃から英語をやらせなきゃ」と思う人が多いと思いますが、子供の英語教育に関してはどう思いますか?

小林:私はインターナショナルスクールをつくっているうえに、子供が4歳と0歳ですから、「どんな英語教育をしているんですか?」と聞かれるんですが、一切していないです。

自分が中学校に入って初めて受験英語に触れて、高校も受験英語だけ。留学することが決まってから慌ててベルリッツに3回通ったというような人間です。それでも死ぬ気になってやって、英語で会話する社会に入ってしまえば、意外と簡単に身に付いたという経験があります。

また、母国語でも何語でもいいんですが、自分のなかで論理的思考能力があることが非常に大事だと思います。そのうえで外国語を学ぶことが重要だというふうに感じています。

岩瀬:あとは、耳が良いのかもしれませんね。モノマネが上手い人は語学が上手いと言われますが。

小林:音楽をやっているということもあるかも知れませんね。岩瀬君は小さい頃からジャズピアノをやっていて、アドリブでピアノを弾くというカッコよすぎてちょっと狡い感じの人なんです(笑)。ピアノはいつからやっているんですか?

岩瀬:ピアノは小学校の頃にやっていましたが、その話は脇においておきましょう(笑)。ぼくも語学は躍起になってやらなくても、中高時代からやっても間に合うと思いますね。

■「強みはとことん伸ばして弱みは諦める」

岩瀬:さて、ライフネット生命保険の社員から「小林りんさんにこういうことを聞いてみたい」という質問があったので、いくつか紹介させていただきます。まず、「東大に入ったときは受験したのですか? 帰国子女入試みたいな形だったのですか?」という質問です。

小林:一般入試でした。2年間しか海外に行っていなかったんですが、帰国子女枠は3年以上じゃないと認められないので。ですから、中学、高校、大学、大学院で入試を経験しています。

岩瀬:何か必勝法のようなものはあったのですか?

小林:計画を立てて何かをやるのはすごく得意だったと思います。私の場合、中学受験も高校受験も大学受験も、全部半年くらいしか準備する期間がなかったんです。小学校6年生くらいのときにいじめられて、半ば現実逃避するような形で中学受験をしようということで、いきなり塾に行き始めて受験をしたんです。

中学時代も部活ばっかりやっていて、3年の半ばから高校受験の準備をしました。大学もカナダの高校を卒業して帰ってきて、半年間しか時間がなかったので勉強しました。ものすごく時間がなかったですね。

それで何をやったかというと、「この学校に受かるにはこの参考書が必要だ」という情報をみんなから聞いて、それを全部買ってくる。まず1日かけてすべての目次に「何月何日の何時にはこの章をやる」とプランを作り、その通りにやるということを、中学、高校、大学の受験勉強でやりました。

岩瀬:僕はちょっと違う闘い方で、「強みはとことん伸ばして弱みは諦める」という戦術でいきました。学校とか試験によって、通用する場合としない場合がありますが、東大のときは、僕は英語が偏差値80、数学が70、国語が50、社会が30くらいと偏りがありました。でも、それで受かりました。